インフェルノ(1980) | 続・237号室 無事是A級からZ級映画列伝

続・237号室 無事是A級からZ級映画列伝

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『インフェルノ』

 

 

 

 

 

1980年 イタリア・アメリカ

 

 

 

 

 

《スタッフ&キャスト》

 

 

監督・脚本 ダリオ・アルジェント

 

撮影 ロマノ・アルバーニ

 

音楽 キース・エマーソン

 

 

 

出演 リー・マクロスキー/アイリーン・ミラクル/アリダ・ヴァリ/サッシャ・ピトエフ/ダリア・ニコルディ/エレオノラ・ジョルジ/ヴェロニカ・ラザール/レオポルト・マステローニ/ガブリエル・ラヴィア/フィオドール・シャリアピン/アニア・ピエローニ

 

 

 

 

 

《解説》

 

 

「サスペリア」のダリオ・アルジェント監督が贈るショッキング・ホラー大作!

 

ホラー映画の金字塔シリーズ“魔女3部作”第2作、世界的大ヒットを記録した「サスペリア」に続きアメリカ・ハリウッド資本が入り製作された、アルジェント作品の中でもカルトファンの人気が高い

 

ダリオ・アルジェント監督お得意の残虐描写が全開、切断される首、人間を食い千切る猫、何100匹ものネズミに殺される老人、目をくりぬかれる男など、全編ショッキング・シーンの連続

 

 

 

 

 

《物語》

 

 

三母神、沈黙を破ることの代償は計り知れない、ごく普通の人々に恐怖を語るべきではないのだ、私は建築家のバレリ、三母神に会いそれぞれの家を建てた、ローマとニューヨークとフライブルクにだ

 

 

気付くのが遅れたがこの三母神が世界を支配していた、悲しみと涙と漆黒の闇で、次女である“ため息の母”はフライブルクに住んでいる、“涙の母”は美人でありローマを制している、一番下の“暗黒の母”は残虐でニューヨークを我が物に

 

この3人の家を建てた、忌まわしい秘密の隠し場所だ、母と言っても邪悪な魔女で新たな命など作れない、魔の三位一体を成す3人である、だが姉妹でもあるのだ、神話の三美神や運命の三女神と同じ

 

 

この三母神の家が建つ地域はやがて伝染病が蔓延し、悪臭が立ち込める、これが三母神の秘密に迫る第一の鍵である、そして第二の鍵となる物は家の地下室に隠されている

 

そこに住む母神の肖像と名前があるのだ、それが第二の鍵の在りか、第三の鍵はあなたの靴の下にある、それが第三の鍵の在りか

 

 

三母神を読んだ女流詩人ローズ・エリオットはニューヨークの豪勢なアパートに住んでいたがこのアパートこそ魔女の為に建てられた館であることに気付いて調査

 

 

ローズはある種の恐怖感が付きまとうようになりローマで音楽の勉強中の弟のマークに手紙を書いた、マークへの手紙をこっそりと読んだ同級生のサラは三母神に興味を持ち図書館でバレリの著書の三母神の本を読むが自宅で何者かに殺された、手紙を受け取りに来たマークが血塗れのサラと手紙を発見し、早速にもニューヨークへと飛んだ

 

 

自宅アパートで気が狂わんばかりの恐怖に怯えていたローズは暴風雨の中で首を斬られて殺された、ニューヨークに到着したマークは管理人のキャロルに案内されてローズの部屋に入るも不在、そこに上の階に住むエリースが訪ねてきてアパートの住人の事などを教えてくれた

 

 

ローズがいない事を不審に思ったマークは絨毯の血痕からローズの行方を捜したが、その間にエリースが何者かに殺された、やがてエリースの執事とキャロルも不可解な死を遂げる

 

 

唯一生存している車椅子の老人と看護師に会ったマークはそこで全ての秘密を知った、その老人こそが三母神の魔女であった、館は炎に包まれてマークだけは逃れる事が出来た

 

 

 

 

 

 

《感想》

 

 

「サスペリア」の続編と言うには何だかインパクトに欠ける作品です、おそらくハリウッド資本が声を掛けてきたのでしょうね、ダリオ・アルジェントもハリウッドで撮れると喜んだものの自由には撮れず支離滅裂な作品となったようです

 

キース・エマーソンの音楽が強烈な印象を残しますが、現代の大都会に存在する魔女の館という設定もそこそこに行き当たりばったりに展開されるショック・シーンに、脈絡なく描かれる登場人物たちなどアルジェントの持ち味が裏目に出た怪作

 

 

でもファンの間ではカルト的な人気があるのも事実です、大金を掛けた大作ですからセットなんかは絢爛豪華ですもん、しかしアルジェント特有の不条理ホラーが行き過ぎた感じ

 

最初にアイリーン・ミラクルが演じるローズが骨董屋で「三母神」という本を読んでその中に出てくる建物が今の自分が住むアパートメントだと知って興味を抱くんです

 

 

その地下を調べると底に水が大量に溜まっていてそこに鍵を落としてしまって服を着たまま潜るんです、普通は汚い水かもしれないから潜らないですよね、でも潜った底に魔女の証拠らしき物と死体があるんです

 

 

ローズはローマに住む弟のマークに手紙を出すんです、大学で音楽の勉強をしているマークなんですが授業中にその手紙を読むと目の前に猫を撫でている女がこっちを見ていて次に見るといなくなっていたり

 

 

マークへの手紙を盗み読んだエレオノラ・ジョルジ演じる同級生のサラもこの三母神に興味を持って図書館でその本を読むのですが、その時から不気味な影に怯えるんです、結果的にサラは自宅に戻る時にエレベーターで一緒になった男に怖いからという理由で部屋に来てもらうのですが男もろともサラは刺し殺されてしまいます

 

 

現場を発見したマークはその帰りにまた猫を抱いた女を見るんです、最初はローズが主役かと思ったらここでマークが主役なんだなと分かります、だってローズも殺されますからね

 

 

ローズもサラも自宅のアパートメントがお城のようでアパートメントの中を逃げると何だか不気味な場所があって、まさにアルジェントの色彩でアルジェントの世界観です

 

 

マークがニューヨークのローズの部屋に到着しても誰もいません、上の階のダリア・ニコルディ演じるエリーセがこのアパートメントの事を色々と教えてくれるんです、このアパートメントには秘密がありそうだと、エリーセも猫によって殺されます

 

とにかく三母神の本を読むと殺されるような理不尽な感じなのですが、登場人物が次々と殺されていくので、行き当たりばったりの物語を追うのが大変です、魔女マーテル・テネブラルムの登場も呆然としましたしね

 

 

アルジェントはもう二度とハリウッドでは撮らないと激怒したそうです、まあ自分の思ったものが撮れなかったのでしょうね

 

 

 

 

 

このショックは目で、耳で、心臓で感じて下さい! それが『インフェルノ』です。

 

 

 

 

 

本作の続編で完結編「サスペリア・テルザ 最後の悪魔」はいつになるのかと楽しみにしていたら27年後でした(汗)