過去の記事はコチラ↓
「肛門科専門医の探し方」
「何が専門?」
「本業か副業か」
「女医さんはもうこりごりです(;。;)」
「ちゃんと肛門科の先生に診てもらってる?」
「専門じゃないって書いてて欲しかった!」
専門医って肛門科だけじゃありません。
実は星の数ほど「専門医」が存在するんです。
内科専門医、糖尿病専門医、眼科専門医、皮膚科専門医、・・・
などなどたくさんあります。
すべて学会が認定するものですが、
この専門医が分かりにくいのでまとめたり、科ごとに決めたり、もう一度新しく分類し直しましょうということで発足された日本専門医機構。
ところが・・・
肛門科専門医が存続の危機なんです。
外科の中の一領域なのでそっちに含めよう
とか
日本大腸肛門病学会が認定している専門医だから内科も外科も肛門科も一緒でいいだろう
などなど今、もめています。
そんな中、臨床肛門病学会で
肛門科は必要か、クリニックは生き残れるか
というテーマでシンポジウムが開かれました。
その中に東京の肛門専門施設の先生が
肛門科の専門性について述べておられました。
(以下抜粋)
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
肛門疾患については
十分な修練を積んだ専門家による診療が当然となる。
肛門科を安易に標榜する施設が見受けられるが、
肛門疾患の診療の難しさを考えれば
あり得ないはずである。
肛門疾患は
肛門科専門医だけが診療にあたる、
素人は診療に当たらせない
という姿勢を明確にしなければならない
そうすることによって
肛門科クリニックは生き残れ
患者にとっても幸せなことである。
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
私も同意見です。
星の数ほど「肛門科」の看板を掲げてる医療機関がありますが、専門にしている医師は全国でも250名程度です。
ほとんどの医師が「専門外」です。
でも患者さんには分かりません。
どうせ受診するなら専門の先生に
と思って受診している患者さんが多いと思います。
私が肛門以外のことに詳しくないように
例えば内科の先生だったら
内科のことには詳しいけれど
肛門科のことはあまり知らない
というのが現状です。
だけど看板には自分の専門外の科も掲げてしまう・・・
ついでに診れるのであればいいのですが
片手間で、ついでに診れる疾患ってそんなにないと思うのです。
自分が自信を持って最後まで責任を持てる領域は1つだと思います。
二足のわらじは履けません。
専門にしている先生には叶わない
と思うのです。
私が元々皮膚科医だったこともあり、
よく他の先生方から
皮膚科は、やらないの?
やったらいいのに
って言われますが、皮膚科の診察はするつもりはありません。
だって今は皮膚科医じゃないし
皮膚科のことを詳しく知らないし
皮膚科を専門にしている先生には叶いません。
そんなことしたら
皮膚科の先生に失礼だと思っています。
だから皮膚科の看板は掲げません。
それをやると「肛門科診療所」じゃなくなってしまいます。
うちの施設は創立以来103年、
肛門科のみの専門施設として生き残ってきました。
拡大路線も取らず
他の科を併設することもなく
どんなに時代が変わろうとも
頑なに「肛門科」にこだわってきました。
だからこそ生き残っていると思っています。
うちの診療所がこれからも生き残れるのか
それは分かりません。
もちろん後世に残したいと思ってはいます。
でも患者さんから必要とされなくなったら淘汰されるべきだと思うのです。
人に迷惑をかけてまで生き残りたいとも思いません。
私たちのやっている医療が
患者さんから必要とされるのであれば
結果として生き残ると思います。
自分たちのために
自分たちが生き残るために
医療をやりたいとは思わないです。
ましてや
うちの診療所は自由診療です。
保険が効きません。
高いお金を払ってでもここで治療を受けたい
と思ってもらえるような医療を
ここの診療所じゃないと困る
と言ってもらえるようなモノを提供できなれば
自費でやっている意味がありません。
だからいつも自問自答しています。
保険診療では出来ないことをやってるか?
保険診療では提供できないモノは何か?
金額に見合ったモノを提供できているのか?
日々、考えながら生きています。
この仕事を選び
この診療所で生かされている私たちは
自分たちにしか出来ない仕事を
常に模索し、感じながら
患者さんと接しています。
大げさですが
人生を賭けて仕事をしています。
だから
たくさん悩んだり
時には泣いたり
つらくて苦しいこともたくさんあるけれど
患者さんからの「ありがとう」の言葉や
患者さんの笑顔で
本当に幸せになれます。
この仕事を選んで本当に良かった
そう思えます。
私たちの思いや技術は
何も診療所を存続する
という形だけではなく
後世に伝えられたら・・・と思っています。
このブログもそうです。
診療所が無くなっても
私が死んでも
このブログが誰かを励ましたり
誰かを勇気づけたり
誰かが救われたりしたら
これほど嬉しいことはありません。
そう思ってブログを書いています。
だから
「自分にしか出来ない仕事は何か?」
「これは自分にしか出来ない仕事か?」
と問い、
仕事を選んだり引き受けたりしています。
後世の肛門科医が困った時に読んでくれたら・・・
と思い、論文も書きました。
きっと検索すると私の論文が出てくると思うので。
息子の卒業式で
ちょっと色々と感じることがあり
こんな記事を書いてしまいました。
感動の卒業式でした。
また卒業式の話は別記事で書きたいと思います。
診療所のセラピードッグ「ラブ」
診療所でのセラピー活動も
ラブにしか出来ない仕事だと思います
診療所でのセラピー活動も
ラブにしか出来ない仕事だと思います