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Nature | Photography | Music | Art

日々好奇心の趣くまま

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このところ紀伊半島の魅力にハマりつつあり、9月に続いて再び車中泊旅をしてきました。


新東名が伊勢湾道へ直結したお陰で愛知県内の慢性渋滞も少なくなり、それなりに時間と体力と足代はかかるものの関東からもあまりストレスなく行くことができるようになった。


とはいえまだまだ交通の不便さから(今のところ)それほど人も多くない。海も山も渓流も存分に楽しめる。

丁度紅葉の時期なのだが、残念ながら常緑樹が多いため東日本の山々のように全面紅葉にはならない。

 


今回はどちらかというと来期へのロケハンが目的で前回廻りきれなかった場所を何箇所か山の中や渓流を撮り歩いてみた。
幸いこの時期ヤマビル攻撃はない。

下見なのであまりきちんと撮影していないが、場所不同で何枚か。

 

 

 


しかしながら、このような手付かずの環境がいつまで続くか…

熊野古道の世界遺産効果に加えて海外にまで波及している遍路ブームを当て込んでなのか、昔は離合も難しい狭路を延々と運転しなければ行けなかった十津川村や更に南まで太い幹線道路が作られつつあるし、伊勢湾道から尾鷲までなら高速道路で短時間で行けるようになり、これも更に南に伸びつつある。


10年ほど前には夜に運転すればサファリ状態で楽しかった某林道も今回ほとんど動物を見かけなかった。

すばらしい秘境はだんだん消滅していくのかもしれず、今のうちになるべく撮っておかなければ。
 

 

岐阜に行く野暮用があり、そのついでに御嶽山周りをちょっとばかり探索に。


雪山初めに御嶽山そのものに日帰り登山と思っていたのが、想定以上の強風予報で3000m単独峰だということもあり怖気づいたというのが実の所。




最近知ったのだが、御嶽山は活火山であると同時に類例のないほどの水の山だということ。
その巨大な山体からは無数の渓流が流れ出し、更には無数の滝を擁する。

 


更には含まれる鉱物成分が由来という美しい蒼色をしていて、秋でも水流の勢いが収まることはない。




その中には制覇するのに数日必要なものもあるらしい。
そんな冒険もいつかはトライはしてみたいものの、今回は普通にアクセスできる範囲で裏木曽と言われる地域を何箇所か撮影して廻ってみた。


観光客でごった返している場所は苦手なので、幾分上流で人のほとんど来ない場所での撮影。

折りしも紅葉真っ盛りで、この上ない蒼色をした渓流とのコントラストを陸上・水中問わずに何枚か。


 

 

 

 



さて、今シーズンあと何回紅葉を愛でに行けるでしょうか…
 

先日公開した動画で実験的に作成・使用した画像処理について少しばかり書いておこうかと。
撮影時の失敗をカバーすべく苦し紛れに考案した方法なのだが、予想よりうまく行ったので備忘録を兼ねて。

発端はこの時の動画撮影時のこと。

三脚を使用した撮影の大原則は「カメラよりなるべく重い三脚(及び雲台)を使う」ということ。
そうでなければカメラが不安定になってブレが起きやすくなるし転倒の危険もある。。
それは分かっているのだが、荷物の重い泊りこみでの山岳撮影の場合そんな理想論は言っていられない。
軽いカーボン三脚を使用しつつ、上のような問題が起きないように逐次工夫して撮るしかない。

今回、そもそも強風での撮影で厳しかったことに加えて、カメラ側で致命的な設定ミスをしてしまった。
それは、三脚を使っていたのにうっかり手振れ補正をONにしたまま撮ってしまったということ。
手振れ補正は非常に便利な機能なのだが、三脚固定の時にONにしてしまうと過補正という現象が起きて映像が過度にブレてしまう。
この現象は経験上とりわけ強風によるカルマン渦で筐体が等周期振動しているときに派手に起きる。

そういう風ブレ映像を期せずして量産していたことに帰ってから気づき途方に暮れてしまった。
強風の吹いたタイミングでフレーム全体がボケてしまっているためにスタビライズ処理程度では対処できず、なんとか補正できないものかと方法論の検討をしてみた。

風ブレが発生しているフレームの拡大。




風が吹いていないブレなしのフレームの拡大。


そして後述の方法で補正した風ブレフレームの拡大。


今回思いついた方法は表題にある画像ピラミッドの一種であるラプラシアン・ピラミッド(laplacian pyramids)という画像処理を応用して補正できないかというもの。

https://en.wikipedia.org/wiki/Pyramid_(image_processing)

この画像ピラミッドという手法は画像処理界隈ではいろいろな用途で使われており、例えばHDR合成のTone Mappingのアルゴリズムでコントラスト成分を分離するのにも用いられている。

簡単に言うと、与えられた画像を周波数成分毎に何枚かの画像に分割する(ピラミッド分割と呼ぶ)。OpenCVにそのまま処理関数があるのでプログラムを組んでみると以下のような感じ。高周波成分はそのままではほぼ真っ黒なので見やすいようにレベルを誇張。

まずはブレていないフレームのLaplacian Pyramids。



そしてブレたフレームのLaplacian Pyramids。




並びは周波数成分の高い順で、最後の画像が元画像から高周波を取り除いたもので強いガウシアンブラーがかかった状態になり、少々のブレ程度ではあまり変化・影響がない。
そして、それぞれ分割した画像をすべて加算していくと元の画像に戻る仕組み。

比較してみるとブレた画像は結果的にブラーがかかっているのと等価なため、画像の中の高周波成分が大きく失われてしまっていることが分かる。


ということは、もし三脚固定した固定視点の風景動画程度であればブレていない別フレームの高周波成分をブレた画像に移植すればブレてない画像に戻せるのでは?…というのがアイデアの発端。

実際この方法で補正をやってみるとノイズが無さ過ぎて写真的になってしまうため、処理後の動画に元のブレ動画を薄く被せると動的なノイズが発生して動画っぽさが戻る。


いろいろ調整をしながら元の動画と仕上がった動画を比較してみると以下のような感じ。
順番に、ブレ動画->補正後動画->補正後動画+ブレ動画を薄く被せたもの。


 

完璧ではないが、ブレによるボケボケがかなり補正されているのがお分かりいただけるかと。
制約として、このような静止画に近いような動画にしか使えないが。

今回使用した画像ピラミッドという技法、これだけではなくていろいろ応用の可能性があり、今後更に追求してみようかとも考えてます。
 

先日撮影した朝日連峰の動画が完成しました。
 

 

今更ながらではありますが、初4K作品です。

撮影時の詳細は以下。
https://ameblo.jp/delphinus1024/entry-12318902207.html

この山、時間をかけてきちんと撮影をしようとすると色々難しい側面があって…




まずは環境保護のため山域全体がテント禁止。


管理人さんの話を聞く機会があったのだが、限られた予算の中で登山者の世話や環境保全に勤めておられ、テント解禁による環境の悪化(とりわけゴミの類)を憂慮して全面禁止にしているということ。そのあたりの決まりは尊重しなければならない。


そうなると拠点は大朝日岳山頂近くの避難小屋になってしまうが、このあたりはあまり紅葉がない。




一方、紅葉の最も美しいのはそこから稜線を隔てた小朝日岳とその周辺なのだが、そのあたりはすれ違いも侭ならないほど狭い道がずっと続くため、往来の多いデイタイムに紅葉に囲まれた場所で落ち着いて撮影するのはなかなか難しいし、更には月景撮影のために夜中このあたりに移動するのも難しい。




加えて、時折吹く強風で撮影ができなくなることも多々あったり、晴天予報の割には雲が多かったり、撮影に関してはなにかと妥協しなければならない場面が多々あり。

しかしながら、紅葉そのものはここ数年撮影した中でも一番ともいえるほどの美しさだったのは間違いなく、改めて東北の山の魅力を再発見したような気がします。




音楽について。

日本の紅葉の素晴らしいところは海外でよく見られるような「単色」でないところ。


化学的に言うとクロロフィルやカロテノイドやアントシアニンなどが混合されることによって多種多様な色が作り出されているらしいが、それらの色々が一箇所に群生せずにうまく分散共存できている。


これらの発色に何らかの生物学的な意味があるのかはまだ解明されていないらしいが、少なくとも人間の美的感覚から見ると最上級の色々の競演が日本の秋の山岳地帯で繰り広げられることは世界に誇れることだと思う。

…というようなことを念頭に、モードスケールを色に見立てて、Aのペダル音の上に多種多様なモードの断片が現れては消えていく…樹木の色が遷り変わるようなイメージで即興してみました。
 

 

今年はどうやら北アルプスの紅葉の色がイマイチっぽいので、その代替案として東北地方の山岳紅葉を愛でに行くことに。

以前からずっと感じていたのだけれど、紅葉の美しさに限って言えば北アルプスなどより東北の山の方が上なのではないだろうか。
理由を考えてみると、東北の山は標高が比較的低く森林限界が山頂近くまであり山全体が紅葉に覆われるためとか、植生の割合が異なるとかいろいろ。

その中で今回選んだのが山形の朝日連峰。今年紅葉大当たりだと聞いていた山。
普段は登山客でごった返す山は極力避けているけれど、紅葉大当たりなら行くしかない。
混むと言っても北アや八ヶ岳と比べたら格段に登山客は少ないはず。

総高低差は2000m弱、重い撮影機材を抱えて行くには一般登山者より格段に体力と時間を要する。
幸い山頂近くには定員100人の避難小屋がある。(キャパオーバーでえらい騒ぎだったけれども)

後半はアップダウンが激しく足腰に堪える箇所もあったが、なんとか撮影を敢行して参りました。
言葉は要らないかと思うので何枚か。

 

 

 

 

 


今回は満月前後で星撮影は侭ならないことは分かっていたので、代わりに月の光で紅葉を露光してみた。
紅葉の最も綺麗な小朝日岳方面。




深山幽谷の雰囲気を求めていたのだが、紅葉よりも山形盆地の街の灯が主役になって高尾山のビアガーデンからのスナップのようになってしまった。

これは計算外だった。雲海で下界が隠れてくれればよかったのだが…

代わりに大朝日岳と西朝日岳方面を撮ってみるがこのあたりは笹原なので紅葉はあまりしないみたい。

 




今後、標高を段々下げながら各地の紅葉を追ってみたいが、しばらくは天候不順が続くようで少々思案中です。