雨降る土地にうたが生きる -15ページ目

世をなんとか・・・


明日倒産するのを知ってたら
今日のうちに退職金をもらった方がいい
借金は自己破産で踏み倒し
生活保護で生きればいい

死にかけの祖父に生命保険をかければいい
ぼろい商売で女使って稼げばいい
駅前にパチンコ屋でも作ればいい
田舎の学生街にコンビニでも作ればいい

そんなことばかりで
なにが変わるのだろう
この状況が良くなるように
するのが国民一人一人


教育と福祉
 借金を背負わせられた子供たちに
 素直に謝らなければならない


 親父が母と息子を捨てて出て行った
 どうせどこかの女のところで
 ヒモでもしてるんだろう
 そんなことはどうでもいい
 僕は母を守らなければならない

飲む


またトマトの入った酒を飲む
赤くて高揚する

いつの間にか好きな人に嫌われてる
いつかまた好きな人に好かれる僕でいたい


またオレンジの入った酒を飲む
夕暮れの景色を想い

いつの間にか大切な事をわすれている
いつかきちんと思い出して起きなきゃならない


またどこかの水を飲む
水を飲んで今日を賛美する
そんなろくでもない一日が始まる

新しい 靴


小さな島で
サッカーばっかりしてたんだ
靴底がべろりとはがれ
砂や小石ばっかりが入ってくる

それでもユースに入ったら
新しいシューズをもらった
そこには広い広すぎるコートがあった

夢を見る
たまに見る
あんな小さな島で
小石で血を流した右足の小指の事を
そして新しい
輝かしく見える靴を磨く

クマムシ


君は走るように歩く
その一歩が瞬間を永遠に変える
いつかは俺も同じように
世間を渡り歩きたいものだ

かすかに足音が聞こえて
夜更けに目覚めた俺は窓の外を見た
俺が見ているのは窓なのか外なのか
一瞬わからなかった
寝ぼけていたのかもしれない

君は走るように歩く
それは確かな軌跡を描く
俺もそうありたい
いつか俺もそうなりたい

小さな虫のように
植物に吸いついて生きるような
生活が俺のすべて
それが俺のすべて

桜と眠たい猫


どこか寒い場所で
死にかけている登山家が
懐から写真を取り出した
三枚

一枚目は
桜の花弁舞い散る下で
家族で幸せを味わっているような
そんな笑顔の写真

二枚目は
夏山に向かう準備中の時の
飼い猫がぐーんと
眠そうに伸びをしてる写真

桜の木の下でみんなで空を見た
どこまでも澄んでいて
みんな幸せだった
笑顔の横側で猫が無防備に腹を出して寝ている


三枚目は
自分が母親に抱かれている写真
三枚目のその写真に見惚れ
彼の涙も凍りついた

荒らし


母の病状がおもわしくない
肝炎が悪化しているという
おいらは毎日毎日バイトと
おいらは毎日毎日大学と
おいらは毎日毎日病院へ

そのうち、彼女から別れの手紙が来る
そんなもの破り捨ててしまった

いつものおいらが何者かもわからないまま
そのへんをきたなく汚して壊しまわった
それがおいらだ
その事実が
多分もっとおいらをダメにする

愛のはじまり


夢のような 花の香りと
不思議なほどの 君の美しさ

牧師がなにかを誓わせる

数え切れない思い出に
たまらず涙する両親よ

いつまでも共に
どこまでも共に

恋からはじまり
ここからは愛のはじまり

性愛


いつのころからか花を摘むことをやめてしまった
いつのころからか両親に反抗的になった

いつのころからか勉学に勤しむことになり
いつのまにやらどこかの会社のデスクに座ってた

いつのまにか人を愛し
いつのまにか夜を共にし

いつのまにか産まれる

そらその命の詩を歌おうよ
そらその泣き声をあやすように


とりあえず旅人は西を目指した
日の沈むあたりを目印にして
失った過去や妻や子供
結果うまくやってた仕事も投げ出して

大きな砂嵐 突然の豪雨
暴漢に服ごとはぎ取られたこともあった
小さなオアシスがあり
そこで沐浴していた幼い少女

 すみませんが水をください
 旅人がそう言うと
 鋭い鎌を取りだし旅人の首のあたりをばっさりと裂いた


ねえ怖い人がいたのよ
少女は母親に抱きついた
今日は美味しい肉料理でも食べましょう
そして子守唄を歌ってあげるわ

扉が小さな音を立てて閉じる

ストーブ


暖冬だ暖冬だ
どこの阿呆が言ったのか
チャンネルひねったテレビでは
地デジ地デジ、知るか金出せよ

あなたの家の暖房器具は大丈夫ですか?
回収し交換させていただいています

そんなCMでなんだい
景気でも旦那の給料でも上がるって言うのかい
まったく阿呆どもだ
阿呆まとめて一酸化炭素でちょっとだけどうにかなって
反省でもすればいい

おっと、てんぷら油から湯気が出てる
かじりかけの煎餅ほおり投げて
緊急レスキュー隊のあたしはコンロの火を止める