雨降る土地にうたが生きる -7ページ目

夢の島


埋め立てられた海に
廃棄されるのは夢の残骸
足元には気をつけて
傷つける刃がそこかしこ

遠く影になって
船が水平線を滑る
いつかなくした幼い夢も
どこかに埋もれてる

風景画しか書けない画家が
額にしわ寄せながら
何を描こうかと
ただただ都市を見ている

埋め立てられた海に
廃棄されるのは夢の残骸
かもめが何かを探して
残骸の上で海風を待つ

やがて日の入り
暗くなる前に帰路に就く
画家はいったいどんな色を
キャンバスにのせるのだろう

やがて誰もいない岸壁の上

黒と白


ぼんやりと酔った目で
港のいくつかの明かりを見た
真っ黒な海面にゆらりと揺れ映っている

ジャックダニエルのラベルを
意味もなくはがしながら
まだ寒い夜風の中
一口ずつ口に含み飲み込む

あれは綺麗な姿だった
おしろいに紅をさして
失った恋の記憶など
飲み込んでも吐き出しても
どうしようもなく

ぼんやりと酔った目で
山の手のいくつかの明かりを見た
そこにはある程度の幸せがあるのだろう

ボトルが空になる頃には
瞳を焼くような強烈な白い陽ざしが
容赦なくあたりを照らし出す

高い靴を履いて

高い靴を履いて
音楽を聴いている
ぐったりとしながら
でもしっかりと生きている

明日の話をしようよ
きっと楽しい未来が待っている
そして
幸せな気分になれるんだ

そっと降る雨の涼やかさ
夕日の優しさ

こころがこころを呼ぶ

豆腐と醤油と娼婦


よなきそば屋で木綿豆腐に
醤油をかけて生姜をのせてもらって食った

俺の食欲とも欲望とも関係なく
とある娼婦がやってくる
源氏名はゆうこというらしい
本名も何も知らないまま

空には下弦の三日月
ここの豆腐 夜中なのにうめえな
主人にそう言うと
ゆうこはふふふと笑う

夜はまだ続く
彼女も姿を消し
俺はただがむしゃらに酒を飲む

さかりのついた猫が赤子のようにないている

さて夜だ
ビー玉程度の報酬で
漁に出かける僕は
皆に馬鹿げてると言われながらも
さかりのついた猫の鳴く街を離れ
左手にゴムを仕込んだモリを持って
シュノーケルもなしで潜っていく
水深30メートル
そろそろ手持ちのライトの光も暗くなってくる
あいつだ
狙いを定めてモリを発射する
余計に奴は真っ黒なスミを吐き
前も見えないまま
僕は海面へと急いで上がる

そんなに息が続くなんてめずらしいな
たいしたことないですよと謙遜する
それにしても見事な真蛸だ
蛸は船上でぐったりとしている

争い



家を遠く離れ
見も知らぬ景色
作戦を命じられ
ただ殺してた
同じ血を持つ
違う文化の人々

またひとり
またひとり
またひとり ああ
またひとり ああ

悲しみと血液が
そこらに溢れて
逃げるための
ヘリが来る

新しいヘリが来て
またひとり
またひとり
またひとり ああ
またひとり ああ

何もかもが間違って
何かしら見て
いのちを終える

泣かないで ああ

不安


お腹に命を持ち
習慣的に仕事をする
やがてお腹の大きさが
仕事の支障になる
いのちの重さが体にのしかかる
お前は産まれてくるべきだ
父の事など知らなくていい
あたしのそばにいておくれ
あたしがお前を
責任を持って
産み育てる

デオ


詩を書きながらため息をつく
幸せが逃げるからため息はやめな
相方が言う

煙草の煙は何かの象徴のように立ち上る
これまで失ってきたすべてのために
いままで得てきたすべての悲しみに

指が止まりTVを見る
たいしたことなどないのだが
そこには編集された時がある
時にくるまれてまた想いに沈む

純粋


何ともない会話が
繰り返される中で
ふと僕の弱点を突いてくる
そうです
と僕は素直に答える

僕の髪の毛がその辺に落ちて
ゴミとして捨てられる

でもあの頃の君の長い髪は
美しく言葉も出なかった
目を合わせることすら苦しかった

僕の髪の毛がどんどん伸びる
イグサのようにためらいもなく
乱雑に伸びる

君はもういない
僕は空き缶を蹴飛ばす

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