「ウィーンの血」 エイドリアン・マシューズ(嶋田洋一訳・ハヤカワ文庫) | 水の中。

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吸血鬼モノかと思いましたよ。

だって、こんなタイトルで、こんな(そうか、こんなときに写真をアップするのか!)装丁だし。

ところが、意外にもこれが、古都ウィーンを舞台にした、近未来・遺伝子SF。
アイディアがとても面白く、ウィーンという古い街の、ほの暗い雰囲気と相まって、すごーくカッコイイ。

ただし、原文に忠実なせいなのか、キャラクターのひねくれ気質のせいなのか、一人称なのに、読みにくい。

うーん……。文化が違うのに、ひねった皮肉な言い回しで描写されても、読者は何について語られているのかいちいち推測しなければならず、そうやって読み進めることに疲れてしまうのでしょうね。たぶん。

こんなに面白い内容なのに、文章がそれを半減させるというのは、もったいない話です。

まあ、それは置くとして、物語自体はとても面白く、SF的小道具にもワクワクして、映画で観たいなあコレ、と思わせます(ほめてないよ……)。

いやー、でもこれ、本当にウィーンで撮ってくれないかなあ。ぜったい観るんだけど!

(評価★★)