『愛国百人一首』の選定された30首目は藤原範兼です。平安時代(後期)の歌。
(著者所持の『愛国百人一首』の藤原範兼の絵札)
君 が 代 に
あ へ る は 誰 も
嬉 し き を
花 は 色 に も
出 で に け る か な
この歌は、1163(長寛元)年の二条天皇時代に詠まれた歌です。
歌の意(こころ)
二条天皇のこの泰平の御代に生まれ合わせることができたのは、だれしもうれしい限りです。この桜の花も同じようにうれしさを感じ表して咲き誇っているようです。
藤原範兼は、平安時代終わりの頃の人で、若くして進士の試験に合格し、学問や歌道で名声を博した方で、従二位刑部卿の高位にまで昇られた方です。
この歌は、二条天皇の御代に、朝会で「花に喜色あり」という題が出されて詠んだ歌です。
解説によると、平安後期は保元・平治の乱など天皇をないがしろにする振舞が多くなってきたので、心から「君が代」を願う心が強くなってきて、歌などでも詠まれるようになってきたのではとのことです。
(著者所持の『愛国百人一首』の藤原範兼の読札・取札)
歌の解説は、『國魂 愛国百人一首の解説』著:西内雅と、愛国百人一首の12人の選定委員の一人である窪田空穂による『愛国百人一首』によって行っています。
『愛国百人一首』とは
『伊勢物語』を読む上で、和歌の理解のために読んだ本について