判例タイムズ1479号で紹介された事例です(福岡地裁令和元年7月25日判決)。

 

 

本件は,特商法上の特定継続的役務提供契約に該当するエステティックサービス契約を締結した被告が,エステ契約締結の際に化粧コント健康食品の販売契約についても締結したというものですが,化粧品と健康食品が,特商法48条2項の「関連商品」に該当し,エステ契約と同様に特商法のクーリングオフ(無理由解除)を行うことができるかが問題となりました。

 

 

特定商取引に関する法律

(特定継続的役務提供等契約の解除等)

第48条2項 前項の規定による特定継続的役務提供等契約の解除があつた場合において、役務提供事業者又は販売業者が特定継続的役務の提供に際し特定継続的役務提供受領者等が購入する必要のある商品として政令で定める商品(以下この章並びに第五十八条の二十二第二項及び第六十六条第二項において「関連商品」という。)の販売又はその代理若しくは媒介を行つている場合には、当該商品の販売に係る契約(以下この条、次条及び第五十八条の二十二第二項において「関連商品販売契約」という。)についても、前項と同様とする。ただし、特定継続的役務提供受領者等が第四十二条第二項又は第三項の書面を受領した場合において、関連商品であつてその使用若しくは一部の消費により価額が著しく減少するおそれがある商品として政令で定めるものを使用し又はその全部若しくは一部を消費したとき(当該役務提供事業者又は当該販売業者が当該特定継続的役務提供受領者等に当該商品を使用させ、又はその全部若しくは一部を消費させた場合を除く。)は、この限りでない。

 

エステティックサービスに関して政令で定められている「関連商品」は、「動物及び植物の加工品(一般の飲食の用に供されないものに限る)であって、人が摂取するもの」とあるので、本件の化粧品と健康食品がこれにあたることは明らかであることから、本件第一審判決は、「関連商品」にあたるとして、売買代金等の請求を求めたエステ会社側の請求を棄却していました。

 

 

控訴審では、形式的には「関連商品」にあたるとしても、特商法48条2項の趣旨は役務の提供と一体となって高額の関連商品の販売が行われることに鑑みて関連商品の販売契約の解除を認めたところにあることから、「関連商品」とは役務と商品の関連性や勧誘の実態に照らして、当該商品を購入しなければ役務の提供を受けられないものをいうとしました。

 

 

そして、本件では、化粧品等の高ニュぅがエステサービスを受けるための必要な条件であるとか、化粧品等を使用しなければエステの効果が得られないといった説明がされたことはなく、顧客もその説明を聞いてなお化粧品等の購入を希望したものであり、本件の化粧品等はエステサービスとは別の機会に自宅で使用されるもの度あったことなどを指摘して、本件化粧品等は「関連商品」には該当しないとし、本件では化粧品等についてクーリングオフは認められず、ただ、契約上規定のある任意解約には該当するとしました。

規定によれば、未使用品である場合に限って、契約からの期間に応じた割合の返金金額に従って返品に応じるとされていましたが、顧客側としては一旦売買代金を支払う必要があり、その後返品に伴う精算が行われるべきものであるから、売買代金に基づく代金の支払いを求めたエステ会社側の請求を認容しています。