舞台写真その6 | 舞台裏

舞台写真その6

みなさま、こんにちはニコニコ



今朝、屋根がうっすらと白くなったのを見て

「雪だ―」とうれしい気持ちよりも、「ついにこの季節がやってきた!」と

ゲンナリしたくまはちです。


ついに昨日から雪が降りましたね雪の結晶



* * * * * * *




それでは、舞台写真の続きをご紹介していきます。

(ネタバレ注意)



舞台写真その1

舞台写真その2

舞台写真その3

舞台写真その4

舞台写真その5


の続きです。




『ゆはずの涙』



舞台写真その6


(いよいよ今回でラストです)




「和尚様、悪いがのんびり話する気分じゃねえんだよ」


深い悲しみの中、「和尚様」に拒絶の態度を見せる「政吉」。




「まあそう言うな。会わせたい人がおってな」





「和尚様」が外に向かって声をかけると、

顔を隠した人物がやって来ました。



「もうよかろう」


「和尚様」の合図で、その人物は布を外します。




それは、「人柱」になったはずの「はる」でした。




「はる!…これは夢か……」

「お父!」




「政吉」は「はる」へ駆け寄り抱き合います。




「はる!どこに行ってたんだ。探したんだぞ。

お前がおらんで、おら飯も食わされなんだよ…」



「ばあちゃん…」


優しく抱きしめる「はる」。



「ばあちゃん」もうれしそうです。



「和尚様、こりゃあ夢でねえんだな。いったい何があったんだ」


何が何だか分からず戸惑う「政吉」。

「和尚様」が再び外に向かって声をかけます。



「政吉さん、心配かけてしまって本当にすまなかった」


「彦一」「三之助」「太郎」が姿を見せました。




実はこの一連の顛末は、「彦一」の考えによるものだったのです。



「次忠」に切り付けられた後、「和尚様」と「三之助」と相談し

人柱が成功したフリをしようと決めたこと、


村の衆みんなで人柱の穴をひと通り掘ったあと

「三之助」と二人でその穴へ通ずる横穴を掘ったこと、


雨も降って来て首尾よくことを進められたこと。



…これまでの経緯を語る「彦一」でした。




穴の中へ落とされ、もうダメかと思った時

「彦一」に縄がほどかれ横穴に押し込まれたこと、


そこから無我夢中で逃げたこと、


…「はる」もその時のことを語ります。




「なんで俺を仲間に入れてくれなかったんだよ!

あん時ははる姉が殺されると思って必死だったんだぞ!」


怒りをぶつける「太郎」に対し…



「太郎がこの大芝居を壊しやしないかと、ヒヤヒヤもんじゃった」


と言いつつも、結果的に「太郎」の必死な姿が

「はる」を助ける事になったと語る「和尚様」。





そういうわけで、この二ヶ月の間、「はる」は顔を隠して

「和尚様」の寺に隠れていたのです。





「何と礼を言っても言い尽くせねえだ。ありがとう」

「はる、酒の用意をしてくれ」


感謝の気持ちを伝える「政吉」。




…とそこに響く「ばあちゃん」の一声。


「はる。おらの飯はまだかの」



「そうだ、ばあちゃん忘れとった」




平和な笑いに包まれます。


。。。。。。。。。。。。。。。。




翌日の夕方。



「和尚様」と「彦一」は共に「政吉」の家へ向かいます。



「昨夜すぐに、あの話を切り出した方が良かったんじゃないかの」

何やら案じている「彦一」に対し、


「ここは政吉と婆とはるの再会を見守ることも大事なことじゃ」

と喩す「和尚様」でした。





「三之助」「太郎」は先に着いており、皆が見守る中

「和尚様」は「政吉」に「実は大事な話がもう一つある」と言います。




「待って、和尚様!おらが言うだ。」

「今日は…お別れを言わねばなんねえだ」




今まで通り皆とこの家で暮らしたい、

しかし一度死んだ人間がまた元に戻ったら

今度こそ何をされるか分からないこと、


だから村を出ることにしたと「はる」は言います。




「おらは出て行くことでしかみんなを守れねえだ」

「はる、おらが守ってやるから行くな」


突然のことに激しく動揺しながらも、

「政吉」は必死に思いとどまらせようとします。


「政吉さん、はるちゃんはおらが必ず守る!」


突然キッパリと言い放つ「彦一」。



「一緒に行かせてくれ」

「だれも知らない土地で、自分たちの力だけで生きてみます。

いや、生きぬいてみせます!」


まっすぐな想いをぶつけます。



「なんでおら達が別れ別れにならなきゃなんねえだ」

「なあ和尚様、教えてくれよ」




「源流で生まれた一滴のしずくも、おのずと流れるところに流れ

小川となり大河となるのじゃ。

その一滴のしずくも荒れ狂えば洪水になり『悲しみの涙』となるが

彦一やはる、そしてみんなが力を合わせて作った土手のお陰で

今や田や畑を潤す『めぐみの一滴』となったんじゃ」


「定めを受け入れ、定めの中でより良い道を作るのじゃ」


「若い者達が『どんなことがあっても生きたい、生きぬくんだ』と

必死に考えて出した答えじゃ。辛いだろうが、その想いに答えてやれ」



「和尚様」は想いをこめて、穏やかに語りかけます。



「はるはそれでいいのか…」


「政吉」を見つめ、静かに頷く「はる」。



自らの「はる」への想いを封じ込め、

「三之助」も泣きながら「彦一」に託します。





「ところで太郎はどうする?彦一たちに付いていくか?」





「付いて行ったって、はる姉を守るどころか足手まといになっちまう」

「おれ、もっと強くなりてえ」



「太郎ちゃん、お父に田んぼや畑を教えてもらったらどうだ」

「いっそ政吉の子どもになったらどうじゃ」


「はる」や「和尚様」の提案に対し、ギョッとする「太郎」。


「おれはこれからも、おれの好きなように生きていくさ。一人でたくましくな」

「まあ、ばあさんや政吉が死んだ時には花ぐらい供えてやるよ」

「だから、はる!安心して出て行きやがれ…!」


様々な想いを飲み込んで、「はる」を送り出そうと決心した「太郎」。

成長した「太郎」を皆優しく見守ります。


「さあ!彦一、はる、もう行くがよい」




「それじゃ、行くから…お父」


静かに頷く「政吉」。



旅立つ前に…



皆の想いを受けて、深々と首を垂れる二人。



「彦一!」


政吉が呼び止めます。





「はるはよぉ、はるはよぉ!

大飯ぐらいで泣き虫で顔は黒くてお転婆で雷が怖くて

ネズミが怖くて蛇が怖くて、

それから…それから…

とってもとっても心根の優しい子じゃ。

ほんとに、めんこいやつじゃ!」


「よろしく頼むぞ、彦一!」




「はる、どこかに行くんか?いつもどるんだ?

楽しいみやげ話待ってるぞ!」


「ばあちゃん」も見送ります。



「彦一」と「はる」、二人は旅立っていきました。




「はるは良い娘じゃから、ちゃんと帰ってくる、のう」


ニコニコと語る「ばあちゃん」。



「ああ…そうだ…はるは帰ってくるだ」

「はるが帰ってきたら、旨い物食わせて、いっぱい遊ばせて

暖けえ布団で眠らせて」

「婆さま、長生きしなきゃなんねえぞ。おら達ははるが戻るまで

生きねばなんねえだ」

「なあ、はるよ…」



「はる」が旅立って行った方を見ながら

力強くも優しく語りかける「政吉」でした。





…幕…  



* * * * * * *





またも大変長くなってしまいました。

読んでいただき、ありがとうございました。



稽古中のブログではモザイクをかけて

ご紹介できなかったところを公開できてうれしいですニコニコ

(特にカツラ)



次回からは、



◆アンケートでいただいたご感想など

◆仕込み風景

◆舞台装置や小道具

◆楽屋&打ち上げの様子



などをご紹介して行く予定です音譜



そして今週の水土は公演総括が行われます。

そちらの様子もご紹介させていただきますね。



もう少し続きます虹





(くまはち)