私を香港に誘うのは実はBさんだけではありません。 そう、Kさんも度々香港のことを口にするのです。
同期で一緒にグループで出かける機会だって、その気になったらいくらでもあった筈なのに、私はKさんと会社以外の場所に出かけたことはありませんでした。(インフルエンザで苦しんでいる時に病院に連れて行ってもらった以外は)
自由行動になった夜、私はKさんとビクトリアピークに夜景を見に行くことにしました。いろは坂の様な急なカーブを次々に曲がってバスはピークを目指します。
「案外高所恐怖症なのよ」
とKさんが言うので私が窓側の席に座り、Kさんが内側に座りました。路肩がそれほどなかったからです。
ピークに到着すると、本当に世界で名だたる夜景の名所だけのことはありました。高層ビルのきらびやかな明かりが眼下に広がります。二人してしばらく言葉もなく、その光の洪水を楽しみました。
その後二人でピーク周辺の散策路を散歩することにしました。きれいな月が夜空にあがっていて、街路灯がなくても十分足下は明るくてらされていました。
私はここで初めてKさんの辛い体験を心からの気持ちと一緒に聞くことになりました。Kさんのお子さんはまだ幼稚園の年少という小ささで白血病にかかってしまっていたのです。不幸中の幸いにしてKさんのお子さんは回復しましたが、そこに至る迄の長い闘病生活、そして、亡くなって行く同じ病棟の患者さんの姿、Kさんの人生観を根底から揺さぶる様な体験が続いたというのです。
「本当に、生きてるってだけでどんなに奇跡的なことか…。走ってるの見るだけで泣けて来たりするんだよ。それと同時に、いつもふと『いなくなっちゃうかも』って不安が襲いかかってくるんだ」
私たちは明日が当然の様にやってくると思い込んでいますが、それは当然でも何でもないことなのです。
私はKさんの話を聞きながら、私の知らない間に彼が辛い思いをしていたことをちっとも知らなかった…と、思いました。そして、生かされているこの一瞬一瞬が本当に幸せな奇跡なのだと思ったのです。
同期で一緒にグループで出かける機会だって、その気になったらいくらでもあった筈なのに、私はKさんと会社以外の場所に出かけたことはありませんでした。(インフルエンザで苦しんでいる時に病院に連れて行ってもらった以外は)
自由行動になった夜、私はKさんとビクトリアピークに夜景を見に行くことにしました。いろは坂の様な急なカーブを次々に曲がってバスはピークを目指します。
「案外高所恐怖症なのよ」
とKさんが言うので私が窓側の席に座り、Kさんが内側に座りました。路肩がそれほどなかったからです。
ピークに到着すると、本当に世界で名だたる夜景の名所だけのことはありました。高層ビルのきらびやかな明かりが眼下に広がります。二人してしばらく言葉もなく、その光の洪水を楽しみました。
その後二人でピーク周辺の散策路を散歩することにしました。きれいな月が夜空にあがっていて、街路灯がなくても十分足下は明るくてらされていました。
私はここで初めてKさんの辛い体験を心からの気持ちと一緒に聞くことになりました。Kさんのお子さんはまだ幼稚園の年少という小ささで白血病にかかってしまっていたのです。不幸中の幸いにしてKさんのお子さんは回復しましたが、そこに至る迄の長い闘病生活、そして、亡くなって行く同じ病棟の患者さんの姿、Kさんの人生観を根底から揺さぶる様な体験が続いたというのです。
「本当に、生きてるってだけでどんなに奇跡的なことか…。走ってるの見るだけで泣けて来たりするんだよ。それと同時に、いつもふと『いなくなっちゃうかも』って不安が襲いかかってくるんだ」
私たちは明日が当然の様にやってくると思い込んでいますが、それは当然でも何でもないことなのです。
私はKさんの話を聞きながら、私の知らない間に彼が辛い思いをしていたことをちっとも知らなかった…と、思いました。そして、生かされているこの一瞬一瞬が本当に幸せな奇跡なのだと思ったのです。