ROSC…これ、ロスクと呼び、止まってしまった傷病者の心臓が、再び動き出す事をさします。(自己心拍再開)

 

救急隊の最終目標は命を救う事、助かる命を助けられた命にしない事につきます。心肺停止の救急事案、僕の救急隊は即座に現場で点滴をとり、アドレナリンと呼ばれる薬を最低2回以上を投与し、同時に口から酸素を届けるチューブを入れ、なおかつ胸骨圧迫(心臓マッサージ)を行い、電気ショックを視野にAEDを活用します。

 

そして、現場でROSCに期待を寄せる訳ですが、一時的に心臓は動き出したものの、意識を取り戻す事なく再び心臓が止まり亡くなる…と言うのがよくあるパターン。中には意識が永遠に戻らず植物状態に陥る例も。

 

よく考えてみてください。意識が戻らず、口にチューブを入れられたままの一生。残された家族も、救命できた事に一瞬喜ぶかもしれませんが、見方を変えれば凄まじい労力と経済的問題も付いて回ります。それより何より、生きている…いや、生かされていると言った方が正解かもしれませんが、当の本人が一番辛く苦しいのでは?と、僕は思えるのです。

 

そんな状態にならないよう、意識が戻り、今までどおり生活できるようにする事が僕ら救急隊の最大の役目。これを医療現場では社会復帰とよびます。


僕のヘルメットには救命士として対応し、完全社会復帰できた数をハートマークで記しています。

 
6個のハートマークは僕の誇り。
 
ブログを初めた頃の2014年は4個でしたが(ブログNo.164 ハートの秘密)、2個増えました。約10年で2個増えた…えっ、少なくね?と思われるかもしれませんが、後遺症もない社会復帰が6名、これってかなり頑張ってる数字なんですよ。

増えた2個の内訳は3年前に普通の高校生が家族の目の前で突然倒れCPA。そして昨年末、50代の男性が同じく家族の目の前で倒れCPA。何れも点滴をとり早期除細動(電気ショック)と気管挿管を現場で直ぐに実施、完全社会復帰に至ったもの。
 
僕の救急隊は出動予告指令が出た瞬間、ダッシュで救急車に向かい乗り込みます。どーゆー事かと言えば、出動指令は基本的に全てCPAのつもりで臨むって事ですね。僕んとこの署はメチャ出動が多く、一日10件以上の出動も日常茶飯事で、モチベーションを保つ事は容易ではないものの、救えた命にしないため、頑張っているのです。

少し自慢話にもなってしまいましたが、たまにゃ許し下さい(笑)

僕が救急隊を卒業するまで、あと何個ハートマークを増やせるだろうか…救える命を救えた命にしないため for you♥