今ブログを振り返ってみて、今年いろいろあったのに書いていないジャンルがありましたので、書いてみようと思います。

転職活動のことです。

数年前から履歴書を日経のサイトに登録し、声をかけていただいたエグゼクティブサーチ会社の持っている案件に応募して、多くは書類選考で落とされ…という感じで、とぎれそうで途切れずにやってきましたが、2012年は「実際にお会いしてみたい」という会社が増えて来て、実際に面接も進む会社が出てきました。

そのプロセスの中で、サーチの会社の温度差もよく感じるようになりました。
まず、サーチ会社のコンサルタントと話をして、自分の希望を理解してもらうところから大概のサーチは始まるのですが、ここでこのコンサルタントの当たり外れは本当に大きいです。大きなサーチ会社で、社員が沢山居るところの会社は、社員の経験の浅さから物足りないことが多々ありました。すなわち、彼らコンサルタントの社員さん達自体、そのコンサルタント業務しか働いたことがなくて、仕事の内容や組織構造の機微といった話で一歩突っ込むと、皆目分からなくなる…ということが多々あるのでした。仕事の詳細やその会社の組織構造等こそが、転職を幸せな転職にするか、悪夢になるかの重要ポイントなのに、仲介役である彼らがそのポイントを実感出来ずに機械的に面会の仲介をするだけでは納得した職探しは出来ません。

でも、個人経営のサーチファームがいいか…というと、一概に、そうだとも言えなくて、忘れた頃に連絡をしてくるけれど、フォローアップは皆無…といった「これでよく独立して会社になってるなぁ」という様なところもありました。

それから、面接が始まって、いざ進むところと進まないところの違いも感じることになりました。一次面接が社長面接のところの方が進むのです。私がターゲットとしているポジションはビジネスリーダーですから、社長直属の部下のポジションです。だから、一次面接官の可能性は二つ:社長か人事部長なのです。

ここでも、「どういう人が欲しいのか」という具体性と「この人どんな人かな」というのを短い時間で見切る判断力で、社長面接の方が、話のノリが違ってくるからだろうと思います。

というのもなんとなく判って来た頃のことでした。

ある個人経営のサーチファームの社長さんと面談の折、
「○○って会社のビジネスに興味ないですか?」と聞かれたのでした。

それは業界では知名度の高い会社の一つです。けれど、セールスの人達はそのブランドに自信を持って売ってくるけれど、会社を退職する人の数も多い…という業界の噂も聞いていました。また、長い間君臨したアメリカからのグループ社長が本国に戻り、その後日本人の社長になってから、がたついているという噂も耳にしていました。余り良い噂も聞かないし、やり方が強引なところも感じていたので

「興味ないです」
と、即答しました。
けれど、そのサーチファームの社長さんは、まぁまぁと私を止めました。

「たしかに、組織の下の人達の入れ替わりは結構激しいかもしれませんが、それは入って来て数年の人の話で、中間管理職以上はもの凄く安定してますよ。」
というのです。また、サーチファームの社長さんは、実際に中間管理職の人を紹介したり、また、リーダーの方々とも実際に仕事をしているので、その文化を判った上で、私にその話を持ち出したのでした。

基本的に、「会ってみないとわからない。会ってみることにマイナスはない」と、思っているので、私はあってみることに承諾しました。ただし、その時点でその会社に空きポジションがある訳ではなく、事業継続プランの一環として「お会いする」という話でした。

リーダーのポジションというのは、社員が沢山いても現実にはそのポジションを張れる人はそうそういないのです。だから、候補を見つけて数年程度成長させてから、そのポジションに就いてもらうというのが「あるべき姿」です。もちろん、内部からの昇進がそういう育成期間も含めて考えると良いのですが、内部の人材で満足出来ないこともあります。そうなると外部からの招請となります。とはいえ、外部から採用を考えるというのは、空きポジションがないのですからなかなかハードルは高い話です。けれど、内部に候補が余りいない場合にはやはりそのステップを踏まないと事業継続プランが作れない、というジレンマに陥る訳です。

ポジションはなくて、この先は曖昧だけれど、外から人をとりたいニーズは厳然と存在するらしい…そんな背景でお会いすることになったのです。

お会いしたのは、その会社の近所のホテルのロビーカフェでした。こういうところで、背伸びをしたり、必要以上に繕うのは意味がないと思っているので、本当に素でお話をしました。その会社の社長さん(社長が沢山出てくるのでD氏としておきます)はどれ位の時間を予定していたのか知りません。けれど、話が弾んで、会話を終えて別れた時には1時間半の時間が経っていました。

もちろん現時点でポジションがないことは、D社長もその場でおっしゃられましたし、私も承知していました。それでも、忙しい社長さんが1時間半も時間をとってくださったというのは、想定外ではありました。話が弾まないと、たとえ30分でも「長い」のです。

結局、この面談(お茶)から、人事部長との面接に至り、そこでもとてもお話が弾みました。それでもまだポジションはありませんでした。

ここからどうなるかなあ?と、漠然と思っていたところ、
D社長が「直に話ししたいから電話していい?」と、言って来たのです。

サーチファームの社長は、「まだポジションないんだけど、直に話がしたいんだって言ってたよ」と言って取り継いでくれました。

D社長は言いました。
「これから使う表現は、まるでティーンエージャーが言うみたいでとっても微妙なんだけど言うね。『あなたのことがとっても気に入ってるんだよ。We like you so much』でもね、ご存知の通り来てもらうポジションがないんだ」

ここで、終わったら「で、私はこの告白でなにせーってーの?」になるのですが(笑)、続きがありました。

「今、動いている案件があることも重々承知なんだけど、そのオファーが来たとして、それを受ける前に、連絡をもらえないだろうか?今から6ヶ月たったら、こちらも状況が変わってると思うんだ。…で、連絡もらったら24時間以内に、返事するって約束する。その時に、それでもやっぱりポジションなかったら、他の会社における君の輝ける未来を祝福するけど、もしもうちにポジションが作れるようなら、その会社に『うん』と言う前に考えてほしいんだ」

まるで昔の「ねるとん紅鯨団」で、「つきあってください」と青年が女の子に告白してしまい、それに対して「まった~」をかける青年みたいです。

私はその熱意と、やはり話がとても弾んだD社長に好感を持っていたので、
「判りました。何か状況が変わりましたら一番最初にご報告することをお約束します」と約束をしたのでした。

D社長はその後も約束を忘れはしませんでした。サーチ会社の社長から、
「どうやら新しいポジション作ってるみたいだよ。話す時間ある?」という連絡が入ったのは、その「何かあったら、連絡するね」という約束をした2ヶ月後でした。私も喜んでお会いすることにしました。なぜか、それまでトントン拍子で進んでいた別の会社の案件がぴたりと止まっていたのも、D社長の会社のポジションを待っていたかの様でした。

D社長のビジョン、今の組織に足りないこと、これから変革していきたいこと、どうしてこのポジションを作りたいか…そういう背景をD社長は説明してくれました。
「今、結果を教えてくれなくてもいいけどね、前向きに考えてね」
というD社長に、私はいいました。

「このポジション私にオファーしてくださるのなら、私、そちらで働かせていただきたいです」
と。


まだまだ決定ではありませんが、大きく一歩踏み出したのです。

最初の印象は良くない会社で、それだけだったら即答で「興味ないです」…と言っていたのに、実際に働いているトップの方に惚れ、そちらも私に惚れてくださり、他の案件がまだ進んでいて、そちらでオファーがあるかもしれないのに、すっぱりとD社長の会社に行くと言っている私がいたのでした。実に不思議で、ご縁があるのでしょうか。