Nature | Photography | Music | Art -5ページ目

Nature | Photography | Music | Art

日々好奇心の趣くまま

サイト内の写真の使用ならびに無断転用を禁じます。

あけましておめでとうございます。

ご挨拶代わりに随分と久しぶりに動画作品を公開しました。
 

 

素材は先日四国にて空撮で撮り溜めた秘滝の数々の中から紅葉になんとか間に合ったものを厳選。
いずれも諸々の理由でアクセスの困難な場所にありながら、極めて個性の強いものばかり。

しかしながら今回の動画の本懐は実は別のところにあって、先日ここで書いた三次元画像処理の技術を勉強している中で出来上がったものでいわば副産物的なもの。
 

かいつまんで書くと、滝の定番のスチル撮影技法である長時間露光効果を動画においても実現すべく、SFMという技術を用いて動画の各フレームからそれぞれの位置を推定、それに従って前後一定数のフレームの画像をホモグラフィ変換によって合わせこんでから比較明合成…というひどく手間のかかった処理をしています。

SFMは本当に処理が重くて、スクリプトを書いて自動処理をしたのでPCが勝手に作業してくれるものの、1フッテージを処理するのに丸一日かかったり、ノイズで誤動作したり、中間ファイルの容量が数百GBに膨れ上がったりかなり大変。
結果はご覧の通りで素材によって効果は玉石混交でまだまだ課題山積という感じだけれども、おかげで三次元画像処理について随分と知識とコツが身についた気がする(かも)。

つけた音楽についてもいろいろ書きたいのだけれども、時間がないので次回にでも。
 

最近ドローンを入手して撮影をしているうちに、画像処理技術を使った面白い活用方法について度々考えることが多くなった。
撮影アングルの自由度が従来の地べたに張り付いた二次元から任意に空間を移動できる三次元に拡大したことで撮影・取得できるデータの質も量も格段に増え、それによって可能になる表現方法もあるはず。

そんな中、手始めに着目したのがSFMやSLAMという技術。
厳密な違いは差し置いて、いずれも角度を違えて撮影した複数の画像から三次元形状を復元したりカメラ位置を推定したりできる技術のこと。
そもそも空撮映像に特化した技術ではないけれども、この技術の可能性が遺憾なく発揮できるのが空撮だと思う。

画像処理の中でも三次元系は奥の院とも言われているらしく難解この上ないのだが、このあたり最近では自動運転などで注目されていることもあって進歩が目まぐるしく、オープンソースのフレームワークでもかなり精度のよい推定ができるようになっている。

まだまだ勉強中で知識や技術が追いついていないのだけれども、マイルストーンとして先日ドローン撮影したものを元にちょっとした実験動画を作ってみた。
 

 

 

写真で滝を撮影する際には長時間露光を使ってシルキーに仕上げるのが定石なのだけれども、その手は通常では動画には適用できない。
なぜなら動画のフレーム一枚の撮影時間は高々1/30secあたりなので普通に撮影しても長時間露光効果は得られない。
そこで前後の複数フレームを上述の技術を用いて位置を合わせこんで比較明合成して長時間露光効果をエミュレートしてみたもの。

出来はまだまだだけれども長時間露光のシルキーな感じが出ているでしょうか。

雑用に追われたまま秋が終わりそうだったので、無理やり時間を取ってフェリーを利用して車で四国を巡ってきた。
最近購入した軽量ドローンと共に。

 

【国内正規品】Parrot ANAFI PF728005


四国と言えば紀伊半島と並んで水の美しい場所でもあり、大小取り混ぜて隠れた名滝が数多くある。
それらをドローンを使って時間の許す限り縦横無尽に撮りまくろうというのが今回の趣旨。


人のいる場所で飛ばすような無粋なことはしたくないので、辺境でアクセスの厄介な場所にある滝をあえて多く選んでみた。
丸一日かけて渡渉や崩壊した山道を往復するものや、パンクや腹打ちの危険のある荒れた林道を延々と行くものや、そもそもアクセス道がなく藪漕ぎと危険な崖下りでようやく辿り付けるものなど、いろいろ。
おかげで人に出会うことはほとんどなかった。



標高の高い場所は既に紅葉は終わっていたが、低地にある幾つかの場所はなんとか間に合った。





被写体に滝を選んだ理由は最近滝巡りと沢登りに嵌っていることもあるのだが、もう一つあって…
このところドローン撮影の練習を繰り返しているうちに、ドローンで滝を撮るというのが実はすこぶるチャレンジングであることが分かってきた。
例えば…
 

 

  • 概して狭い空間なのでそもそも操縦が難しい。
  • 同じく狭い空間なのでGPSが捉えられず不具合多発、運転中に予想外のドリフトを始めてしまうので目が離せない。
  • 水流による風に引き込まれる。更にはその風向きがカオスで予想ができない。
  • 下は水なので、墜落即ちお亡くなり。
  • 水の上は高度センサーが不安定。
  • 樹木のおかげで飛翔範囲がかなり限定されてしまう。樹木にぶつかったらおそらく墜落で即お亡くなり。

 

…という感じでとにかく難しい。
これまで墜落の危機が何度かあったけれども、そのほとんどが滝撮影の時だったりする。
とりわけ開けた壮大な滝より閉鎖空間のこじんまりした滝の方が格段に難易度が高い。
とにかく場数をこなして傾向と対策を体に叩き込むしかない。




ただしマイナス面ばかりではなく、プロペラの風のお陰で飛沫が飛ばされてレンズに付きにくいという現象のおかげで一眼では撮影が難しい場所でも思いのほか良好に撮れたりもする。



旅の間はいつもながらだけれども町で食料を仕入れては林道泊を繰り返しながら撮影の繰り返し。
体にも精神にも車にもかなりハードな旅だったけれどもそれなりの収穫があった。

 

Cenoteのもうひとつの美景である水中植物と水との色のコラボレーション。


水生植物は光合成ができるので純度が高くて栄養のなさそうな水中でも、日当たりのよい開けた泉であれば一面に群生している。



天気のよい太陽の高い時に潜るとまるでモネの絵の中で泳いでいるような気分になってくる。

 





 

実はこういう水中風景は日本にも数多くあるのだけれども、堂々と潜れる場所はなかなかないので。


とりあえず遠征記録はここまでということで。

Cenoteの中には地中の鍾乳洞が崩落して大穴になっているものもあって、水中には崩落時に上に生えていた樹木がよく沈木として残っている。

化学は詳しくないのだが、沈木が腐食する際に硫化水素を出すらしく、閉鎖空間だった場合にはそれがずっと拡散せずに残ってしまう。
硫化水素は淡水より重く、水中で混ざることはなく二層に分かれるため、水中に雲海が広がるような得も言われない異世界な風景を作り出す。



今回最も撮影したかったのがこの風景なのだけれども、上部から太陽光はあるものの、水深-30mほどの狭い空間のためISOを4桁に上げても追いつかないほど暗い。

 


ライトを点けると浮遊物に反射して濁ってしまうのでノーライトで撮影するしかなく、なかなか思うように撮影ができない。

 


本当の水底はこの雲海の下更に-30mほど。畏怖を感じてしまうが、ちょっとばかり雲の下に入ってみる。濁っていて何も見えなかったが…