奥山久美子の美と健康のワインライフ -789ページ目

究極の鮎の塩焼き

進化する日本料理 究極の鮎の塩焼き@龍吟2010/08/08 2:24

龍吟の山本征治シェフの天才的な料理の才能には毎回ビックリさせられる。

「驚きではなく、目からウロコが落ちると言わなくてはならない」とシェフに言われて、またもや感心。

日本料理が進歩するためにはどうしたら良いかと、毎日徹底的に考えては検証し、新しいものを取り入れては伝統的な手法に立ち返ることを、繰り返していくうちに今のスタイルになったとのこと。

これほど日本料理の可能性を宇宙レベルにまでも広げたシェフはいないでしょう。

1970年生まれで、12年前にソムリエの資格も取得するほど先取り精神が旺盛。

発想力と芸術的な技術、そしてやる気満々のオーラが凄いです。

日本料理は夏は最高。

「鮎」「うなぎ」「鱧」が旬なのだから、フランス料理が可哀想かも。

「鮎の塩焼き」のプレゼンテーションは川で泳いでいる姿、岩塩にお茶の葉をまぶして見事なコケ石に見立てている。

美味しさの秘密は、直前まで泳いでいた鮎に串をさし、頭の部分を下にして備長炭で炙ること。

氷で冷やした鮎だと、外側と内側の温度差があり、理想的に火が通らないらしい。

頭が火に一番近いからパリっと焼け、さらにお腹の脂が落ちてくるから唐揚げのような食感に。

お腹部分はふっくら、そして火から離れている尻尾は干物のようになる。

鮎の魅力を究極に活かすのは「6億年前の岩塩」!

パキスタンの「パハール」というバラ色の岩塩だ!

お店の入り口に宝石のようにして飾ってあります。

シェフには気も伝わるらしいけれど、6億年というと、地球はカンブリア爆発(生物の爆発的な進化)のちょっと前、ミネラルが十分に熟成していて、究極の鮎にピッタリ。

鮎は塩焼きのままだと、クリュッグ・グランド・キュヴェに合わせると深遠なるハーモニーを奏でます。

また、龍吟の「紅蓼酢」はスイカのジュと米の粘りが加わり、川のコケを食べている鮎の香りを引き立てる。

これには、リッチで重厚なクリュッグのヴィンテージ1989と一緒に頂くと迫力が増します。

山本シェフもクリュッグが正解とおっしゃっていました。

日本料理の哲学は、素材を最大限に活かすように限りなく工夫をして調理をすること。

ワインもテロワールを映し出す鏡であるブドウが、醸造されてワインになっていることに共通しているので相性が良いというシェフのご意見にも、私は同感です。

ブドウが歌う歌を翻訳してワインにするのはヴィニュロン、もしも山本シェフがワイン造りをしたらロマネ・コンティのような芸術的で完成度の高いワインを造るのでしょうね。

今後、益々進歩する龍吟の日本料理を心から楽しみにしています。

お店では、偶然川島なお美ちゃんご夫妻にお会いしました。

アフター・コンサートは新日本料理@ボンバンス

アフターコンサートには日本料理「ラ・ボンバンス」2010/07/23 4:45

六本木男性合唱団倶楽部の10周年記念公演を拝見しに赤坂サントリーホールに行ってきました。

ワインやアートに造詣の深いグラフィック・デザイナー麹谷宏先生をはじめ200人近いメンバーが情熱的に熱唱された曲目のテーマは「最後の手紙」

第2次世界大戦で命を落とした13名の方達が最後に書いた手紙を、三枝成彰さんが平和を願って作曲されたものですが、重いテーマではありました。

アフター・コンサートは西麻布の「ラ・ボンバンス」。

ユーモアのある名前が付いたセンスの良い10種類のお料理のコースが10800円だなんて、本当にカリテ・プリ。ワインもリーズナブルです。

また、サービス精神旺盛なシェフ、そしてお料理を運ぶスタッフが毎回違う人だったりと本当に楽しいレストランです。

美味しくてボリューム満点なので、若いお客がとっても多い。

1.鈴木 乃亜来 (スズキのあらい)

2.続 真夏の三冠王~和食編 (鮑・松茸・鱧)

3.ナスムースと透明なトマト

4.one peach うなぎ丼 パン・デ・ケージョ 水なすの牛ロース包み

5.フォアグラのソテーとリゾフライ とりゅふふそ~す!

6.うにうに

7.ふぃれの炭火焼き肉 山科唐辛子 酸奨

8.干し貝柱 相並 デカ浅利 冬瓜 (グラグラに煮えたぎっている)

9.831 (野菜)

10. are you ソーメン

白ワインは「2007 マランジュ」

コート・ドールの最南端の村、ドメーヌ・シュブロの当主の奥様は日本人のかおりさんです。

とってもフルーティなのに、粘りけがある点がマランジュらしい。

赤ワインは「2007 モンテリ・プルミエ・クリュ・レ・ヴィーニュ・ロンド」

モンテリはコート・ドールのムルソーの裏側にある村で、白はプチ・ムルソーといった趣、赤はヴォルネをチャーミングにした感じです。生産者によっては田舎っぽくて無骨なタイプもあるけれど。

ドメーヌ・パスカル・プルニエ・ボヌールは、「オーセイ・デュレス」の白も洗練されていてエレガント。

赤も白も和食に完璧に合います。

毎月メニューが代わるそうなので、来月も是非行きたいと思いました。

Le Meilleur Vignoble de Japon ミサワ・ワイナリー@明野

Le Meilleur Vignoble de Japon 日本の最優秀ブドウ畑2010/07/18 2:00

昨年の10月からアカデミー・デュ・ヴァンで「ブドウ栽培体験講座」を再開しました。

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1013年前は山梨県勝沼にある「丸藤ワイナリー(ルバイヤート)」の北畑で、カベルネ・ソーヴィニヨンの剪定から収穫まで、本当にエキサイティングで楽しい経験をしました。

最近は日本でも、ワールドクラスの本格派ワインが増えてきたけれど、当時はボルドー大学で学んだ大村春夫さんのような方は珍しく、故浅井宇介先生が「日本の希望の星」とおっしゃったのが昨日のことのようです。

北畑は、小さいので生産量は少ないけれど、傾斜もあり風通りの良い素敵な畑であり、益々洗練されてきています。

今回の研修地は「中央葡萄酒、グレース・ワイナリー」の三澤茂計さんが、2001年に明野に拓いた12haもある壮大なブドウ畑。「ミサワ・ワイナリー」。

日本で最も日照量が多い土地、その上富士山、八ヶ岳、南アルプスが見渡せるという華麗なる「日本の最優秀ブドウ畑」です。

明野農場は標高700mの高山性気候を持ち、適度な傾斜のある手入れの行き届いた畑の様子は、スケールの大きさとセンスの良さにおいてバツグン。

暗渠(あんきょ、地下に水路を作り水はけを良くする)システムもバッチリだそうです。

ブドウ樹の樹齢も7年を過ぎて、メルロ、カベルネ・ソーヴィニヨン、シャルドネが立派に育ち、素晴らしいワインが続々と生まれてきているのが嬉しいことです。

垣根栽培の「甲州2009年」は甲州の秘めたポテンシャルを証明。本当に凄い。

また、勝沼の菱山畑の甲州が、今年ロンドンで売られるそうですが、今後の甲州の活躍が楽しみです。

ワインには造り手のパッションや芸術性が表れますが、三澤社長の激情は確かに伝わってきます。

ワイナリーのレストラン「彩」のお料理を仕切る素敵な奥様、素晴らしいワインメーカーの彩奈さんやスタッフの方達もいらっしゃるから、益々明野に通うのが楽しみ。