はやみねかおる * 角川書店


夏のはやみねかおる祭ということで、再読。

毎日九時には就寝し、休みの日は写経、休講で時間が空いたら図書室で自習。飲酒なんて以ての外! な大真面目でどこかおかしな主人公・快人。ひょんなことから存在そのものが怪しい「あやかし研究会」に入会させられた彼が、幼馴染で霊能者である春奈と諸悪の根源・長曽我部先輩に振り回されながら学園ライフを送る連作中編集。

日常の不思議を解く作品としてはかなり秀逸。ミステリというよりは学園コメディーくらいの感覚で楽しめる作品です。

一番の謎は、たぶん長曽我部先輩の存在そのもの。一体何ものなのかはっきりしませんが、続編がでるとしたらそちらも解明されるのかしら。こっそり楽しみにしています。

あと何でも良いですが、これを初めて読んだとき、私は「カッパのカータン」が何か知りませんでした…。


はやみね かおる
僕と先輩のマジカル・ライフ

石崎洋司 * ジャイブ カラフル文庫


小学五年生のもりめが、駅前にある怪しい学習塾の実体を解明すべく調査してゆく話。全体的に普通、というか王道な感じのお話でした。シンプルといえば良いのかな。

コミック的な展開と、受験戦争に関連させての大人への批判。最終的にきれいにまとまっている感はわかりやすいけれど、少し物足りなかったような気も。

おミズがはっちゃけてて可愛らしかったです。この子ほんとうに塾に通ってんのか。だいじょうぶか、川上ゼミナール。


石崎 洋司
妖怪塾にごようじん

大塚英志 * 徳間書店


MADARAシリーズは名前を知っている程度です。

それでもどうしようもなく意味がわからないなんてことはなかったですし、思春期の困惑・葛藤的な背景はしっかりしていて読みにくくはなかったです。視点がうろうろするのは気になったけれど、本編に関わりのないエピソードを無駄に放り込んでいる点なんかは好ましく。人によっては嫌いそうだけれど。

でもやっぱりよくわからなかったなぁ。結局、シリーズとして楽しむのが一番良いのだと思います。よくわからないので評価のしようがないというか。

あと徳間のソフトカバーでラノベなのは非常に気恥ずかしかったです。文庫かノベルスならこんな感じはしないのだろうけれど。不思議。


大塚 英志
僕は天使の羽根を踏まない

竹本健治 * 講談社 ミステリーランド


あああ、これミステリーランドで良いんですか講談社さん…。

事件そのもの、動機、解決、夢の中の描写、多様なところでゾクリときます。ミッションスクール、男子寮の地下、密室内での人体自然発火、変わり者で知られる四人組、男女問わず人気のある儚げな男子下級生。これがときめかずにいられようか。ほう。

「子どもの頃に読みたかった話」でこういうものを書くというのは、さすがとしか言いようがありませんね。面白かったです。


竹本 健治
闇のなかの赤い馬

はやみねかおる * 講談社 青い鳥文庫


未読・再読あわせてごちゃっとした読み方をしたので、まとめて。


亡霊(ゴースト)は夜歩く
シリーズ二作目。再読です。

虹北学園の四つの伝説になぞらえて、「亡霊(ゴースト)」を名乗る人物が文化祭前の学園に奇妙な事件を巻き起こす。”学校”という場所に対する思いが強く描かれているのですが、これを現役教師が書いたのだと思うと感慨深いです…。

レーチ初登場の巻としては、やっぱりにこにこしてしまうのですけれどね。かわいいんだよ、このカッコつけ…(笑)。


踊る夜光怪人
シリーズ、えーと、五作目? こちらも再読。
桜林公園に出没すると噂される謎の夜光怪人。文芸部の後輩からの依頼で虹斎寺へ調査に乗り込んだ亜衣とレーチは、おしょうに見せられた謎の暗号を解くことができるのか。名探偵の解決の仕方がたまらなく愛しい一冊でした。清志郎さんはこうでなくっちゃなぁ。

暗号トリックがけっこう難しくて…正直「いすのうえ」以外解けませんでした…。


機巧館のかぞえ唄

シリーズ六作目。

有名推理作家の自宅、機巧館でひらかれたパーティに呼ばれた名探偵といつもの面々。次々と起こる事件は、消えた老作家の呟いたかぞえ唄に見立てられていた。

完璧にしてやられたと思えるミステリ。児童書でこういうことして良いんですか、とまで思った、シリーズ中一番本格で一番難解な作品「夢の中の失楽」と、教授にかかればすべて事件となる怪談話やふってわいた赤ちゃん騒動。みっつの話が入ってます。


魔女の隠れ里

シリーズ四作目。再読。

笙野之里(しょうののさと)で企画している推理ゲームのアドバイザーをたのまれ、桜の咲く里へやってきた名探偵たち。しかし到着したとたんに始まった推理ゲームは、「魔女」と名乗る人物の復讐劇で…。

これもすごく好きな話。清志郎さんがあえて謎をひとつ解き残して去ってゆくのが…!(きゅん) 表題作ほか、雪魂の藪の謎、羽衣母さんのお話も収録。


ギヤマン壺の謎

シリーズ七作目にして大江戸編。

みんながタイムスリップしてしまうお話かと思いきや、名探偵は夢水清志郎左右衛門(笑)。連作短編のような形式で、清志郎左右衛門がイギリスや長崎、江戸で待ち受ける謎を解き明かしてゆきます。三つ子もレーチも伊藤さんもみんな江戸時代のひとたちになっちゃってるのです。

相変わらずのなめてかかれないトリックと、江戸編ならではの新キャラと史実人物も登場して、なかなか面白かったです。何より、注目すべきは怪盗九印(くいん)、その正体や如何に(笑)

徳利長屋の怪

シリーズ八作目。そしてまだまだ大江戸編。

お花見にやって来た名探偵夢水清志郎左右衛門一行。大勢の花見客の見守る中、予告通り盗みを成功させた怪盗九印の正体は? そして、幕府軍と新政府軍の戦から江戸を守るために清志郎左右衛門のとった行動とは?

色々つまった大江戸編下巻。上巻よりも面白かったかな…。九印の正体は充分予想範囲内なのですが、『いつも心に好奇心!』ではやみねさんが仰っていた、「クイーンの先祖のあの人とあの人」が気になるところ。これってやっぱあの人とあの人、なの、ですよね?どきどき。

人形は笑わない

シリーズ九作目。

セ・シーマの謎解き紀行の取材で鞠音村へやってきた名探偵一行。謎の死をとげた人形作家と、彼の残した「人形の塔」。文芸部の映画制作も加わった、「魔女の隠れ里」から続く「辺境地での不思議な事件」第二部です。(三部作なんだってさ)

文芸部員が良いキャラしてるなぁ。特に一年の一ノ瀬くんが凄い、何者だあの子…!(やっぱアレの使い手、なのですよね…!きゅん!)謎解き部も安定感があって読みやすく、良かったです。亜衣ちゃんとレーチもやっぱかわいくてたまんない。

『ミステリーの館』へ、ようこそ

シリーズ十作目。再読です。

事故で引退した老マジシャン・グレート天野の作ったテーマパーク「ミステリーの館」へ遊びに行った名探偵たち。美食ミステリコーナーで舌鼓を打つ教授があっさりと解いた謎の先には、本当の「ミステリーの館」が待っていた。

一部袋綴じという、児童書でやっていいんか、な仕掛けを再び持ってきた一冊。「僕と先輩のマジカル・ライフ 」の快人くんと春奈ちゃんが出てきます。あの大掛かりなトリックの解明は彼女がいてこそ、ですね。袋綴じの中の袋綴じ、名探偵による「真実」の解明にはどきどき。快人くんも好きだけど、やっぱ清志郎さんだなぁと思いました。

あやかし修学旅行 鵺のなく夜

シリーズ十一作目。

中学最大のイベント・修学旅行へ向けての準備に追われる虹北学園の生徒たち。不思議な伝説の残る旅先へ向けて、楽しい旅行になるはずが、鵺と名乗る人物から修学旅行の中止を求める手紙が届いて…。

これも好きだなぁ。複雑な事件やトリックはないのだけど、だからこそ、こういった謎が解けるのは清志郎さんだけなのだろうと。生徒たちがそれぞれ独自の力で修学旅行を動かしているのも凄いです。本当に凄いのは教師たちかもしれないけれど。

文芸部の後輩たちは今回もかわいかったのですが、やはり一番の注目株は歌枕くんですね。すごい中学生ばっかりだ…!あとバスの座席表やレーチの友人たちなど、またマニアックなネタを仕込んでくれています。笑。


そして五人がいなくなる

シリーズ一作目。再読。

隣に引っ越してきた自称「名探偵」の夢水清志郎は、一日中ソファに転がって本を読んでいる変な人。物忘れが激しくて、自分の年齢どころかその日ご飯を食べたかどうかも覚えていないという超非常識人間のこの名探偵が、「伯爵」によって次々消されてしまった子どもたちの謎を解き明かす!

清志郎さんの魅力って一冊目から全開なのですよね。素敵だ…。「ほんとうにみんなが幸せになれるように」事件を解決する名探偵。児童文学としては勿論、ミステリとしても、物語って本当はこうあってこそなのだよなぁと思います。


笛吹き男とサクセス塾の秘密

シリーズ十二作目。清志郎さんのシリーズはこれで十周年だそうです。すごいなぁ。

銀の笛を奏で、夕暮れの街を徘徊する笛吹き男。夢の国へ連れて行ってくれるというその噂の中心は、かならず成績が上がると評判のサクセス塾だった。

何か物足りない気がするのは動きがあんまりなかったからかなぁ…シリーズ通して亜衣ちゃんの一人称で貫いているわけではないので分かっているのですが、一人称・三人称混じって視点がコロコロ変わるのがちょっと付いていき難かったです。一気に読んでしまっておいて何ですが。笑。

亜衣ちゃんだけでなく真衣ちゃん美衣ちゃんの恋愛事情も発展してきてますね。がんばれ一ノ瀬くん、私はきみを応援している(でもストーキングは控えましょうね…)。

はやみねかおる * 講談社ノベルス


漫画版「少年名探偵虹北恭助の冒険 (高校編) 」(未読…)の原作小説。なんていうか恭助くん全然推理してないですね!笑。

響子ちゃんに恋するミステリ研究会部長や、虹北古書店に居候中のフランス人・真衛門さん。その妹・美絵留など、新キャラが色々登場しております。

ていうかミリリットル家! ミリリットル家!! あれは彼の家系ということ、ですよね。つまりあの人の血縁ということですよ、ね! すごいなぁ…。クロスオーバー大好きなので、本当楽しいですこういうの。

お話の方は、ああ漫画的に考えたのだなぁという感じがしました。斬ったり蹴ったりどついたり…。トリック(らしいトリックもなかったような気はしますが…)も絵で見て映えるものを持ってきてます。

しかし相変わらず講ノベ読んでる気がしないなぁ…このシリーズに対するメフィスト読者の反応って如何なのか少し気になるところです。

で、気付いたんですけど私「新冒険 」は読んだけど「新・新冒険 」は読んでませんでした。今度読もう。ていうかいっそ最初から読み返そう…。


はやみね かおる
少年名探偵 虹北恭助のハイスクール☆アドベンチャー

はやみねかおる * 講談社 青い鳥文庫


舞台は数々の大事件を乗せてきたオリエント急行。

セ・シーマの伊藤さんと一緒に名探偵・夢水清志郎が、元収容所T部隊の少年を連れて犯罪組織・黒猫が、それを追うICPOの探偵卿・マンダリンが、そしてどこかの誰かに変装した怪盗クイーンが、ヨーロッパを横断する豪華列車内で、パンドラの匣を巡って動く。

夢水清志郎とクイーン、夢のW主演作。おもしろかった!!

清志郎さんが出てくるとやっぱりミステリになりますね。おまけ的要素の方が多いですけど(笑)、ふつうに推理物としても楽しめました。(でも公式の掲示板とか見ていると、青い鳥の年齢層にはちょっとむつかしかったみたいですね)


どこからどう感想すればいいのやらな状態なので、必殺・箇条書きを行使したいと思います。ちまちまネタバレしてますので嫌な方は素通りでおねがいします。長くてごめんね!(愛の差)


清志郎さん

>クイーンと並んでもまったく劣らない変人っぷりです。最強だと思うよこの人…!(オミヤーゲには笑いました…)

毎度のことながら出ずっぱりの癖に目立っていないような気がするのは、事件と関係の無いところに首を突っ込んで(否、食べ物を口に突っ込んで…)いるからですかね。でもきっと全部わかってた。クイーンは彼にだけは一生勝てないんじゃなかろうか(毎回変装見破られてる時点で怪盗の負けですよ)


クイーン

>今回、これでもかというほどかわいさを振り撒いておりました。やることが子どもだ!かわいいなぁ!!

あまり出番はなかったですが、まぁクイーンの変装を見破るのもひとつの楽しみなので仕方ない。それより気になるのは、交友関係。サッチモと初楼の時もそうでしたが、やはり「十年前」くらいがちょうど、ひとり立ちしてからジョーカーを拾うまでの期間にあたるのかな、と。そうすると本当に、いったい幾つなんだあの人…。


ジョーカー

>出番はあまりないかな、と思っていたのですが、亜衣ちゃんたちに申し訳ないくらい出てましたね。うふ。しかし本当にクイーンの心配しないなこの子…!

思ったより早く収容所関係がお目見えしましたが、意外と動揺しませんで残念でした(…)。「弱くありませんよ」でなく「強いですよ」なところが可愛いです。たしかに最近弱いとこ続きだったからね…。随分大胆なことをやってくれましたが、ちょっとクイーンに似てきたか?(殺されそうだ)
あと、何でもいいですけど、寝間着はタンクトップですか…?(前どっかでナイトキャップかぶってたと思うんだけどな)


ヤウズ

>番号で呼ばれた時は身悶えました。この子も逃げ出してきた子なのですよね…ということは収容所は今も稼動してるということ、ですか。「出逢い」の方であまり明確にされなかった部分は今後開けてくるのだろうなぁと思っていたのですが、どうなのかなぁ。

キャラクター的にはもっと活躍して良かった子だと思う。残念。

しかしあの、投げキッスは何だったのだろう……ファンサービスかな…(うん?)


三つ子

>スペシャルなのにまさかの出番なし宣告。ショックでした。亜衣ちゃん…!!

まぁストーリー的に不要だったので仕方ないですよね、最初と最後だけで満足するより他ありません。教授大好きな三つ子が大好きだよ!


架空対談

>お腹いっぱいになりました。もう、ジョーカーくんは、あんな可愛くて良いのか、と…!(ぶるぶる)

例のプロポーズ(違)に関してはすごい意外だったのですが(クイーンの考えてることが分からない…)、ジョーカーくんとRDはホッとしたに違いないと思います。これ以上変なのが増えたら、人工知能だって脱毛症になりますってば。


はやみね かおる, 村田 四郎・K2商会
オリエント急行とパンドラの匣

蘇部健一 * 講談社 青い鳥文庫


無茶苦茶で大人げなくてロリコンな稲妻先生と五年四組の子どもたちのお話、というと普通っぽいかな。けど本当に無茶苦茶なんですよこの先生…! 出会い頭から最悪です。女性店員さんにエロビデオの苦情を言っちゃうような勇者は駄目だと思います。あほだ。
班決めドラフト会議とか、男子みんな楽しそうで良かったです。小学生男子の、いかに可愛い子と近付くかという単純ながらも解りやすくかわいらしい思考が非常にほほえましかった…。ていうかおまえら必死すぎだ…!(笑)
羽住さんの挿し絵がすごく可愛くて、ネガティブにもほどがあるあとがきはいっそ萌えました。つまらなくなんかなかったよ蘇部たん!(…)
続きがあるようなので是非そちらも。


蘇部 健一, 羽住 都
ふつうの学校―稲妻先生颯爽登場!!の巻

令丈ヒロ子 * 講談社 青い鳥文庫


一巻と二巻を一緒に。

交通事故で両親を亡くした六年生のおっこが、祖母の経営する旅館で若おかみとしてがんばってゆくシリーズ。

一巻は起承辺りが掴めなくて首を傾げ、二巻は結が掴めなくて首を傾げてました。んんー、美陽ちゃんの登場をギリギリに持ってきたのには何か理由があるのかしら。どうせならもっと派手に事件にすれば良いのに(或いは今後作っていくのかな)
あと秋野親子は明らかに嫌なキャラなのに、真月ちゃんがあんなにカッコいいのは何故だろう…(笑)あれだけものの考えられる子なら、余所の旅館に乗り込むような真似は失礼だし下品だと思いそうなものなのだけど。あの子が今後母親のセンスに疑問やらを持つようになれば、私は彼女を大好きになります(いや今でも相当好きですが)。
ああ、あとウリ坊と峰子ちゃんのことは素直にすてきだと思ったのですが、事故のことは正直ちょっと、気持ち悪かったです…(…)(だってご両親亡くなってんだもん…)


令丈 ヒロ子, 亜沙美
若おかみは小学生!―花の湯温泉ストーリー〈1〉
令丈 ヒロ子, 亜沙美
若おかみは小学生!―花の湯温泉ストーリー〈2〉

新堂冬樹 * 新潮社


タイトル通り、吐きそうなくらい過激で厭悪の募る愛をテーマにした短編集。『この小説には暴力シーンやグロテスクな表現が含まれています』表記が必要。うかつに読むとトラウマになりそうです。
自己の中心で愛を叫ぶ!という煽りの通りに、登場人物みんなおかしいです。突出して良かった話はなかったのですが、『英吉の部屋』が一番気持ち悪かったかな。死んでくれ頼むから。
新堂さんはいつか読まないとなぁと思っていた作家なのですが、しかし大概酷かったです。長編も読んでみたいな。


新堂 冬樹
吐きたいほど愛してる。