自宅に最も近いレンタルDVDショップといえば、ツタヤしかないのでいつもそこを利用するのですが、――同店の洋画コーナーは実に「やる気がない」!
今月12日、会社帰りに寄ってみたのですが、『映画を観る前に』のコーナー(現在公開中の映画の予習をするためのコーナー)の半分以上を、未だ『アベンジャーズ』や『エクスペンダブルズ2』といった、公開が終わったかそろそろ終わるであろう作品群が占めているんですよ。
出すのは遅く引っ込めるのも遅い…。:{
でも、ついに念願の『インクレディブル・ハルク』を見ることができました。
『アベンジャーズ』鑑賞前に大概の予習は済ませたのですが、他作品に比べて置いている本数が少なかったせいか、本作だけはいつもいつも全部誰かに借りられていて、観ることができなかったんですよね。
アン・リー監督の『ハルク』の方は、すでに観ていたのですが…。
本作は、アン・リー監督の『ハルク』と違って、なぜブルース・バナー(エドワード・ノートン)が人体実験の対象となり、ハルクに変貌する身体になったかの部分についてはあまり丹念な描き込みをしていません。
ブルースが米軍から追われる身となってからどのような修練を積み、どのような潜伏生活を送っていたかの方に焦点が当てられています。
ブルースを心から愛している美しい恋人ベティ・ロス(リヴ・タイラー)も登場し、初めて彼女を画面に見つけたときは、思わず「アルウェン!」と口走ってしまいました。
『ロード・オブ・ザ・リング』という映画のエルフの姫君、アルウェン役を演じたときの印象が強かったものですから。:D
いやー、しかし、人間の女を演じてもまるでエルフみたい。
必死に思いをこめて見つめてくる両の瞳の美しいこと。
しかも、本作でもお父さんと恋人との板挟みになって、恋人のためにお父さんと対立してるし!
状況がどのように過酷なものであっても、恋人がハルクの姿になっても、常に変わらぬ一途な愛情を注ぎ続けるベティの美しさと健気さと気高さは最高です。
わたしはもうベティを演じるリヴ・タイラーを観ているだけでおかわり6杯はいける勢いでした!
また、もちろん主役を演じるエドワード・ノートンの繊細な演技も、もちろん良かったですね。
悪くするとCGの怪物が大暴れするだけのアクション映画に陥りかねない設定の本作に、複雑な感情の綾、細やかな愛情といった人間ドラマを織り込むことに成功しています。
わたしは、『ボーン・レガシー』で冷酷なリック・バイヤーを演じる彼を先に見ていたので、本作でブルースを演じている彼を見たとき、えらく若く見えるのに驚いたのですが、『ボーンレガシー』と本作の間にわずか4年の時差しかないと知ってさらに驚きです。
役を演じ分けているのですね。
なるほど確かに、ブルースとリックとでは、明らかに別人です。
潜伏生活を送った後、ベティの近くに戻ってきて、かつて恋人だった彼女が今は別の男(心理学者で好男子)と交際しているシーンを目の当たりにして、言いようもなく打ち萎れて名乗り出ることもできず去っていくシーンは秀逸でした。
たった一言も台詞がないのに、あれほど雄弁な演技はなかったと思います。
正直、スーパー・ソルジャー計画に固執するベティの親父・ロス将軍(ウィリアム・ハート)の無謀な作戦で貴重な兵士が無駄死にしていくのを延々と見続けねばならないのは辛く、作戦のあまりの頭の悪さに
「責任者出て来い!」
と叫び続けねばならないほどなのではありますが、ブルースとベティの間に流れる愛情のやり取りを見守っていると胸を打たれます。
ところで、ブルースが潜伏しているときに働いていた工場で作られる、ガラナ・ソーダ…凄い毒々しい蛍光の黄緑色ですね。
映画のなかで、ハルクの血液が混入してしまったガラナ・ソーダを飲む老人を演じているのが、原作者のスタン・リー氏なのだそうです。
そういえば、本作でピザ店を経営しているおじさんの店が、「スタンリーの店」でした。
金曜の夜に交際中の心理学者と同店を訪れたベティに、スタンリーが、
「あいにくもうマリナーラしかないよ。」
って言うと、ベティが、
「ミスター・ピンクがいいわ。」
って言います。
マリナーラ・ピッツァはわかるけど、ミスター・ピンクってどんなピッツァなんでしょう!
検索をかけても、よくわかりませんでした。
桜えびみたいなものをトッピングしているのでしょうか…、食いしん坊としては気になります!
参考:
http://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=330415
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