家庭の法と裁判24号で紹介された事例です(神戸家裁尼崎支部令和元年6月30日審判)。

 

 

本件は、被相続人(昭和16年生まれ 平成29年死亡)の遺産約6700万円のうち2000万円の財産分与が認められたという事例です。

 

 

財産分与が認められた特別縁故者は被相続人の母方の義理の従姉妹で、昭和56年にそれまで同居していた祖母が死亡して以来一人暮らしであった被相続人が平成19年にパーキンソン病を発症し、面倒をみてきたこと(入院の際の保証人となったり、見舞いを欠かさず、被相続人の留守宅の管理をするなどしていた)などから被相続人が慕っていたこと、幼少時から被相続人のことを姉のように慕っていた申立人(特別縁故者)との日常の交流が心の支えとなっていたこと、被相続人が一定の相続財産を申立人に受け取ってもらいたいと希望していたことなどの事情が考慮されています。

 

 

こういう場合、遺言を遺しておけば全財産を希望する人に残すことも可能であり、法律相談を受けていると、遺言する立場の人からどうしたらよいかという相談もあれば、財産を貰い受けるにはどうしたらよいかという立場の人からの相談もありますが、後者の場合、なかなか本人には言い出せずにそのままになっているということも多いように思われます。

 

 

 

【身寄りがない被相続人の遺産に付き2000万円の相続財産分与が認められた事例】

https://ameblo.jp/egidaisuke/entry-12575820159.html

 

【被相続人が入所していた障害者支援施設を経営する社会福祉法人を特別縁故者と認定した事例】

https://ameblo.jp/egidaisuke/entry-12322046302.html

 

【いとこらに対して特別縁故者として合計9500万円相当の財産分与を認めた原審の決定を取り消した事例】

https://ameblo.jp/egidaisuke/entry-12244854109.html

 

【予防訪問介護サービスを提供した地方自治体の特別縁故者該当性】

https://ameblo.jp/egidaisuke/entry-12186491816.html

 

【特別縁故者と認められなかった事例】

https://ameblo.jp/egidaisuke/entry-12114404406.html

 

 

【特別縁故者の該当性と分与額の相当性】

https://ameblo.jp/egidaisuke/entry-12102627655.html

 

 

【遺言を偽造した者が特別縁故者に該当するかについて判断した事例】

https://ameblo.jp/egidaisuke/entry-12099494762.html

 

 

【特別縁故者に対する財産分与申して後に申立人が死亡した場合の地位の帰趨】

https://ameblo.jp/egidaisuke/entry-12028117294.html