50年前のワインを開けてしまった。
赤ボ-ヌ 1級アンリ・ド・ヴィラモン。
じつは、ボクは酒を飲まない。
理由は簡単で、アルコールにからっきし弱いのだ。身の程を知らない学生時代には、マジで何度か死にそうな目にもあったし、失敗もした。その後、それなりにトレーニングをしたけれど、結局、体質は変わらなかった。
それでも友人や仲間と飲みに行ったり、酒の席に同席するのはわりと好きで、周囲のペースに合わせて自分を高揚させる術も自然に身に付いた。おかげで、2次会、深夜2時までなら、初めての人はボクが飲んでいないことに気がつかなかったりする。
一時期、六本木の飲み屋やクラブにボク自身は飲むことがないボトルをあちこちの店にキープしてあったほど。(ボクが、味ではなくてボトルのデザインで選ぶので飲み助たちには不評だったけど…。ブラントンとかメーカーズマークとか。)
だから、料理やコーヒー、スイーツにはやたらこだわるのに、酒にはとんと疎いのだ。
そんなボクだけれど、あるお祝いの席のプレゼントに1955年のワインを選んで購入し、その日に開けて一緒に飲んでしまった。
ワイン通の方々なら、一言もの申したい選び方、飲み方だろうけど、飲まないボクにとって今回重要だったのは1955年という年。その氏素性は知ったこっちゃない。
さすがに予算を限定して探す50年前のヴィンテージとなると、それほど選択の余地はない。ネット検索やリアルショップに相談して、すぐに手に入る2本見つけて、ラベルの年号が見やすい方を選んだ。ハハハ。知らない、というのは強い。
いろいろと調べてみると、なるほど、アンリ・ド・ヴィラモンというのは、シャトーではなくてセラーなんだ、とか、ボーヌとはブルゴーニュの村の名前で、とか分かってくるのだが、いかんせん下戸なのでそれ以上の興味にはつながらない。
また、古いワインは1~2週間、澱を沈めるために立てて静かに置き…、などと飲み方の指示もあるが、まあ、そんなこともあまり重要には感じられない。
お祝いの席は、旅先の、とある温泉のとある旅館。
畳の上の漆塗りの座卓に燦然と輝く1955年製のワイン。お祝いに駆けつけた風呂上がり&浴衣姿のメンバーの前で、下戸のボクは100円ショップで手に入れたソムリエナイフを駆使してシコシコと開けた。仲居さんに用意してもらったフツーのワイングラスに注ぎ分けて乾杯!
ワイン通なら、この過程でもギャッと叫んで一言言いたいだろうが、下戸のサプライズプレゼントだから仕方がないのだ。
せっかくなので、飲めないボクも舐めてみる。
おお! 思いのほか美味い(^^
ず~っとボトルのなかで眠っていたのに、フルーティな香りは新鮮なブドウを思い起こさせるほどで、舌の上にはほんのりと甘ささえ感じるではないか。もっと酸味とかえぐみがあったり、重たかったりするのかと思ったら、とっても豊かで優しい味がする。
美味いね、これ。
50年もの間、細心の注意を払いながら熟成させこの美味さを維持してきた多くの専門家の人たちには、選び方も飲み方も、もしかしたら飲み手も意に沿わないかもしれない。もったいなくて、申し訳ないことをしたかもしれない。
でも、漆塗りの座卓を囲んだ浴衣姿のみんなが、ボクが知らない1955年当時の話題で盛り上がり、思いを馳せ懐かしんだ。ニコニコと喜んでいた。
ちゃんと美味しくいただいたし、何より楽しかった。だからワイン通の皆さま、怒らないでね!









