『愛国百人一首』の選定された46首目は津守國貴です。
(著者所持の『愛国百人一首』の津守國貴の絵札)
君 を い の る
道 に い そ げ ば
神 垣 に
は や 時 つ げ て
鶏 も 鳴 く な り
この歌は、正平年間(1346~1370)の間に詠まれた歌です。
歌の意(こころ)
天皇さまの皇運を祈願し申しあげようと、神社に急ぎ足で行ってみると、神社の玉垣のあたりで、早くもその時刻を知らせる神鶏が夜明けのときをつげています。
津守国貴は、住吉神社の神職の家柄を継いだ人です。父の代から南朝に忠誠を誓っていた一族で、父の国夏は北条謀反の時に勅命により滅賊祈願をした功で建武中興のときに恩賞にあずかったそうです。国貴自身の伝記は未詳とのことです。
この歌は、その住吉神社で、神官である津守国貴が南朝の天皇の御安泰をお祈り心を詠われたもので、その御祈りは暁に行う定められ、日々その時間に遅れないようにお勤めを果たそうとする思いが表されているものだそうです。
(著者所持の『愛国百人一首』の津守國貴の読札・取札)
歌の解説は、『國魂 愛国百人一首の解説』著:西内雅と、愛国百人一首の12人の選定委員の一人である窪田空穂による『愛国百人一首』によって行っています。
『愛国百人一首』とは
『伊勢物語』を読む上で、和歌の理解のために読んだ本について