人の振り見て我が振り直せ。
日本が戦争に負けて80年、お隣中国では抗日80年ということで、日本軍を素材にした映画が複数作られているようです。日本のメディアは「反日感情が煽られて現地の日本人の安全が云々」とニュースで流しています。それで日本での反中感情が高まるような気配がありますが、実に愚かしいと思えてなりません。立場を逆にしてみたら、日本人が色々難癖つけて外国の人に対して排外主義的な姿勢を取ったりレイシズムを剥き出しにするのと同じだからです。そもそも中国が対外的に流すニュースの全ては「中国共産党のお墨付き」なものでしかありません。反日は中国の政治中枢の中にあるもので、市井の人が全て反日ということはありません。中国のメディアが反日映画云々と言うニュースを流し、やはら反中の意識を持っている政治やメディアの人達がそれに釣られているようにしか見えません(日本のマスメディアは恐らくは政治経済関係者しか見ておらず、市井の人々を見ていないのでしょう)。
人の振り見て我が振り直せ、ということです。この30年くらいでこの国では「相手の立場に立って物事を考える」と言うことが本当にできなくなりました。ここで一歩立ち止まって考えるだけで世界がギスギスすることはかなり抑えられるのですが。
Hermeto Pascoal
ブラジルの巨人、エルメート.パスコアルが亡くなりました。外見的に年齢不詳な感じの人だったのですが、父の一つ下だったのだと知りました。この人に最初に捕まったのは20代の中頃で、確かサッカー中継か何かの音声にハモをつけたやつだったように記憶しています。全部音にしようとするメシアンのような技法よりも断然に面白かったのです。なぜそのアルバムを買ったのかはもう記憶にありません。キワモノっぽいけどチェックしておこう、くらいの気持ちだったかもしれません。音楽の理論自体はいわゆる西洋音楽ベースに比較的忠実でありながらあらゆるものや動物の声やあれやこれやを違和感なく音楽の中に取り込んで成立させる感覚は唯一無二のものでした。インプロヴァイズな要素もなくはないけど、基本にはものすごく譜面の多い音楽であったようにも感じられます。個人的にはあらゆるものを詰め込んだハチャメチャなトラックよりも内省的な音楽に惹かれます。ソロピアノのアルバムはその典型。また。マイルスのLive-Evilに収録された3曲も魅力的です。このアルバム、セラードアでのライブ音源ばかりが語られますが、私はエルメートとのスタジオ作品の方が好きです。この3曲はマイルス名義なんだけど、音楽は完全にエルメートの音楽で、エルメートの掌の上にマイルスが載っている感じです。マイルスの作品では参加したミュージシャンがインスパイアされて「マイルスの音楽の一部」になるんだけど、これだけは全然違うんです。マイルスを喰ってしまう圧倒的な個性があったということではないかと(ハンコックやショーターはブラジル音楽とも交流したけどマイルスはそれをしなかったというのも興味深くはあるけれど)。幸運にも生前に一度だけ生で見ることができました。私はこういう性分なので、その現場でもそこで演奏される音楽を分析しながら聴いてしまうのですが、実にハッピーな音楽でした。こんな人もう二度と出てこないだろうなぁ、と感じます。
モダンビッグバンドの聖典、まさかの復刻!
Mel LewisのLive at Montreaux。ボブ.ミンツァーのアレンジしたハービー.ハンコック作品集です。これ、長年廃盤だったものです。MPSからのリリースだったのに全然復刻されないので、もしかして関係のあったPAUSAレーベルの破綻が絡んでいるのかと考えて復刻なしと考えて長年LPを探していたものです。ここに収録されているone finger snap, dolphin dance, eye of the hurricaneの3曲は1980年代以降日本の学生ビッグバンドの定番でもありました。この頃のメル.ルイス.ジャズオーケストラのビデオなどでそのいくつかは確認できるものの、このアルバムだけが未復刻なのでした。ミンツァーはこの後ジャコのビッグバンドのアレンジャーとなって名声を確立しますが、彼の初期の重要な仕事でもあり、80年代以降のモダンビッグバンドジャズの最重要作品の一つと言ってよいものと思います。よくぞ復刻してくれました。ちなみに私はここに収録されている5曲のうち4曲演奏したことがあります。
