![](https://stat.ameba.jp/user_images/20140428/02/ei-gataro-movie-cradle/d1/89/j/o0530033112922487685.jpg?caw=800)
エドガー・ライト監督、サイモン・ペグ、ニック・フロスト、パディ・コンシダイン、マーティン・フリーマン、エディ・マーサン、ロザムンド・パイク、ピアース・ブロスナン出演の『ワールズ・エンド 酔っぱらいが世界を救う!』。2013年作品。PG12。
アラフォーのゲイリーは高校時代の友人たちに声をかけて、かつて達成できなかった1晩で12軒のパブをハシゴする“ゴールデン・マイル”を決行する。目指すは最後の店「ワールズ・エンド」。5人の男たちは果たして最後までたどり着けるのだろうか。
エドガー・ライトの作品は、『ホット・ファズ』と『スコット・ピルグリム』を劇場で観ています。
一番評価が高いゾンビ映画のパロディ映画『ショーン・オブ・ザ・デッド』は未見(ゾンビに興味がないので観る機会がなかった)。
『ホット・ファズ』はイギリスの片田舎で暴れる警官たちのコメディでわりと楽しめたんだけど、その次の『スコット・ピルグリム』が僕はまったく受けつけず、この監督の作品は今後は鑑賞対象から外そうと考えたぐらいでした。
僕以外の人たちの評価もけっこう微妙だったと記憶してます。
でも、今回の最新作は以前から一部でかなり話題になってたし、『ホット・ファズ』の時からエドガー・ライト作品の字幕監修を担当している町山智浩さんが「たまむすび」で解説されてたこともあって、エドガー・ライト組の一人で「ミッション:インポッシブル」シリーズや「スター・トレック」シリーズでも活躍中のサイモン・ペグも出てるし観てみようかな、と。
しかし、これが間違いだった!!
ついに出ましたよ、今年のマイ・ワーストワン候補が。
劇中の登場キャラたち同様にビール飲んで軽いノリで楽しめばいい映画なので、グダグダと小難しいこと言う必要はない。
面白かったか、好きかどうかだけ。
僕はシラフで観ましたが(映画館でアルコール摂取する習慣がないので。トイレも近いし)、これがもうノれねぇのなんのって、久々に拷問みたいな映画観たな、と。観てる途中で帰りたくなっちゃったもの。
わざわざ映画館に出向いて金払って観る価値を見いだせなかった。
でも、最初に言ったように、ネットでのレヴューの類いはほとんどが褒めてんだよね。
だからこれから僕が書くことは、少数意見なんでしょう。
かなり罵詈雑言浴びせちゃってるので、この映画が好きな人は読まない方がいいかも。
ネタバレもしますが、今回はいつも以上にちょっと投げやりです。呑みながら書いてます。
前作で見切りをつけたはずのエドガー・ライトにまたしても裏切られた感じで、でも『スコット・ピルグリム』のように怒りが湧いてくるというよりも、もはや「フゥ…」と溜息だけが漏れる、そんな作品でした。
なんかいちいちストーリーをあげつらって真剣に腹立てる気力すらない。
なので、ここで「超つまんなかった。以上!」の一言で終わらせてもいいんですが、僕もせっかく貴重な時間と交通費とチケット代(当日料金)はたいてるんで、もうちょっと何か書きます。
サイモン・ペグ演じる主人公のゲイリー・キングが「精神年齢が高校時代で完全に止まった男」のイタさぶりを散々振りまく冒頭から「あ、これは俺は苦手なタイプの映画かも」と不安に。
なんか調子に乗りまくった主人公と彼に振り回される友人たちの描写の、なんですかあの「オフビート」って奴?よく知らんけど、イギリス映画とかによくあるあの演出とノリ。ダメなんですあれ僕。
酔っ払いがハメはずしまくって大変なことになる映画といえば、これも町山さんが字幕監修の「ハングオーバー」シリーズがあって、特に1作目は僕もけっこうお気に入りだし、だからそういう内容自体に問題があるんじゃなくて、単純に笑えないんですよね、イギリス映画に。
コメディにおける「笑い」の好みが違うというか、観てるうちに笑えるどころかどんどん不快になっていく。
ちょうど『フィルス』を観たときの不快感に近いものが(『フィルス』で主人公のジェームズ・マカヴォイにヒドい目に遭わされていたエディ・マーサンが今回もサイモン・ペグの酔狂に付き合わされている)。
いや、イギリスの「モンティ・パイソン」のコントは僕も好きだし、この『ワールズ・エンド』だって笑える場面もいくつかあったにはあったけど。
トイレに行ってなかなか戻ってこないゲイリーが友人たちをほったらかしてゲームに興じてるところとか。…あとどこだったっけ。
『ホビットの冒険』のヤング・ビルボや人気ドラマ「シャーロック」のワトソン役の人(マーティン・フリーマン)が出てるとか、オッと反応する人もいるんでしょう。
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これもサイモン・ペグとニック・フロストが共演してるグレッグ・モットーラ監督の『宇宙人ポール』は僕も好きなんで、別に出演者がダメというわけではない(サイモン・ペグとニック・フロストはイギリス人だが、グレッグ・モットーラはアメリカ人監督)。
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というより、サイモン・ペグはわりと好きな俳優さんだし。
音楽好きな人たちには楽しいかもしれないけど、そちらの方面にもとんと疎い僕には「ここでこんな曲使ってる!センスいい(^o^)」みたいな面白さを感じることもなく。音楽の素養を要求してくる映画も苦手なんで。
ドアーズの「ウイスキー・バー」だけはわかったけど。
率直に言って、この映画のどこがそんなに面白いのか皆目わからないのだ。
台詞や会話のおかしさ、みたいなのは英語がわからない僕には全然伝わらないし。
もしかしたら、これはヴェテラン声優による日本語吹替版で観るべきだったのかもな。
たとえて悪いんだけど、これなら邦画の中途半端なコメディの方が僕はよっぽど笑えるんですけど。
僕が観に行った映画館には外国人の観客が何人か来ていて、やたらとウケまくってましたが。
そのガイジンさんたちと一緒に観に来てた日本人の若い女性の一人が上映中ずっと靴脱いで足を前の座席に置いていたんだけど、コイツの足が、まぁ臭ぇの。映画館で靴脱いで足を座席に乗せる女を見るのも初めてなら、女の足の臭いでえづきそうになったのも生まれて初めて。
その人は僕の前の席に座ってたんだけど、観てるうちに彼女の放つ足の裏臭に堪え難くなって思わずマスクしてしまった(「あんた、足臭いんですけど。おつむと鼻が鈍いのか?」と注意する勇気はなかった)。
おかげで眼鏡が曇って観づらいったらなくて。スクリーンの中よりも客席の俺の方がよっぽどコメディじゃねーか。
最初は仲間と英語で喋ってたから外人さんかと思ったら、帰り際にどんな奴なのか顔を確認してやったら思いっきし日本人だった。
連れのもう一人の日本人女性と「面白かったねー」とか話してたけど、俺はあんたのせいでスゲぇ迷惑したんだよ。二度と映画館に来んな、と思った。
それにしても、たまたま外国人たちが来てたのか、それともこの作品はわざわざ映画館に観に行こうと思うほど海外の人たちには人気があるのだろうか。
僕はこういう作品を観るたびに、海外の人たち、あるいは日本でも一部のエッジーな人たち(?)との感覚の違いを痛感する。
なんか宇宙人と同席してるような寄る辺なさ。
なんで?なんで?これのどこが面白いの?
「WTF!(What The Fuck!)」の連発とか、あまりにサムいので久しぶりに映画観ながら腕組みしてしまった。
褒めてる人たちの感想読んでも、ジョン・カーペンター作品へのオマージュがどーとか、『ホット・ファズ』に続いてジェームズ・ボンド役者を使ってるとか、作り手もビール飲みながら書いたようなシナリオなんだから観客も飲んで楽しまなきゃ損だとか、う~ん、だからそれのどこが面白いのか教えてくれって。
まるで他の人たちはみんな宇宙人に身体を乗っ取られて、俺独りだけが地球人として生き残ってしまったような孤独感。
エドガー・ライトさん、俺は救われなかったよ、あんたの映画で。
そもそも、現実でもこの映画の中でも“酔っ払いは世界を救わない”しな。
僕はこれ、途中からアルコールが脳みそにまわった男が見た妄想を描いた電波系映画かと思ったんですよね。
それってそんなに間違った観方ではないと思うんだけど。
結局は無職のアル中で社会復帰するためにセミナーに通ってるけどちっとも更生する気配のないダメ人間の主人公が「でも俺は自由が欲しいんだ、好きにやらせろ」とワガママ言う話だったということで、周りはみんな仕事と家庭を持って大人になっていくのに自分だけガキのまま成長できずにいる中年男の姿は、たしかに身につまされはした。
「シラフでいるのが怖い」とか、俺のことか?と^_^;
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だからこの映画は、コメディの衣をまとった「イタい話」なんでしょう。
終盤でついに最後の店「世界の終わり」に入ったゲイリーは最後の1杯を飲もうとするが、「そんなことしてなんになる」とニック・フロスト演じる友人の一人アンディに執拗に阻止される。
この場面も最後の1杯ぐらいとっとと飲ませてやればいいのになんで邪魔するんだ、と思ったんだけど、ゲイリーがやろうとしている12軒のパブのハシゴなどというのは勝手に彼が目標として掲げてるだけのもので、やったから何がどうなるということもないし、つまり自己満足な行為に浸って現実逃避してるだけだ、ということをアンディはゲイリーに伝えたかったのかもしれない。
僕が書いてるこのブログ記事みたいなもんか。
街を乗っ取って人類を自分たちに同化させる目前だった宇宙人が、ゲイリーをどんなに説得しても埒が明かないと知るとあっさり諦めて帰っていくのは、現実社会にゲイリーが見捨てられたことを表わしているんじゃないか、とも考えられるし。
ダメだろうがバカだろうが「でもやるんだよ!」精神に熱く反応する町山さんがそういう「主人公が大人として、社会人として成長するかどうか」といったテーマを描いた作品を高く評価するのはわかるんだけれども。
でもそれと「映画として面白いかどうか」は別なんで。
エドガー・ライトはつねに「大人になれない男」をテーマにしていて、それは「大人になるってどーゆーこと?」という考察でもあり、そういう主人公のイタさと反面憎めなさみたいなものをサブカルチャーをミキシングして描いてるんでしょうが、ほんっとにしつっこくてゴメンナサイだけど、それが俺にはちっとも面白くねぇんだよ!!!
現実には結婚して普通に家庭を持ってるサイモン・ペグや美人女優と付き合ってるエドガー・ライトが「ダメ人間」を描いたって、そんなのニセモノだっつーの。
僕は彼の映画になんともいえない鼻持ちならなさを感じるのだ。
バカやダメ人間をダシに使ってサブカル映画気取りかと。
バカでトラッシュなB級娯楽映画に「お前も大人になれ」とか説教されたくなんかねーよ、と。
あのエンディングにしても、なんなのあれ?って。
世界の終わりがほんとに来て、でも酔いどれゲイリーは懲りずに今度は水を求めてロボットたちを引き連れて酒場にやってくる。
オレは更生なんかせずに、世界が終わっても暴れてやるぜ、と。
…ふーん。
映画の感想で「面白くなかった」などというなんのヒネりもない表現ほどつまらないものはないんで(面白いとかつまんないとか、そんな“感想”なら幼稚園児にだって言える)、そういう意味で僕のこの感想はもはや感想の体すら成していませんが。
パブのハシゴをしようとしていた飲んだくれの主人公とその友人たちが、故郷の街が何者かによって乗っ取られていたことに気づく、というのは、映画のジャンルが途中で変わってしまうロバート・ロドリゲス監督の『フロム・ダスク・ティル・ドーン』を思わせるし、さっき挙げたカーペンターの『光る眼』はモロだし、『恐怖の街』や『SF/ボディ・スナッチャー』なんかも連想する。
そういうところで観客に「エッ」と思わせようとしてるのはわかりますよ。オタクっぽい引用なんかも、監督と趣味が合う人には痛快なんでしょう。
でも青いインクみたいな体液を流すロボットたち(名称は最後まで決まらずじまい)との戦いも、最初の汚便所のシーンでは意表を突かれたけど、その後は同じようなスプラッター場面が続くんで飽きてしまった。
これなら『フロム・ダスク~』の方が僕はよっぽど楽しめたなぁ。
何度もしつこいけど、エドガー・ライトの映画が一部のコアなファン以外の一般の人たちにもなんでそんなにウケるのか僕には理解できない。
コメディなのかホラーなのかジャンルがよくわからない、というのも、人によってはそういうのこそがイイんだ、ってことになるのかもしれないけど、コメディとしてもホラーとしても僕には面白いと思えませんでした。
こればっかりはもう、音楽でも絵画でもなんでもそうだけど「感覚的に好きかどうか」によるんだよなぁ。
人に尋ねても、理屈ではなく「感覚」で好きかどうかという話になると納得いくような答えは得られなくて、最終的には「好みは人それぞれだから」ということになってしまう。
特に“コメディ”なんていうのは、その面白さを言葉で説明、解説されたからって笑えるようになるわけではないし。
料理のウマいマズいは理屈じゃなくて、その人の舌の感覚によって判断されるのと同じで。
みんなが「おいしい」って言って満足そうに食ってるものが俺だけには激マズに感じられる、みたいな疎外感。
コレの面白さがわからない人間は「つまんない奴」呼ばわりされてるような劣等感。
園子温監督の『地獄でなぜ悪い』と同じく呑みながら観るとイイ塩梅になれる映画かもしれませんが、ともかくあらためてエドガー・ライトの映画は自分にはまったく合わないことがわかったんで、今後はどんなに話題になろうが絶対に観ないことに決めました。
ま、自分の好みが絞れただけでもよかったかもな。
家に帰ってから気晴らしに呑みました。ただしビールじゃなくてウイスキーを。
そんなわけで、今日はこれぐらいで閉店ガラガラ。
…WTF!!
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