普通 異常 そして人間
ニューヨークから帰ってきて髪を短く刈った。
後ろ髪だけは長いまま。
そして金髪にした。
この歳になって普通はやらないだろう。
こんなパンクなヘアースタイル。
じゃあ訊くが…、「普通」って何?
「普通」の46歳ってどんなの?
郊外の分譲住宅を30年ローンで買う。
毎朝7時半に家を出て満員電車に押し込まれる。
年功序列で課長になってオフィスではセクハラ三昧。
慰安旅行で仲良くなった短大卒入社3年目のOLと不倫。
中間管理職の弱さ、毎日残業。
最終電車の隣に座った女のミニスカートの裾が気になって仕方ない。
家に帰れば寝静まった家族を起こさないように暗いキッチンで冷えた飯をかっ食らう。
不倫相手にハートの絵文字入りおやすみメール。
そして明日もまた同じ繰り返し。
明後日も同じ繰り返し。
マシンだな。
「普通」ってのはマシンになること。
人間が人間として生きるのは「異常」なこと。
それが現代の日本という国。
人間個々の生き方が「普通」という言葉で否定される。
俺は人間だ。
あいつも人間だ。
あの子も人間だ。
彼も彼女もみんな人間だ。
人間として人間らしく生きたくはないかい?
人間らしく死んでいきたいとは思わないかい?
だって、みんな人間なんだから。
人間は人間なんだから。
Congratulation NewYork
今日はNFLのスーパーボールだった。
勝つか負けるかただ1試合の決勝戦だ。
そのカードが今年はニューヨーク・ジャイアンツ対ニューイングランド・ペイトリオッツ。
アメリカ人にとってこのスーパーボールってやつは盆や正月(アメリカに盆はないが・・・)より大事な行事。
俺が向こうにいる時から既にESPNでは連日特集番組。
街にはジャイアンツのキャップやジャージを身に付けたオッサン達(!)。
あちこちのスポーツ・バーは今夜は予約無しでは入れないからと予約受付の貼り紙。
向こうでは日曜の夜に試合が行われたので日本では今朝。
1クオーター毎に優勢が入れ替わる熱戦の末みごとジャイアンツが勝ったというわけだ。
今頃あの街の連中が大騒ぎしている様子がリアルに浮かんでくる。
前回ニューヨークに行った時はヤンキースがリーグ・チャンピオンになってワールドシリーズに進出した。
向こうにいる時に始まって日本に帰ってから最終戦を見た。
あの時もニューヨークが頂点に立った。
あの街のどの辺りのどんな場所でどんな連中がどんな盛りあがり方をしているか。
それが分るのがすごく楽しい。
日本では1番人気のあるプロ・スポーツは野球だとは思う。
しかし12球団どのチームがチャンピオンになったところでアメリカのあの盛り上がり方には到底かなわない。
と言うか大して盛りあがりもしない。
俺の住んでいる名古屋という町だけなのかもしれないが・・・。
人気がありそうに見えるサッカーでも然り。
J・リーグなんて全然盛りあがっていない。
なら日本だから相撲?
外国人力士だらけで盛りあがりも何もあるわけない。
確かにどんなスポーツでもそれぞれのファンの間では盛り上がるのだろう。
しかしこの国にはアメリカの4大スポーツやヨーロッパや南米のサッカーのようなスポーツは無い。
スポーツが盛んな国というのは元来が狩猟民族だった国が多いと聞いたことがある。
狩りや戦いの血がスポーツに引き継がれているらしい。
日本にも狩りや戦いの歴史が無いわけではない。
しかしその動機や目的の歴史的背景が欧米のそれとは全く違うので今日のこの状態は仕方ないだろう。
スポーツに限らず、文化や経済にしても全てが内側にしか向けない民族なのだから。
日本人としての「血」だけはどうしようもない。
今回の旅でもその「血」を物ともせずに外に向い挑んでいく連中と何人も出会った。
そんな連中を俺は最大限リスペクトする。
俺もこの内向きの「血」に引きずられることなく外へと向って行きたい。
それが人間の本来の姿だと思うから。
俺もあと1ヶ月で47歳。
3年すれば50歳、半世紀の人生だ。
年齢なんか関係無い。
人間として生まれた以上は死ぬまで人間なんだから。
帰国
ここ何日間はあまり寝てないうえ今回は日本の航空会社だったということもあり飛行機で一睡もできなかった。
なので昨日は帰ってしばらくして落ちたきり激睡に暴眠。
しかし今も落下寸前。
時差ボケは無いので本当にただの睡眠不足。
今回の旅では前回にも増していろいろ思うことがあった。
日々の日記でも書いてきたが、言いたい事や伝えたい事がもっとある。
今の状態ではただの毒吐きになりそうなのでまた追って書いていこうと思う。
日米音楽事情
今日はいつもオープンマイクをやっている店に通常ライブを見に行った。
この店は月曜の夜がオープンマイク、その他の曜日は3、4組の出演でライブが行われている。
出演者は日本のように素人ではない。
お客からお金をもらうのでプロではあるがそのニュアンスに日本との違いがある。
日本ではプロというといわゆるメジャーレコード会社と契約しているミュージシャンに限られる。
メジャーとの契約が切れ、インディーズからリリースしているミュージシャンを「元プロ」と呼ぶ者もいる始末だ。
スケジュールを見るとCDリリース記念ライブと銘打ってあるシンガーがいたので行ってみた。
きっと気合の入ったライブをやってくれるだろうと期待して行ったが裏切らないいいライブだった。
その店はノーチャージ、飲食代だけ払えばいいシステムだ。
やり方は日本でも同じだがチップ・ボックスが廻ってきてそこにお客はチップを入れる。
日本でいう「投げ銭ライブ」というやつだ。
日本では無料ライブだと勘違いしてチップを入れるのを躊躇う人が多い。
入れてもらっても10円玉、50円玉がほとんどだ。
1円でも頂けるだけありがたいと思え、と言われればそれまでだが…。
こっちはしっかりとチップ・ボックスは満タンになり全額ミュージシャンに渡される。
こういうミュージシャンはこれが生活の種だ。
チップが少ない気持ちは俺にもよく解る。
予算ぎりぎり、最低限のチップを入れた。
今日はCDリリース記念ライブ。
新しいCDを買ってもらうためのライブだ。
終演後、当然何人ものひとがCDを買っていた。
こういうライブでCDが売れない悔しさや悲しさは俺にもよく解る。
ライブがコケたならまだしもいいライブだった。
俺も1枚購入した。
アメリカが全面的に正しくて日本が全面的に悪いとは決して言わない。
しかしアメリカの方がいい所をたくさん持っているのは事実だ。
昨日までのウイリー・ナイルやスティーブ・フォーバート、そして今夜のライブ。
いつものオープンマイクもそうだ。
これが音楽の本来在るべき形だと思う。
日本に持ち帰っても決して形にはできない、根本的な考え方の違い。
それがある限りいつまでも日本は本物になれないだろう。