2028年度までを目処に、雇用保険加入条件のうち、週の就業時間が「20時間以上」から「10時間以上」に拡大される見通しになりました。
10時間以上で加入、つまり106万円の壁(週20時間以上かつ月88,000円以上など)より条件が相当に緩やかということです。
例えば、1日5時間のパートを週2回、時給1,100円として月44,000円程度で雇用保険に加入することになります。あるいは、平日5日間の夜だけ2時間のバイトとかも。
このぐらいの収入だと、これまでは労災保険しか加入対象になりませんでした(保険料は事業主のみ負担)。
ま、労災にはお世話になりたくないですけど、雇用保険に入るといいことあるんでしょうか?
健康保険や厚生年金は、保険料が発生し手取りが減るので、これまで「壁」を越えるのを嫌う人が多かったですが、雇用保険料も大きな収入減につながるのでしょうか?気になります…
まず保険料。
本人負担は毎月の給与額の0.6%です。
20万円の月なら1,200円。15%ほどの健保+厚保に比べれば、かなり低いといえます。
であれば、メリットが大きいほどコスパも上がるのですが、さてどうか🤔
雇用保険の主な給付は次の3つになります。
①失業手当
正式には基本手当と呼びますが、離職の理由や保険加入期間、賃金に応じて90日間から330日間まで支給されます。
②育児休業給付、介護休業給付
育児休業期間中あるいは介護休業期間中に、休業前の賃金の約5~7割程度が支給されます。
③教育訓練給付金
指定された講座受講や資格取得の費用を補助してくれます。
①は、いざという時だけですが、安心材料ですね。
②は、一番のメリットでしょう。育児も介護も、身近で大きなライフイベントです。
③は、指定講座により受講費用の最大20%から70%が支給されます。IT系や国家資格など、ステップアップのための自己投資負担を軽減してくれます。
このようにみると、健保や厚保(狭義の社会保険といいます)が保険料は高いけど日常の病気や老後年金で必ず給付があるのに対し、雇用保険は必要な時は威力があるけど必ずしも使うとは限らない、そのかわり保険料が安いといえます。
必ず、ではなくても育児や介護の際の生活費を下支えしてくれるというのは助かりますよね。
この雇用保険は自営業にはないんです。雇用される人を守る制度です。
月1,200円の保険料だと10年で144,000円。
育児や介護休業で給付をもらえば、あっという間に上回る額です。給付が無くても耐えられる蓄えがある人ばかりじゃないでしょう。また、このようや公的給付を知っていれば、自分で準備する不足分は少なくなり、その分他の目的に使えます。
1,200円がお得とは言わないけど、文字通り雇用を守るために、この金額は受け入れてもよいのでは、と思いました。
ただ、支給にはいずれの給付金の場合でも、ざっくり一年以上の加入期間が必要です。
保険料を払うなら、支給条件はしっかり確認しておきましょう。
ではまた。