今日ご紹介する患者さんは30代女性。
近医受診したところ切れ痔で手術を勧められセカンドオピニオンで受診されました。
まずは患者さんが書いて下さったアンケートを。
この患者さんのように他院で手術と言われた患者さんが大勢来られていますが、本当に手術が必要だったことは一握り。
中には痔はない、痔ではないというケースもありました。
肛門診療で一番のキモは診断だと思います。
ここでつまずくと、そのあとの治療が的外れなものになり、結局、患者さんの不便は解消されない。
それどころか必要のない手術を受けてしまったせいで、かえってオシリのトラブルを抱えてしまうことにもなりかねません。
そういった患者さんもたくさん診ています。
こんな記事を以前書いていますので参考にお読み下さい。
この患者さんの場合、飛び出しているからと一生懸命戻そうとしていたモノは血栓性外痔核でした。
これは血栓のせいで「外側が腫れている」ので、押し込んでも中に入りません。
無理矢理押し込もうとすると腫れて余計に痛くなることがありますので、そーっとしておくのが一番。
妊婦さんが産婦人科の先生に無理矢理押し込まれて悪化する痔?!
血栓性外痔核|手術しなくても治る痔、消えて無くなる痔、おしりの血豆
専門外の先生が脱肛と間違えて手術してしまっている3つの痔
切らなくても治りますので慌てず様子をみてくださいね。
出残り便秘の治療で使っている坐薬。
最初は上手に入れられなくて苦労される患者さんも多いです。
でも大丈夫。
1週間ほどしたら慣れてきます。
坐薬を入れたあとの反応や、そのあとの腸液にも。
切れ痔があると、坐薬を入れるのも便を出すのも痛くて辛いでしょう。
でもそこは頑張って
肛門が便まみれだと傷は治らないので、ちゃんと便を出し切って、いつも肛門の中を空っぽにしておいてくださいね。
その痛みも1週間ほどしたらだんだん落ちついてきて、2週間たつ頃には坐薬を入れるのも慣れて、痛みも随分ラクになっているはず。
出残り便秘の治療で便を全部キレイに出し切ったら、頻尿が改善することも度々経験しています。
夜間に何度もトイレで起きていたのに朝までグッスリ眠れるようになったという患者さんも多いです。
肛門や直腸に便が残っていると膀胱が圧迫され尿意を感じやすくなったり、圧迫された膀胱の容量が減っているため、少し尿が溜まっただけでトイレに行きたくなるようです。
もしもオシッコが近い、何度もトイレで目が覚めるという症状がある場合は、出口の便秘を疑ってみて下さい。
そして何がどう関係するのか分かりませんが、出残り便秘を治したら生理痛がマシになった、生理がちゃんと来るようになったという女性患者さんも結構おられて、便秘って色々なところに影響するのだと患者さんと一緒に驚くこともしばしば。
便秘を治したら思わぬ嬉しいオマケ付きです
たかが便秘。
されど便秘ですね。
最後に
痔の多くは手術せずに治ります。
手術でしか治せない痔は本当に少ないです。
だから手術と言われてもその場でスグに決めずに、一度、他の先生の意見も聞いてみて下さい。
もしかして全然違う診断になるかもしれません。
その際はできるだけ肛門を専門にしている先生を選んで下さいね。
肛門科と書いてあっても専門とは限りません。
専門の先生の探し方は以下のサイトを参考にしてください。
日本の肛門科の歴史と現状〜専門の医師を見分ける〜




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