雨降る土地にうたが生きる -22ページ目
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ドンキホーテ


さて決心は固めた
ここで思いっきり買い物をしよう

財布も軽いが
気持も軽い
初めての一人暮らし
必要になる生活用品は山ほどある

陽気な音楽響く店内で
忙しく働く女性の
ポニーテールがまるでそのまま
馬の尻尾のように揺れている

ある程度の品物を選び
レジに行くと
25円足りない
僕は申し訳なさげに
靴磨きをひとつ返品する

アルミ缶の上に あるミカン


かじかんだ手のひらに僕はそっと自分の手袋を渡し
走って近くのコンビニに行った
店員はまるでやる気なさそうだ、だって今夜はホワイトデー
ほら、あったまるよ
息を切らしながら彼女に暖かい缶コーヒーを手渡す
そして、その上にミカンを置いてみる
ほら、アルミ缶の上に あるミカンw
(決まったぜこのギャグ)
僕が一人で笑ってると
彼女は一言

この缶、スチール缶だけど

そして冷たい風が吹いた

かみさま



ねえ
かみさま
このいたみをけしてください

ねえ
かみさま
どくだらけの
かえるたちのことをたすけてください

だれよりもかみさま
そろそろ
ねむりからさめて
あたしをここからたすけてください

いのりは
いのりのままにおわらせてはならないと
そういってください

愛人



裏の扉はいつも鍵が開いてるのに
泥棒すらもう入っては来ない
あの頃の二人はうだるような夏の暑さの中を
何度も
何度も許しあったのに

携帯電話の番号も変えて
あの人はどこへ行ってしまったのだろう
あの夏は特別な夏だった
もうあの夏には戻れない

もうあの夏は来ない
あなたが二度と来ないだろうことと同じように


快楽




いてもたってもいられないあたしは
夜の歓楽街をぶらぶら歩き
声をかけられてきたら
食事でもして
ベッドを共にする

いてもたってもいられない俺は
夜の歓楽街をぶらぶら歩き
声をかけた女に
食事でもおごって
ベッドを共にする

いてもたってもいられない私は
バーゲンセールに突入し
欲しかったバッグを手に入れる

すべての欲求が満たされた後は
何も考えずにただ眠る
何も考えずに


越中詩朗



いつも前ばかり見て歩くことを
教師も両親も強要してた
そんな記憶が思い出されて
寝苦しい過去の記憶ばかりの夜の夢

テレビでプロレス中継が始まる
不思議な攻撃をする選手がいる
お尻で後ろ向きに攻撃するのだ
相手はまた後ろ向きに倒れてしまう

相手が見えなくても予測する
そこに何かがあるのだと予測する
そんなプロレスラーが人の笑顔を呼ぶ
そんなプロレスラーが僕の笑顔を呼ぶ

前ばかり見ていた昨日は置き去りにして
後ろを考える生き方もあると思った



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