水曜日の稽古
久々に晴れた日の夕方、空気が柔らかく、暖かくなったのを感じながら北角の道場へと向かった。
Java Road スポーツセンターに着くと、いつも月曜の自分の稽古に来る香港合気道協会のメンバーが、すでに着替えを済ませていた。
聞くと、今日は通常使っている官涌の道場が使えず、臨時に北角での稽古になったという。
隣り合わせにあるアクティヴィティールーム1と2で、ともに同じ合気道の稽古が行われる。 そんなこともたまにはある。
稽古は、重心の沈みと腹を使った受身を意識して、両手取り天地投げから。
まずは、ストレッチをするように柔らかく、受けは後方に身体を反らし、腹と背で身体を支える。
取りは、中心をしっかりと保ちながら、膝を緩め重心をしっかりと落とす。
この意識と感覚が掴めたところで、技へと移行。
表技では、中心から出ての地の手の崩しと、天の手の使い、裏技では、緩めた腰で引き込みながら、脱力した両手を自分の肩口へ背負うように運んでからの地の手の切り替えしでの崩しで相手を崩す。
受けは、腹を使い、バタンと落ちない粘るような受身を取ることを意識して動いてみた。
踏み替えての崩しでは、相手の腕に当てた手の接点と自分の中心を繋げるように意識すれば、重心も下がり、相手も崩れやすくなる。 肩を掴まれている後ろの手も後方へ使い、身体は前傾しないこと。
同じ一教の崩しから入身投げ。
一教裏技への踏み込みを大きくして転身、転換して入身投げへ変える。
転換は重心が沈むように、最後の投げの部分では、重心が落ち、両足がしっかりと畳を捉えた体勢で、投げの手は伸びた状態で天井を差す。
そこから、中心で押すように腕を前方に振り落として残心。
肩取りからのもう一つの当て身となる肩取り面打ち。
接点となる相手の押し返してくる力を切らないように転換しての崩しで腕の押さえへと入る。
手首の取りは自然に二教、裏技へは、転換の後、横移動する崩しで二教の極めへ入る動きとしてみた。
受けが行う、取り技の取り(掴み)は、先制攻撃の意味合いも持つ。
取りに行く際は、自分の中心から相手を攻めるような感覚で取りに行くこと。
稽古中にも申し上げたが、胸取り、肩取りなどは、腰が入ったしっかりした半身の立ちで、相手に掴みかかるくらいの感覚で掴みに行く。
突っ立った立ちで、相手に向かって行かない馴れ合いの稽古では得るものも少ない。
このところ続けている流れの動きを意識した両手取りを捌いての四方投げの後、座技呼吸法で終了。
袴
袴が立て続けに大破と中破。
ほぼその寿命を終えようとしていた古い方の袴は、膝が抜けたのを穿こうとしたところ、その切れ目に足先を入れてしまい、裂け目をより大きくしてしまった。
方々で酷使した袴は、各所に刷れた部分も多く、腿裁ちの部分には、折り目が擦り切れて口を開け補修した部分もある。
糸も弱り、ばらばらになるのも時間の問題、それでも最後まで寿命を全うするまで使ってやるつもり。
背板の角から始まり、上が切れるのは、痛んでくる最初のステップ。
背板のゴムも割れたので、横の部分もヘたっていたのを家内が藍の共布を使って当て布をして直してくれた。
袴のストックは、全部で五本、一本は新品のまま寝かせている。
新しいのを穿けば良いのだけれど、どうしても馴染んでいる古いほうに愛着を感じてしまう。
道具は道の共、愛着を持って使ってゆきたい。
合気道新聞 創刊号
合気道新聞の創刊号(昭和34年4月10日創刊)が、(財)合気会 本部道場 合気道図書館のサイトで公開されている。
このような貴重な資料が公開され、拝読できるのは本当に有り難いこと。
特に開祖(当時は道主)の「発刊のことば」と吉祥丸道場長(当時)が記されている「合気道の主旨」は、サブタイトルにもあるように、この道を志す人には必読と言える。
小さな個人とはいえ万有宇宙の一部分、合気道は自己実現の道でもある。
さらに、2ページ囲みにあるO.S生氏(O.S師範?)が書かれている「くり返すということ」も興味深い。
「よく、合気道の稽古は面白くないとか、あきるとかいって」という書き出しで始まるこの囲み記事。
合気道の技を和歌や絵画を引き合いに、「合気道の技をくり返すことは、技の妙味を味わいながら稽古すること」と繋げている。
そして稽古は、苦行、修養、我慢といった堅苦しいものではなく、「楽しみにゆく」といった感覚で、素直にやれば自然に上手くなって行くと記されている。
同様に、「自分の最も真剣なアソビの一つとして続けて行こうとおもっている」とも記されている。
自分の気持ちもこれに近い。
稽古に行くときの気持ちはいつも、子供が遊びに行くような気持ちで行くし、実際に稽古で遊んでしまうこともある。 それでも、常により上手く、上を目指して行く気持ちは持ち続けている。
稽古心得にも「稽古は常に愉快に実施するを要す」とある。
自分も愉快に真剣に楽しませてもらっている。
月曜日の稽古
北角での香港合気道協会での稽古。
開始時には、初級者が目立ったので、膝の使いと重心の沈みをメインの課題として動いてみた。
大きな動きでの呼吸運動から、片手取り呼吸法。
中心から出る、沈むように出る、転換するの体捌きから四方投げ。
体捌きというよりは、脚捌きに特化したような稽古で暫く動いてみた。
続いては、正面打ち一教。
先日、金沢師範よりご指導いただいた下から合わせて当てがうような返し。
身長の高い相手、低い相手と相手を替えて、次々と試してみた。
意識を変えれば、硬い初級者も格好の稽古相手となる。
「どうぞ」と言いながら、実のところは自分の稽古をしていることもある。
そうこうしているうちに、有段者が数名加わってきたので、両手取りを入身転換で振って崩しての四方投げ。
これも先日の巡回指導で金沢師範よりご指導いただいた捌き。
入りっぱなの入身転換から崩した相手を中心に納めて四方投げへ入るのではなく、一旦自分の中心を通過させて、さらに大きく振るように崩す。
出会いから、繋ぎ、崩しまで、接点となる手首は自分の前でS字の軌跡を描く。
大きく崩せば、崩しからの揺り戻しで、そのまま相手を倒してしまうことも可能となる。
自分が興味を持っているのは、実はこの部分。
流れに乗ってくる有段者にはかかるけれど、動きが単発で終わる初級者には、まだかかりづらくなる。
もうしばらく稽古の場を借りて、続けてみたいと思う。
身体を柔らかく、腕を抜いて使うのには絶好の両手取り呼吸法の後、中心から思い切り良く前へ出る横面打ち天地投げを元気良く、最後に座技呼吸法で終了。
稽 古
一昨日までの巡回指導の残像を心身の内に残しながらの自分の稽古。
まずは、膝、中心(腹)、腰の使いを意識した体捌きから。
膝の使いは、このところの自分の稽古でも意識を集中して行っていた課題、金沢師範の稽古でご指導が受けられたのは、まさに意を得たりという感。
さらに、中心を意識し、腰を入れた受けを取ることで、受けを取りながら身体を作ってゆくことを意識して、体捌きに続いて、受けを取ることをメインにして入身投げを動いてみた。
中心を落とし、しっかりと保ちながら、地についた脚の捌きで相手についてゆく。身体は前傾させず、膝を柔らかく使った脚のさばきで動く。
受けに特化した後は、投げに特化した稽古。
転換の後、相手を自分の肩に呼び込んだところの位置から、腕を一杯に振り上げ、同じ側の脚を踏み込みながら振り下ろす。腕で投げるのではなく、中心から押し出して沈む感覚。
分解すれば、踏み込んで相手をのけぞらせるように崩し、腕の振りと重心の沈みで倒す。
意識は腕ではなく、自分の中心(腹)に置く。
受け、投げに特化した後は、正面打ちに変えて一本の流れでの入身投げ。
重心の沈みと目一杯に大きな腕の使いは、常々、なんだかの一つ覚えのように口にしていたので、出来ている。あとは、入身投げでは、膝の使いと、受けを取りながら身体を作って行くことを意識して稽古を続けて欲しい。
続いては流れで、取りに来た相手を入りっぱなの入身転換で振るように崩しての両手取り四方投げ。
取りに来る手を磁石が引き付けるようにタイミングを合わせて捌きに入る。脚と腕の捌きは大きく大胆に、一呼吸置くことで、相手はさらに慣性で崩れるので、そこを待って四方投げへ。
これは今日、自分が個人的に、自分のためにやりたかった稽古。
崩しの振りと、そこからさらにの一呼吸、それで崩しきれて倒れてしまうくらいの崩しが理想でもある。
両手取りからの呼吸法は、脱力がポイント。
腕を脱力し、しだれ柳か、猫の手のように使い、ことで、強く抑えられた手も上がるようになる。
腕を棒から紐か帯のようなものに変えることで、相手の力は伝わらなくなる。
肘を絞り手首を垂らしたまま、中心線に沿って上げてゆき、顔の辺りで手首を立てながら天上へ突き立てるくらいに大きく振りかぶって、腰を切れば相手は崩れるので、そのまま腕を体側へ振り下ろす。
これも入身投げと同様に、膝と中心が沈みながら、腕は天上へ伸びた状態から投げへと入る。
座技呼吸法で終了。