『栄光の彼方に』
1983年 アメリカ
《スタッフ&キャスト》
監督 マイケル・チャップマン
脚本 マイケル・ケーン
撮影 ヤン・デ・ボン
音楽 デヴィッド・キャンベル
出演 トム・クルーズ/リー・トンプソン/クレイグ・T・ネルソン/チャールズ・シオフィ/ゲイリー・グレアム/ポール・カラフォテス/クリストファー・ペン/サンディ・ファイソン/ジェームズ・A・バフィコ/レオン・ロビンソン/ペイジ・プライス/デブラ・ヴァーナード/テレンス・オクィン
《解説》
トム・クルーズが若き日に主演しながら、日本では劇場未公開に終わった幻の主演作
トム・クルーズが出世作「失業白書」と同年に主演したシリアス青春ドラマ、トム・クルーズは都会の大学へ入学するため、アメフトで奨学金を目指す主人公を演じる
彼の恋人役を演じたリー・トンプソンも「バック・トゥ・ザ・フューチャー」に出演する前で、トム・クルーズとのラブシーンではヌードも披露している、撮影監督出身のマイケル・チャップマン監督が後に「スピード」を監督するヤン・デ・ボンと組み、美しい映像を演出している
《物語》
ペンシルベニア州にある鉄工所のある田舎町、高校生のステフ・ジョージャビチはアメリカンフットボールの選手で地元ではちょっとした有名人だ
同級生のリサと交際中で順調だ、ただこの何もない町を出るためには次のウォルナット戦で敵のハーフバックに勝てば大学からのスカウトから声が掛かり、好きな大学に行ける
ステフの一家は何年も鉄を作ってきた、そろそろ鉄を使って物を作る者が出てもいい、だから最高の工学部に行きたいと思っている、そのためにアメフト部は過酷な練習に耐え、コーチの作戦を頭に叩き込んだ
その練習を大学のスカウトが見に来ていた、夜になってスカウトがステフの自宅にやってきて特別待遇で是非とも大学に来て欲しいと言うスカウトにステフは他の大学も見たいと断った
父親や兄はステフのその態度に注意するのだがウォルナット戦のあとにスカウトは大勢やってくると自信満々でリサと出掛けた、その夜にリサと車の中で愛し合う
しかしリサは一線は越えさせない、ステフは愛し合ってるのにおかしいと言うがリサはステフが遠い大学に行くのも怖い、友人カップルはとっくに経験済みだがリサは車の中でなんかお断りだと、2人の想いはすれ違ってしまう
厳しい練習をするがステフはどうしてもコーチの命令に納得がいかない、お互いに認めてはいるもののステフは自分が思う効果的な動きをするもコーチとも上手くいかない
ラインバッカーのブライアンが恋人のトレーシーを妊娠させてしまい相談に乗るステフだが名案は浮かばない、そんな中でのウォルナット戦は敗北してしまい、試合後にコーチと口論となったステフはクビを言い渡されてしまう
《感想》
当時はレンタルビデオ全盛期でどんな未公開作品でもビデオ化されていたように思います、本作も人気が爆発したトム・クルーズが「卒業白書」の後に主演した傑作と言われてました
今のトム・クルーズとは違って当時のアメリカの若手俳優はヤングアダルト俳優と呼ばれていて人気がありましたね、トム・クルーズは特にイケメンでカワイイ顔立ちだったのでね
ただ背が少し低いのです、本作でもアメフトをするには小柄だと自分でも納得しています、なのでプロのアメフト選手になるつもりはなくてアメフトは大学に行くための道具でその後は工学部で学びたいと
トム・クルーズ演じるステフの暮らす町はかつては鉄工所が栄えていた町なんです、それも衰退してしまって鉄工所で働く者は負け組な感じで扱われています、なのでステフはどうしても町を出たいんです
日本でも田舎で暮らしている若い人は都会に憧れるものです、80年代の当時よりも情報が入りやすい現在の方が憧れは強いかも、それともぼんやりとした情報の方が憧れのかもね
ステフは大学からスカウトが来ると自信満々で高を括っていたのですが、試合に負けて「ポルターガイスト」のクレイグ・T・ネルソン演じるコーチと口論となってクビを言い渡されてしまいます、そのまま酒に酔ってコーチの家に嫌がらせをするグループに便乗してしまうんです
そんな嫌がらせをするつもりはなかったのですが成り行きで見付かってしまい、チームに復帰は出来ず、大学からのスカウトなんかは来ない、こっちから売り込んでも断られてしまいます
前途洋々だったのに一気に奈落の底に落とされてしまうんです、自分がイイ気になってたのもありますが、こんなに人生がひっくり返るなんて如何にもアメリカ的ですね
そんなステフを慰める彼女のリサを演じるのがリー・トンプソン、「バック・トゥ・ザ・フューチャー」でブレイクする前の作品でしかもトム・クルーズとのラブシーンでヌードも披露しています
リー・トンプソンはヌードになる予定ではなかったのに急にヌードと言われたそうで嫌がっていたそうです、本当はもう1回ヌードシーンがあったそうですが、そんなリー・トンプソンを見かねてトム・クルーズが彼女が脱ぐなら自分もオールヌードになると言ってヌードを回避させたそうです
この事はリー・トンプソンが後にトム・クルーズに感謝していると記事がありました、若い女優を脱がしたくなる監督の心理は分からないでもないです、やっぱ新進気鋭女優が脱いだら話題ですもんね
監督はマイケル・チャップマンでいろんな作品で撮影監督をしていますが、監督作品は本作だけのようです、本作の撮影を務めたのはヤン・デ・ボンです
トム・クルーズの爽やかな魅力が詰まった青春ドラマ それが『栄光の彼方に』です。
ある意味お宝作品なのかもしれません(笑)
更に過激な裏237号室の『栄光の彼方に』のレビューはこちらです。