令丈ヒロ子、あさのあつこ、阿部夏丸、那須正幹、はやみねかおる * 講談社 青い鳥文庫


青い鳥文庫25周年記念短編集。二分冊で、青龍編(関東方面在住作者)と白虎編(関西方面在住作者)とに分かれています。はやみねさんとあさのさんが詠みたかったのでとりあえず西側を。

全体的な出来としてはあさのあつこの『蘭と桜と春爛漫』が一番良かったんじゃなかろうか。あのページ数できれいに話をまとめ、自然や恋愛や漫才(笑)など、蘭ちゃんのシリーズには欠かせない要素がたっぷり入っていて驚きました。力量を見せ付けられた気が。

一番はしゃいだのは当然はやみねかおるの『出逢い+1』なわけですが、これについては冷静なコメントが出来そうにありません(…)。ファン待望の過去・出逢い編なので、クイーン好きな人は他の作家知らなくても買いだと思いますよ。

青龍編も後々読むつもりの方向で。


令丈 ヒロ子, あさの あつこ, 阿部 夏丸, 那須 正幹, はやみね かおる
おもしろい話が読みたい! (白虎編)

古川日出男 * 文藝春秋


随分時間はかかりましたが(歴史って苦手…)すっごい面白かったです。遡れば同じ犬を祖先にする様々な犬たちが、出会い、別れ、血を残して死んでゆき、そしてひとりの日本人少女へと繋がってゆく物語。
私の出来の悪い頭では理解出来なかった部分も多々ありま、した、が……。ていうか本当どうして計図ついてないのさ文藝春秋さん?
犬たちみんなカッコいいんですけど、カブロンの辺りのエピソードが一番好きです。あとやはり、ストレルカ。(うん、ヤクザ大好きだよ…)
直木賞は逃したのですよね、残念…。


古川 日出男
ベルカ、吠えないのか?

はやみねかおる、松原秀行 * 講談社 青い鳥文庫


青い鳥文庫創刊20周年企画作品。
はやみねさんの「怪盗クイーンからの予告状」は人工知能・RDシステムを盗み出すと予告した怪盗クイーンVS名探偵夢水清志郎と三つ子のお話。
松原さんの「パスワード電子猫事件」は、まどかが知人から預かった回文を作り出すネコ型人工知能AIMIAと、インターネット上掲示板への謎の投稿者「クイーンだ」による暗号の事件。
確かに清志郎さんたちと通信探偵団が共演なわけなのですが、ところどころリンクしているだけで別の作品が二本収録されている感じ。パスワードシリーズは読んだことがなかったのですが面白かったです。教授のボケっぷりも可愛かったー。
それぞれ特徴的で、別々でも充分楽しめる作品でした。

あとネタバレになるので理由らしい理由が叫べないのですが、もう本当にジョーカーかわいかった…。どうしようあの子、騙されたに違いないよ……!(じたばた)


はやみね かおる, 松原 秀行
いつも心に好奇心!―名探偵夢水清志郎VS.パソコン通信探偵団

福永令三 * 講談社 青い鳥文庫


昔一度読んだのですが、シリーズ通して読みたくなったので再読。ってもほとんど覚えていませんでした…。
まさに児童向けというひらがなっぷりと挿し絵が非常に愛らしく。12もある悪い癖を一つずつ克服するのにパターン化が見られないのは凄いなぁと素直に思います。
シルバー王妃は可愛いんだけど可愛いじゃすまないところがかなりあって、そりゃ王も逃げるわ…とか思うのですが結局はラブラブなお二人。いったい何なんだ(笑)
シルバー王妃の悪い癖はユカにも当てはまるらしいのに、しっかりたしなめているところも微笑ましい。シルバーが国を巡って他人の所行に自分を顧みたのと同様、ユカもシルバーに呆れながら我が振りなおしていったのだろうなぁ。


福永 令三
クレヨン王国の十二か月

風野潮 * 講談社


ビート・キッズの続編。高校生になったエイジは、はじめて組んだロックバンド『beat kids』でドラマーとして成長を重ねる日々。

これを読むと、前作は序章だったのだなぁという感じが。あまり期待はしてなかったのだけど、充分面白かったです。
ゲンタが七生と被りまくってるのは意図的なものなんだろうけど、チビで女顔で口悪いって明らかに狙ってますよね(狙われた!)前も思ったけど、やっぱ女性向けが視野にあるのかしら(それとも作者が好きなだけか?)
しかしエイジは不幸だなぁ…良い子だ…。親父さんはアホすぎていっそ愛しいです。同じ轍踏むなよ!もう!!
続編はもう出ないのかしら。


風野 潮
ビート・キッズ〈2〉

畠中恵 * 双葉社


開けると奇妙な出来事が起こる不思議な缶『とっても不幸な幸運』。酒場に持ち込まれ、開かれてしまった謎や事件を、一風変わった店長が愉快な常連客たちと解明・解決してゆくという連作短編集。
面白かったのだけど、色々ツッコミ所が…なんか所々文章ごっそり抜け落ちたんじゃないかと思う部分も気になりました。説明不足というか、…酒場の賑やかな雰囲気出すためなのか?
話自体は全体と毛色の違った第五話がお気に入り。序章と終章も、童話っぽいというか、かわいくまとめた感じで良いです。
あと毎回思うんですが、この人の作品、帯がすっごい可愛いですね。同じ人が作ってるんじゃないと思うけど、雰囲気ピッタリで大好きです。


畠中 恵
とっても不幸な幸運

佐藤友哉 * 新潮社


表題作だけがやけに長い短編集。この人はいつもこんな胸くその悪い話ばかり書いていてしんどくないのかしら若いのに…。(褒めています)
全体的に『幼女』『暴力』『近親相姦』て感じでしたが、とりあえず表題作が一番面白かったと思います。つーか本当に妹好きなんだなぁ…。
しかし何をおいても表紙の写真がすごく良い。ちょっとゾクッとくるものがありますよ。(でもあの熊っぷりは笹井さんの描くユヤタンを思い出す…笑)


佐藤 友哉
子供たち怒る怒る怒る

恩田陸 * 角川書店


テンポの良さに思わず一気読みしましたが、あらすじを聞かれるととても困る本です(笑)
とにかく膨大な量のエピソードと人物が東京駅近郊で走り回って衝突してもみくちゃになりながら凝縮してゆくさまは見物。タイトル通りのまさにドミノ倒し状態で、ごちゃごちゃしているのに読みやすく、実に愉快でした。個人的に、エリコねぇさんと子役二人がお気に入り。
良い具合にばかばかしく、スリルのある物語。お見事でした。


 
恩田 陸
ドミノ

歌野晶午 * 講談社


日本のポピュラー・ミュージックに君臨する覆面の歌姫“ROMMY”。通算七枚目となるオリジナルアルバムの収録中、彼女は仮眠室で扼殺死体となって発見された。
犯人探しよりもROMMY自身の隠し持った秘密が仕掛けとなっているミステリ。っても歌野晶午ですから、そんな単純な枠に入る物語じゃない。もうあと残り20P、という辺りで思わず声に出して「ぎゃふん」と呟いてしまいました。この人はまたどうしてこんな反則技を…。
読むのに随分時間がかかってしまったのですが、非常に面白かったです。
……幕間のリリックは今一つでしたが…。ROMMYによるものだとされてるけど、誰が書いたんだろう。


歌野 晶午
ROMMY―そして歌声が残った
Rommy―越境者の夢
こっち文庫。タイトルは違うけど同じ内容のはず。

風野潮 * 講談社


運動も勉強もからっきしだけど、病弱な母に代わって毎日の家事をこなす明るい少年・英二。ある日突然クラスメイトに誘われて訪れた吹奏楽部で、部長兼指揮者兼ドラメの菅野七生に気に入られ、パーカッションをやるはめに。
ドラム音楽を通して中学生男子二人の青春と成長を描いた物語です。
筋書きも内容もお約束っちゃお約束だなぁ、と思いながら読んでいたのですが、英二の家事情は思ったより簡単には丸く収まりませんでした。父との衝突は思春期のテーマだものな。
しかしその分、七生の成長部分が端折られてしまったような気がします。ってのも私が七生好きだからですが…「……ふん、ガキの飲みもんやな」は名言だと思います七生さま。性格悪い。かわいい。


風野 潮
ビート・キッズ