これは実話、最近あった救急事案。
健康に全く問題のない51歳女性。
自宅にて家族の目の前で、突然、激しい後頭部の痛み、夫が慌てて救急要請。
通報から約5分、僕ら救急隊が到着。玄関先に夫と娘が出迎え、家の中へ入ると女性はキッチンにうずくまる状態で、片手で洗面器を抱え嘔吐を繰り返し、もう片方の手で後頭部を押さえ「痛い!痛い!」と叫び続けている。
コレ、余程できの悪い救命士であってもある病態を疑い…いや、確定診断して良いほどの判り易い訴え。散々、救急現場シミュレーションでもやってきたその病名とは…
女性は痛みと嘔吐で苦しみ、5分で到着の救命センターではなく、3分の二次病院脳外科(評判の脳外科医がいる…)にホットライン。
「◯◯救急隊のキムニィです、51歳女性、突然の激しい後頭部痛、頻回嘔吐、大病歴なし。レベル3のR、痛みで会話できない状態、グラスゴー4•3•6、血圧150/100、spo2 95〜99、レート90レギュラー、受入れいかがでしょう?」
電話口の脳外科医からオッケーの返答。
女性の両眼をガーゼで覆い(光刺激を避けるため)、できる限り静かに救急車内へ移動し、直ぐに現場を出発。
病着後、程なくして電話応対した脳外科医が私服で到着(オンコールで自宅から駆けつけた)、痛み止めとCT検査を指示し、着替えのため一旦その場を去る。
CT検査が始まるが、相変わらず痛みを訴える女性。CT画像、僕も勉強のため覗きこむ…間違いなくアルだろうと思ったものが…アレ、ない???
スクラブに着替えた医師が戻ってきて画像を確認「う~ん、ないなぁ…」
もうお気づきですよね、そう、頭の中に出血がないのです。この女性の訴えは典型的なSAH(クモ膜下出血)の症状だったからです。CT画像の検査を終える頃には痛み止めが効いたのか、女性も落ち着きを取り戻した様子に。
そして脳外科医から出た簡易診断名がRCVS(可逆性脳血管攣縮症候群)、雷鳴頭痛と表現され、雷が頭の中で鳴り響く樣な痛みが特徴との事。しかも、この女性は後頭部に症状が出ており、初めて経験する痛み、頻回嘔吐、麻痺なしと言うような、SAHの症状と同じキーワード、故にSAHと思えても仕方ない状況。
ERに移動した頃にはほぼ痛みが治まる…「先生、すいませんでした、てっきりSAHと思い…」と謝りの言葉を。すると脳外科医は「いいんですよ、結果的に大事に至ってないんだし、患者には良い事。僕も99パーセントSAHと思ってたからね。受話器の向こうで痛がる声も聞こえたし…念のためMR撮って入院だけど…」と、苦笑い。
緊急手術覚悟で病院に出向いたとの事でしたが、今すぐ命に危険が及ぶ状態ではなく脳外科医も一安心で幕を閉じたのです。
RCVSという病態は初耳でした。コレね、僕が勉強サボってた訳じゃないんだけど救命士養成の過程で教わってないはず…です。
良い勉強になりましたが、脳外科医によればRCVSはメチャメチャ珍しいものではないそうです。自称・経験豊富な救命士キムニイでしたが、またひとつ、新たな発見となった訳です。
この女性、一日も早く退院できる事を祈って…また次回(笑)




























































































