水の中。 -78ページ目

水の中。

海外小説のレビューと、創作を。

光の速さで幸せから遠ざかりつつある、このテーマ。

地味な存在の当ブログですが、このテーマの時だけは、やや閲覧が多いような。
みなさん、悩んでいる部分なのかもしれませんね(なのに参考にならないこの展開……)。

何と言っても、話題を共有しにくいのが悩みの種の、このジャンル。

好きな作品を、いつもと違う切り口で紹介してみるのも、一つの方法かもしれません。
「旅行へ行くときにはコレ」とか、「失恋して落ち込んでるときにはコレ」とか。
実演販売のように、ココにこう使うとべんりでしょ!とやられると、「ああ、そうかも……」と思う人がいるかもしれません。
ただ書評をならべておくのではなく、何かひとつ、見せ方を工夫をすることが大事なのでは。

と、初めて幸せな在り方を探ってみていますが、横をみると、ここのテーマ分けが「海外作品」「国内作品」のみなのは、気がつかない方向でお願いします。

いらないいらないと書いてきましたが、私は面白い書評が大好きです。
よくできた書評は、過不足なく作品の雰囲気を伝え、読んだときにどのような感銘を受けるのかまで、想像させてくれます。

それの何が問題かというと、本 編 を 読 む 気 が お き ね え ことでしょうか。

書評でまんぞく!
(しちゃダメだろ……)


書評ブログの幸せな在り方。苦悩をかかえたまま4へつづく。

SF界期待の新鋭であるテッド・チャンの、八篇の中短編を集めた作品集。

タイトルから受けるリリカル(リリカルって……?)な印象とはまったく逆の、すごーくSFらしい作品集です。
決して駄作ではないのですが、SFファンではない、ごく普通の読み手である私からすると、「ここで終わるのか?!」と驚いてしまうようなものばかり。

感心するようなアイデアがたくさんあるのですが、物語というものがないので、読後の満足度が、非常に低い。
作家の役目である部分を、読者に任せているとしか……。
こんな世界をつくってみたらどうなるかな~、という、思考実験的作品集、というカンジです。

ネビュラ賞、ヒューゴー賞を受賞しているそうで、作家と読者の両方の支持があるらしいですね。作家に評価されるのはともかく、読者もコレがいいのか……SFファンて、ふしぎな人種だなあ。

ちなみに、八篇のなかで一番ドラマがあって、読んでいて楽しかったのは「地獄とは神の不在なり」です。
「天使の降臨」が現実にあり、災害のように扱われている世界で、それによって妻を亡くした男が主人公。
妻を追いかけて天国へ行きたいが、妻を奪った天使が憎く、これでは地獄へ落ちてしまう(信仰の篤さによって、地獄行きか天国行きかに分かれるらしい)、というジレンマと、その結末は、決してハッピーエンドではないのですが、読み手を納得させるような物語があったと思います。

(評価★)
【前回のあらすじ】

「実は書評ってあんまり必要じゃないんだよねー」ということに気がついてしまった。
あやうし自分!!



そういうわけで、書評ブログの明日が見えないまま、大絶賛迷走中(ヤケクソ)な、このテーマ。

「えー、だってー、新刊レビュー読んだからって、買わないし。買う本は本屋で決めるし。そのとき巻末の解説くらいは読むかな?」

↑こんなんです、自分!!

例外的に書評を探すとしたら、「こんなクソ小説書きやがって。誰かこのモヤモヤをスッキリさせてくれるひとはいないのか……」という場合。

よい作品に出会い、満足した場合、何も言いたいことはありませんね(エッ……)。

だいたい、どんなクソな(クソクソ言い過ぎだよ)作品でも、創作に携わったことのある人なら分かるでしょうが、たいへんな苦労の末に生まれたものだったりするわけで。
それをああだこうだ言いたくないわけで。
とか言ってると書評にならないわけで。

いつも思う。

一流の評論家より、三流のクリエイターのほうが、百万倍も幸せなんじゃないだろうか、と。


書評ブログの幸せな在り方3へつづく。かも。
たまたま修学旅行へ行っていて、一家惨殺事件の生き残りとなった主人公。
死刑囚となった加害者にも、自分と同じ歳の娘がいることに興味を抱き、素性を隠したまま、近づいていく。
急速に距離を縮めていく、ふたりのあやうい友情の結末は――。

すごく面白い設定ですが、後半が。

高橋克彦の解説に、文学賞の選考会時に「後半が弱い」と言われていた、とありましたが、それは「派手な事件が起きないので地味だ」という意味ではなく、もう少し納得させてほしかった、ということかもしれないな、と。

殺人事件自体に、やや不可解な点があり、その答えらしきものも提示されるのですが、いまひとつボンヤリしているというか……なんだかスッキリしないのです。何かあるのかと思わせながら、何もなかった、というカンジ。

それから、主人公カナコの変化が分かりにくい。現実には、人が変わったように、ものすごく前向きになったりすることはないと思うのですが、ここは読者が納得するような成長を見せてほしい。

そして、出来ればカナコには、最後に違う選択をしてもらいたかった。


注文ばかりつけているようですが、加害者の娘ミホのキャラクターが、クールな主人公との対比で魅力的。
孤独な彼女が、無防備にカナコへ寄せる信頼に、胸が痛みます。

世間の目という刃が、加害者遺族と被害者遺族の双方を、どれほど傷つけていくものかを考えさせられる良作です。

だからこそ、いろいろ言いたくなってしまうのかも。
(評価★★★)

なんか今回、書評っぽいざんすね(インフルエンザの予防接種を受けたせいかもしれん……)。
ここ最近、映画や小説で大ヒットをとばしている、「泣ける」作品群。

何に泣けるかと言えば、愛する人と死に別れることだったりする。

そりゃ、悲しいに決まってる。

誰にだって訪れる悲しみを、なんでまたわざわざ疑似体験して泣かなきゃいけないんだ。
と思っていたので、さっぱり興味がもてなかった。

だがしかし、ある日のこと、うっかりテレビで観てしまった。世界の中心で(略)のスペシャルを!!
私は、どう考えても新鮮味のないこの物語に、しくしくしくしく泣き続け、しまいには全然悲しくもないシーンまで、ついでのように涙してしまった。

そんなふうに泣いたあと、なんだかとってもスッキリした。自分に由来しない涙は、後味も悪くなく、ハア、よく泣けたなあ、と伸びをしたいくらい爽やかだった。

わかった、これだ。
世間に「笑えるコメディ」が必要なように、男性に「抜けるAV」が必要なように、この世には「泣ける物語」が、泣くために存在しているのだ。

そんなふうにキモチよく泣いてからというもの、内心では馬鹿にしていた「泣ける物語」に、私はすこしだけ寛容になった。



恋人と別れた彫刻家ロスは、別荘地で美しい人妻セレステと、その妹レダに出会う。
彫刻の依頼を受け、姉妹とのかかわりを深めるうちに、殺人事件の後始末に巻き込まれてしまう……。

「訳者あとがき」の著作リストを見るまで、気がつきませんでした。あのお金持ち刑事・ヘイドンのシリーズを書いてるひとだったのか!わー、全部読んでるよ……。
世間的に有名なのは、「悪魔が目を閉じるまで」かもしれませんが。

本作は、残虐非道な殺人事件とも、やるせない現実をもつ世界情勢からも離れ、テキサスの美しい別荘地で展開するミステリー。

事件について真実を語っているのは、姉セレステなのか、妹レダなのか。
先が知りたくなる展開です。
が、このラストは……。
「犯人」の設定もちょっとポカーンとしてしまう。背景となる主人公の過去も「そんな的外れな逆恨みってあるのかー」というカンジ。そもそも殺人の被害者の設定が特殊すぎて、そこに何か仕掛けでもあるのかと思っていましたよ。なかったけど。

おそらく、削除されたというエピローグがあってこそ完結する物語なのではないでしょうか。
レダの姿をうつした彫刻は、いったいどうなったのか。
事件そのものよりも、そちらのロスの彫刻家としての葛藤のほうが、本作においては大事なテーマだったと思えるだけに、まったく言及されないままの、放り出されたようなエンドマークには納得できませんでした。

このエピローグ部分が読みたかった。
こういう、読者を突き放すよーなラストが有効なのって、一昔前のホラーくらいなんじゃないか……?

ここまで書いてきたことを、みずから台無しにしなくても。


(評価★★)

感想はお休みして、今夜は書評について。
ブログというツールにいちばん向いているのは、やはり日記・エッセイというジャンルだと思います。

個人的で、ちょっと口には出せないような心の痛い部分を吐き出してみたり、ささやかな楽しい事件を記してみたり。
すぐに消えてしまうような感情を、リアルタイムで他のひとと共有するのが、ブログのいちばんステキな使いかたではないかなあ。

そこへいくと、需要があるんだかないんだかの、本・書評ジャンル。
えー、正直言って、わたしはココでも書評より創作系のほうが読みたいです!!
ただスキンがなー、小説に向いてるのが無くて残念ですが。字も、もーすこし大きくないと、読む気が失せるのですよ。仕事で目だって疲れているしさ!(鼻息荒すぎ)

みなさん、書評を読むのって、どういう時ですか?
わたしはねえ、だまっていられないくらい く そ つ ま ん ね え (失礼)小説を読んでしまったときだな!!
というわけで、書いてる自分にしてからが、あんまり書評を必要としてないわけです。

ああ……。

というわけで、幸福な在り方については、次回また考えさせてください……。
ロマノフ王朝の生き残り、アナスタシア皇女の謎に迫るミステリー!
と書こうとしてすでに「ラフマニノフ……」とハッキリ間違いかけていたので(よかった気がついて)、わたしの個人的な脳の老化は置くとして、日本人の認識ってこんなもんでないかと。

アナスタシアを名のる女性は、すでに亡くなっていて、謎が明かされたからと言ってどうなるものでもないのですが、「死後であっても、人の不名誉は晴らされなければならない」という御手洗さんの騎士道精神(この人を動かしてるのはどうもコレのようだな……)によって、物語はすすんでいきます。

それよりも胸が痛んだのは、冒頭の石岡くんの「御手洗が、私と日本を捨てて、北欧に行ってしまう前年……」という書き出しでしょうか!!
でもさー、石岡君の目を見はるよーな知性の減退ぶり(ゴメン)を思うと、御手洗さんが離れていったのは、むしろ愛だろ……。
里美ちゃんという相方を得て、今のほうが生き生きしてるじゃないですかー。

というわけで、久々の御手洗・石岡コンビに会えて、ロマノフ王朝にも詳しくなれるという、お得な一冊。シリーズ未読の方にもオススメです。

(評価★★★)

そういえば、龍臥亭の数年後の話(龍臥亭幻想)が出てるみたいですけど、未読なので、その後の石岡くんの人生が分かりません。心配だな……。

それより気になるのは、写真が曲がってることだったり(スミマセン見逃して……)。


吸血鬼モノかと思いましたよ。

だって、こんなタイトルで、こんな(そうか、こんなときに写真をアップするのか!)装丁だし。

ところが、意外にもこれが、古都ウィーンを舞台にした、近未来・遺伝子SF。
アイディアがとても面白く、ウィーンという古い街の、ほの暗い雰囲気と相まって、すごーくカッコイイ。

ただし、原文に忠実なせいなのか、キャラクターのひねくれ気質のせいなのか、一人称なのに、読みにくい。

うーん……。文化が違うのに、ひねった皮肉な言い回しで描写されても、読者は何について語られているのかいちいち推測しなければならず、そうやって読み進めることに疲れてしまうのでしょうね。たぶん。

こんなに面白い内容なのに、文章がそれを半減させるというのは、もったいない話です。

まあ、それは置くとして、物語自体はとても面白く、SF的小道具にもワクワクして、映画で観たいなあコレ、と思わせます(ほめてないよ……)。

いやー、でもこれ、本当にウィーンで撮ってくれないかなあ。ぜったい観るんだけど!

(評価★★)
何の前置きもなく、とーぜんのように読書感想かましていました!

よそさまの新設ブログを読んで初めて気がついた……。
ふつーは挨拶なり自己紹介なりがあるものなのね!

そういうわけで、いまさらですが、真名と申します。
はじめまして!

この夏、ショックな出来事が。
「暑いときはホラーだな~。横溝正史とか読んだことないし、これ読もう」
と買ったのが名作「八つ墓村」
ところが読んでるうちに、アッ、このあと殺人が!って、次の展開が分かるよ自分!
どうして?超能力か?

思い出した!

去年の夏も、そうやって買ったのでした……。

来年の夏もこの悲劇を繰り返さないために、ここで感想を書きたいのであります。
よろしくであります(いいのかこんなんで)。

(追記)

二ヶ月後の今、これを読んで、あんまりな挨拶なので、ちょっとボーゼンとしました。
とんだあほうだな……。

まあ、言ってることは間違っていないのです。読んでも読んでも忘れてしまって、同じ本を三回買ってしまったのは本当です(それが八つ墓村……)。

自分が何に感動して、何に感動しなかったのか、それを残しておきたくて読書感想サイトを始めようと思ったのですが、一から自分でつくる気力が湧いてこなかったため、ここアメブロさんの波に乗ってみたわけです。
あるていどレビューが増えたら、整理して別サイトを起ち上げたいとは思っているのですが、いつになるのやら。

ではでは、引き続き、よろしく。