梶原景時・悪名の正体〈再掲〉 | 天地温古堂商店

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大河ドラマ『鎌倉殿の13人』が快調だ。


いよいよ13人が出揃い、同時に生き残りをかけたバトルロイヤルがはじまる。

7月19日のデイリースポーツWebサイトによると、〈「鎌倉殿」次回ついに梶原景時を暗黒追放〉とあり、次のように報じられた。

NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」は次回24日に、第28回「名刀の主」が放送される。
源頼朝(大泉洋)の急死で、御家人たちの権力闘争が勃発し、二代鎌倉殿に就いた源頼家(金子大地)との対立も起こる。
大荒れの中で、公式サイトの次回予告では「梶原景時の変」のメーンテロップで、暗黒闘争の最初の事変が発生することを伝えている。


梶原景時(中村獅童)は、石橋山で敵将だった頼朝を見逃して命を救い、源氏方についてからは寡黙に汚れ仕事を担い、上総広常(佐藤浩市)暗殺時には苦悩を極めたことも。
ほかの御家人たちには景時を嫌う者が多く、反感がたまりにたまった状況にある。


一方でネット上では、景時の乱を前に、前回の第27回で、奇妙な登場をした男に注目する投稿も相次いでいる。
北条義時(小栗旬)の妹で、阿野全成(新納慎也)の妻実衣(宮澤エマ)に琵琶を教える先生として登場した結城朝光(高橋侃)。
頼朝が烏帽子親で、景時失脚の原因となったとも伝わる。


第27回ではウグイスが意味深な鳴き声をあげる広間で、朝光は実衣に「琵琶の名手と言えば唐の国の楊貴妃。
絶世の美女にこそ琵琶は似合います」と言って、怪しい目つきで見つめて、実衣がうれしそうにほほえみ返した。


ネット上では「なんで…ここから」「あのふたりきっかけで梶原殿は追い込まれてしまう」「結城朝光をいきなり阿波局と直接絡ませるって…ああなんて露骨な景時弾劾フラグ」「まさかの景時追放への伏線だと気づいて震撼」「景時失脚の原因」と反応する投稿が相次ぎ、景時の変がどう描かれるのか注目が集まっている。
(2022年7月19日 デイリースポーツWebサイトより)


景時退場のきっかけはこの人らしい。

鎌倉殿の13人 結城朝光

 

梶原景時は、日本史のなかで、江戸時代の人々にもっとも憎まれた3人のうちのひとりだ。

大悪役の男だが、鎌倉時代の僧・慈円は「愚管抄」の中で、梶原景時のことを

 

一の郎等

鎌倉本躰の武士

 

と書いている。
鎌倉武士随一の武士と称賛しているのだ。

 

景時は、怜悧で周到な男だ。

謀事にしても水も漏らさない。

結局、成功はしなかったが、最後の最後で京都を巻き込んでの大謀略を画策していたともいう。

 

作家・海音寺潮五郎は史伝のなかで、梶原景時をこう見極めている。

 

世間には頭脳が優秀であるくせに狂信的な人間がいる。

こんな人間は往々にして神経質で、陰湿で、意地悪い性質になる。

いわゆる刻深というやつ。

官僚などになると出世する型である。

景時はそれだったと、ぼくは見ている。

 


大河ドラマ『鎌倉殿の13人』で中村獅童が演じる梶原景時(NHK提供)神戸新聞webサイトより

梶原景時について、以前に書いた記事を再掲します。