頑張れ!! オンボロ食堂奮闘記!! 〜今日もゆるっと営業中〜

頑張れ!! オンボロ食堂奮闘記!! 〜今日もゆるっと営業中〜

町はずれの少し傾いたオンボロ食堂。料理にうるさい無口オーナー・ロクと、失敗多めで元気なコック・クゥーが、ほっとする料理とゆるい日常を出しています。たぶん営業中、ふらっとどうぞ。

オンボロ食堂奮闘記‼︎ 昨年から復活しました。
少し大人になったと思います。
内容かわらんけどその点はお許しを
γ(▽´ )ツヾ( `▽)ゞ

朝から甘い匂いがする日は、だいたい嫌な予感が当たる。

厨房に入った瞬間、確信した。

「今日、特注多いぞ」

ロクが言う。

「何系です?」

「弁当‼️」

貼り紙が出ていた。

期間限定
バレンタイン応援弁当

「聞いてない」

「昨日決めた」

「昨日休みだ」

「だから今日いる」

理屈が雑だ。

 「マジ帰りたい。」

クゥーが箱を開けていた。

「チョコ余ってるぞ」

「触るな」

「まだ触ってない」

「その目が触ってる」



仕込み表を見る。

ハート型。
色付き副菜。
メッセージ仕切り。
甘味付き。

「弁当に感情を詰めるな」

ロクが首を振る。

「イベント弁当は物語込みだ」

ちょっとだけ正しいのが悔しい。



地獄仕込みが始まる。

型抜き。
色付け。
詰め替え。
書き入れ。

手が止まらない。
止めたら終わる。

「誰だこの工程組んだの」

「お前だ」

「俺かよ」

横でロクがチョコの温度を見ている。

「チョコは温度管理が命だ」

「弁当だぞ」

「だから安定がいる」

「何度です?」

「28、下げて、31で戻す」

数字が具体的すぎる。

忙しい日の記憶は消える。



横でクゥーが何か作っている。

「何してる」

「チョコ味噌」

「やめろ」

「可能性はある」

「今日はない」

入れた。
焼いた。
香りが迷子。

試食。

クゥーが言う。

「二口目はない」

一口目はあったのか。



ピーク突入。

「合格!」
「がんばれ!」
「勝て!」

メッセージ弁当が飛んでいく。

「応援されたいのはこっちだ」

「手を止めるな」

「止めたら泣く」



受け取りに来た高校生が言った。

「これ、今日渡します」

ロクが包みながら言う。

「温度は味方だ。冷ますな」

料理人の助言は妙に重い。


全部出し切った。


「ロク、昔めちゃくちゃもらってたタイプだろ」

手を動かしながら言うと、

「否定はしない」

即答だった。

クゥーが振り向く。

「盛ってる」

「事実だ」

「証拠は」

「机の引き出しが閉まらなかった」

モテるやつの具体描写は生々しい。


「お前は?」

と聞かれて、クゥーが言う。

「ゼロではない」

「何個だ」

「ゼロではない」

ゼロだな。


今日いちばん甘かったのは、
たぶん空気だった。

少し整理して、金属トレーを取り出す。
渦巻きの仕込み。

「それ何だ」

「明日の仕込み」

「見たことないな」

ロクは少しだけ笑った。

「昭和ロールだ」


「いじっていい?」

ロク「ダメだ」

俺「絶対やるなよ」

たぶんやる。


次回

第8話「昭和ロール」
——理屈で巻くか、勘で巻くか。



休日の電話は、だいたいロクな知らせじゃない。

包丁も握ってない。
火も見てない。
まだ頭も起きてない時間。

着信の名前を見た瞬間、ため息が出た。

出るか迷って、出た。

「悪い、今日出れるか?」

理由は聞かない。
聞くと断りにくくなるからだ。

「何時からです?」

「もう来てほしい」

——はい、休み終了。

店に入った瞬間、いつもと空気が違った。

静かじゃない。
うるさいわけでもない。

“回ってない音”がする。

仕込み途中。
寸胴は半端。
注文伝票は山。

誰もパニックじゃないのに、
全体がギリギリで動いている。

「ポジション三つ、頼む」

男前一丁どころか、三丁だった。


切る。
焼く。
返す。
盛る。

考える暇があると崩れる。
だから手だけを動かす。

途中、常連さんがカウンターから言った。

「今日はいつもより火ぃ強いな」

図星だった。

余裕がない日は、
だいたい火力が上がる。


ピークを越えたあと、
ようやく座って食べたまかないは、

全部の半端をのせた丼だった。

見た目はひどい。
味はやたらうまい。

疲れてる日の料理は、
妙に正直だ。


「今日はもういい、上がって」

時計を見ると、まだ夕方。

呼び出されて、走って、回して、終わる。
滞在時間より密度が濃い。

外はまだ明るかった。

少しだけ、世界が得した気がした。

帰り際、女性達の話の中に..,.

「明日、バレンタインか。」

嫌な予感しかしない。


次回

第7話「現場のバレンタイン」
——甘いのはチョコだけじゃない。


     〜今日もゆるっと営業中〜

今日の看板料理は「焼きナポリタン」。
フライパンでジュウッと麺とソースを絡め、外はカリッ、中はもちもちに。
ロクは無言で火加減をチェック、クゥーはチーズをフリフリしながら「ちょっと焦げても香ばしいってことで!」と得意顔です。

仕込み中の小鉢では、クゥーが野菜をザクザク切り、ロクのツッコミが飛ぶ。「昨日のパスタ、焦げてたね」「香ばしいと言えなくもない」
麺をひっくり返して焦げ具合を確認した。
買い物中トマトが袋から転がり、道端で小さな追いかけっこ
 「お前、逃げるな!」とクゥー。ロクは無言で見守る。
ちょっとした小事件。

本日のおすすめは、残り野菜とウィンナーで作った**「香ば野菜とお肉のバター醤油炒め」**。
ジュウジュウ音と香ばしい香りに包まれながら、余り物が立派な一皿に。
常連さんの無茶ぶり「麺をスパイラルにして!」も、クゥーが必死にフライパンで実演して大爆笑です。

焼きパスタ作りの合間に、クゥーはぽつり。「作る時間より食べる時間の方が短いんだよね」
焦げる前にフライパンに油を足す小技も添えて、今日も屋外で香ばしい焼きパスタを楽しみます。

         今日もゆるっと営業終了です。

注意書き

営業日は気まぐれ。味の保証なし、焦げ目はサービス!
話はだいたい本当で、クレームはクゥーが受けます。ロクは無視。


今日は和風ほっこり弁当の日。
メインはサクッもちっと、穴にチーズを詰めた蓮根の落とし揚げ。

650円の幕の内風弁当でお届けします。

厨房では、ロクが鍋の油を見つめながら無言で監督。
クゥーは「チーズも入れたら絶対美味しいはず!」と鼻息荒く作業中。

今日の幕の内お品書き

主菜

• 蓮根の落とし揚げ
サクッともちっと、蓮根の穴に小さな幸せ詰めました
(クゥー曰く「完璧に揚げた!」…はずだったけど、ちょっと焦げた部分もあり)

副菜

• ほうれん草の胡麻和え
クゥーが胡麻をすりすりしていたら、手元が滑って胡麻が床に散乱。
ロクは無言で片付けつつ、「胡麻も愛嬌だ」と呟く。

• 厚焼き玉子
クゥーが砂糖を多めに入れてしまい、ちょっと甘すぎ。
ロクは眉をひそめつつ、「甘さは控えめが基本だ」とつぶやくが、常連さんには「デザートみたいで美味しい」と好評。

• 人参とこんにゃくのきんぴら
クゥーが人参を星型にカット。
ロクは「形じゃなくて味だろ…」と呟くが、見た目が可愛く、弁当に華を添える。

• ちょっぴり酸っぱい漬物
少し酸っぱくなりすぎた漬物も、クゥー曰く「冒険の味!」
常連さんには「この酸っぱさ、クセになる」と好評で一安心。

ご飯
• 白米+ごま塩
• 梅干しトッピング(余裕があれば)

常連の松本さんが弁当を受け取ると、クゥーが白米のふっくら感を自慢気に見せる。
• クゥー:「今日のご飯、ふっくらで美味しそうでしょ!」
• 松本さん:「おお、炊き加減バッチリだね。ちょっとちょうだい」
• クゥー:「え、ほんのちょっとだけですよ!」

小さなやり取りに、ロクは無言でほほえみながら、蓮根揚げを一つ添える。
ちょっとしたお客さんとの会話が生まれるのも、食堂の日常の醍醐味です。

今日の小鉢トーク
• ロク:「揚げ物は油の温度が命…焦げたのは仕方ない」
• クゥー:「でも、蓮根の穴にチーズ入れたのは天才でしょ!」
• 常連さん:「今日の弁当、何か隠し味ある?」
→ ロク:「秘密です」
→ クゥー:「バレバレだよね〜」

見た目は普通、でもひとくち食べるとちょっとだけ笑顔になる…そんな650円の幕の内弁当です。

今日も、営業中。


今日のおすすめポイント
• 蓮根の穴のもちもち感と、とろけるチーズのハーモニー
• 副菜のちょっとしたハプニングも、食堂らしい味わい
• ご飯をきっかけに生まれる、お客さんとの小さな交流も楽しめる



甘味コーナー
• クゥー、仕込み中に米粒を落として転ぶ
• でもそんなハプニングも、弁当650円の小さな幸せに含まれます



注意書き
• 焦げや甘さの失敗は仕様です
• クレームはクゥーが笑顔で受け付けます
• 食べる人の気分次第で味が変わる…かもしれません

今日の看板は、蓮根の落とし揚げだ。

丸く、穴が空いて、油で光る。

「揚げ物って…主役になれるんですか?」

クゥーは鍋を覗く。


ロクは無言で鍋を揺らす。

穴から光が透けた。


「穴を生かせば、揚げ物も主役になる」

その一言だけで、クゥーは考え込む。

主役って…揚げ物でも?

穴で決まるのか、光で決まるのか、油で決まるのか。


クゥーは小さくうなずく。


仕込み中、薄切り蓮根を酢水に漬ける。


クゥー、その厚み…意図は?」

「シャキシャキを残したいんです」


軽く茹でて、ポン酢とゴマで和えるだけ。

少し砂糖を足すと、子どもでも食べやすい。

家庭でもできる簡単簡単小鉢の完成。


買い出しでは、小さな事件。

スーパーで蓮根がラスト1本。

後ろの主婦と目が合った。

戦闘は回避。蓮根、確保。


余った端の蓮根で、小さな味噌和えを作る。

刻んで味噌と混ぜるだけ。名前はまだない。


「新メニューです」

「言い張るな」

揚げるときに、ひとつだけ焦げた。

奇跡的に、味は香ばしく、当たり。

常連が一口食べて、目を丸くした。

「これ、何?」

「…余り物です」

「余り物でこの味か」


無茶ぶりも、意外と笑いに変わる。


揚げ物は火加減が命。

焦がさない、油を飛ばさない。

ちょっとした手加減で、天国にも地獄にもなる。


クゥーは今日も、だいたい成功した。

ロクは無愛想に食べた。

たまに奇跡、たまに焦げ。

それでいい。


暖簾が出る。

揚げ物も、揚げ物以上になる。


今日も、営業中。