和製ホラー映画の聳え立つ金字塔に『リング』というものがあるが、それは置いといて。不条理カルトホラー映画『ポゼッション』が『Smile スマイル』の監督パーカー・フィンでリメイクされるということで、『Smile スマイル』を早速観てみました。


『ポゼッション』の映画レビューはこちら。


  アメリカでスマッシュヒットを飛ばした某和製ホラーみたいなホラー映画『Smile スマイル』の映画レビュー!


Smile スマイル

原題:SMILE

ジャンル:ホラー

制作:アメリカ(2022年)

監督/脚本:パーカー・フィン

キャスト:ソシー・ベーコン、カイル・ガルナー、and more…


『Smile スマイル』のざっくりあらすじ

病院に勤める精神科医のローズ(ソシー・ベーコン)は、ある女性患者から自分にしか見えないものがいるという話を聞き、また“それ”は自分に笑顔を向けてくるという。そしてその女性は、ローズの目の前で不気味な笑顔で自殺を図り、それ以降ローズの周りで不気味なできごとが起こり始めるのだった…


『Smile スマイル』の感想/レビュー。考察とかない。ネタバレは大アリ。

目の前で、不気味な笑顔のまんま自殺を図られるとか、もうそれだけで超弩級のトラウマものだと思うのだけれど、そう。この映画のテーマは、多分トラウマという名の恐怖心であろう。分かりやすい。



自分にしか見えない“それ”の正体は、過去のトラウマやそれに起因する恐怖心、不安感、罪悪感等々のネガティブ感情である。

そして、その謎の“それ”の正体が、映画『イット・フォローズ』を思わせる。


この映画、その笑顔での自殺の連鎖が過去に合計20回ほど繰り返されているという話になってくる。

自殺を目撃したものは、少なくとも1週間以内には自殺を遂げているか、一人助かった者がいるが、その人は、自殺の代わりに他殺をしており、しかも目撃されている。

つまり助かる為には、人を殺した上で目撃される必要があるということである。無茶振りである。

ここまで書いてお分かりだろうが、書いてんのオレだわ。読んでお分かりだろうが、この映画は思いっきり日本の和製ホラー映画の金字塔『リング』を踏襲しているものなんですよね。思わず画面に向かって。


いや。リングやん。


ですよ。つまり、『イット・フォローズ』+『リング』+『不気味な笑顔』。そんな映画です。

他に書くこと特にないんですけど、そうですね。

よくあるように、音であるとか、突然何かが現れるとかでビビらせてきます。ペットが無惨な姿になったりとか。古典的ホラー映画ですね。可愛い可愛いヌコ様をそのように扱うのやめてよ!←


でも割と撮り方自体は斬新だったりするんですよ。斬新つっても、まぁそういう不安な感じであったり、スタイリッシュな感じに魅せようと努力してんのね。くらいの感じですけど。


低予算のよくできたB級ホラーと言ってもいいので、トラウマや恐怖の正体を具現化したような怪物が現れますが、それ自体の造形はチープなものでしたね。にしても他に何かなかったんかよとは思いますけど。うーん。


バッカルゴーン!(?)

映画『Smile スマイル』の総評

撮り方がユニークと言えばユニークなだけで、アイデア自体には特に斬新さはないと思います。思いっきり観たことある設定なんだってばよ。

んで、結局過去のトラウマや不安、恐怖心、罪悪感等々に縛られても、碌なことにはならないということですね。だからって簡単に克服できるものなら苦労しないよって話なのではありますけど、アドラー心理学的に言うのであればあーだこーだ←

そして、なんで死に際が不気味な笑顔である必要があんのかって話なんですけど、笑顔で死ぬってのは確かに不気味で不安感を煽ってくるんですけど、これはアレですかね。世に言う微笑み鬱のメタファーなんかなとも思いました。通称隠れうつ病ですが、表面上は元気そうに見えても、内部、つまり深層心理下では、抑うつ感情や心理的な苦痛を伴っている状態を指します。

近年増えているらしいのですが、つまりトラウマ、恐怖心、不安感を深層に抱えている状態でありながら、表層では笑顔を取り繕える状況であることから、映画の内容ともマッチしてるんじゃないかということで、不気味な笑顔での死、及びタイトル『Smile スマイル』の意味としては、微笑み鬱のメタファーなんじゃないかと思った次第です。

ほんで、周りはあまりにも無理解すぎるんちゃうかと思った。その無関心、面倒ごとには関わりたくない、自分の理想郷を破壊されたくないってところでは、現代社会の風刺なのかもしれない。

あ、あと、トラウマや不安や恐怖心もだけれど、昔の恋人に執着してても碌なことにならない。

リングでいう真田広之ポジションの元カレくん、マジで哀れ。思いっきり続編ありそうな感じだし。ってあんじゃねーか!

アメリカでは今年の10月18日、公開予定みたいですね。



ということで…


星3つ!


何かに取り憑かれる演出はあったけど、『ポゼッション』のリメイク、いいの撮れるんかな?