少しだけ、詰めすぎた。
夕方の光が、厨房に残っている。
油の匂いが、静かに抜けていく。
ロクは、鍋の油を見ている。
「チーズ入れたら、絶対うまいでしょ!」
クゥーが蓮根を落とす。
小さな泡が、揺れる。
少しだけ、色が深い。
「……まあ、いいか」
ロクが言う。
クゥーは笑っている。
胡麻をする音。
少し散らばる。
ロクが無言で拾う。
「胡麻も愛嬌だ」
玉子は、少し甘い。
「……入れすぎた?」
クゥーが聞く。
常連が言う。
「これくらいがいい」
ロクは何も言わない。
弁当箱に、順番に詰めていく。
蓮根。
玉子。
胡麻。
少しだけ遊び。
ご飯に、ごま塩。
クゥーが覗き込む。
「多くない?」
「……多いな」
蓋を閉じる。
音が、少しだけ遠くなる。
腹が減ったら、ふらっとでいい。
まあ、うちはこんなもんです。
お腹も心も、また明日で。
【本日の注意書き】
・詰めすぎると、だいたい重くなります
・焦げは少しだけ、味の一部です
・弁当は、だいたい欲張りです
次回