・12月の名目賃金が減少。実質賃金はもっと減少
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☆12月の名目賃金が減少。実質賃金はもっと減少
厚生労働省が2月8日に公表した12月の実質賃金は前年比2.2%減と、4カ月連続で低下した。正社員のボーナスが減少、より低賃金のパートタイム労働者の比率が増えたところに、物価上昇が重なってマイナス幅が拡大した。
実際に支払われた名目賃金である現金給与総額の平均は、前年比0.2%減の54万6580円だった。一般労働者が前年比0.2%増の74万9358円、パートタイム労働者は0.9%増の11万2236円で、ボーナスなど特別に支払われた給与は0.9%減の28万1569円だった。パートタイム労働者比率は31.90%と、11月から0.38%ポイント上昇した。
1月7日公表の11月の実質賃金は前年比1.6%減と、3カ月連続で低下していた。パートタイム労働者の比率が高まり、現金給与総額の伸びが縮小する中で物価上昇が響いた。
現金給与総額は前年同月と同水準の27万0398円だった。一般労働者は前年比0.2%増の36万4726円、パートタイム労働者は0.5%増の9万9281円とそれぞれ伸びたものの、パートタイム労働者の比率が0.35%ポイント高まったことで全体の伸びが相殺された。
これら実質賃金と名目賃金の推移について、拙著の該当箇所から引用する。
(以下に引用、2つ目のURLまで)
問題09:世界から乖離していく日本の実質賃金 (答えは10.「名目賃金の」あと)
1997年の労働者の実質賃金を100とした指数で、2016年にスウェーデンの実質賃金は138.4に上昇しました。オーストラリアは131.8。経営者と従業員の所得格差が拡大し続けている米国は115.3でした。
さて、2016年の日本の実質賃金指数はいくつだったでしょうか?
1、約110
2、約100
3、約90
10.名目賃金のターニングポイントも消費増税と一致
図12:給与の推移(出所:厚生労働省)
図12は1981年から2018年までの日本の名目賃金を、前年比での増減の推移で示している。黒色の実線で表したのが現金給与総額のもので、点線の折れ線グラフが所定内給与のものだ。所定内給与とは基本給のこと。ボーナスや残業代は含まれない。
名目賃金とは現金給与総額のことで、給与が増えても、その増加率をインフレ率が上まわると、実質的には貧しくなる。そこで、現金給与総額をインフレ率で調整して見たものが前図11(下図では09)の実質賃金だった。図11(下図09)では日本の実質賃金の下落が見られたが、仮に現金給与総額が増えていても、それ以上にインフレ率が上昇していれば実質賃金は減少することになる。つまり、前図11(下図09)だけでは現金給与総額の増減は分からない。
図12を見ると、黒色の実線で表した現金給与総額も、点線で表した所定内給与も基本的に減少しつづけてきたことが分かる。後述の図19ではインフレ率の低下が分かるので、その意味では名目賃金の減少は実質賃金の減少以上だったことになる。
もっとも、前図11(下図09)は1997年の実質賃金を100として指数化しているのに対し、図12は前年比での増減を表している。このことは、前年が急増した次の年は減少しやすく、前年が急減した次の年には増加が見られやすいことを意味している。
実例を挙げれば、図12に見る2009年は前年比マイナス5%だった。仮に2008年を指数化して100とすれば、2009年の指数は95となる。2010年はそこから前年比プラス1%だった。つまり95+95X0.01で、96弱となったに過ぎない。2年前の100と比べるとまだ4余り低水準なのだ。
このことを確認するために、前図11(下図09)を見ていただきたい。こちらはインフレ率で調整されているが、それでも2010年は2008年の水準をいまだに回復できていないことが分かる。図12に見られるような賃金の「底打ち感」は、ちょっとしたグラフのマジックと言えるのだ。
この図12にはあえて消費税の矢印を入れていない。1989年と1997年、2014年のところを見ていただきたい。点線で見る本給を示す所定内給与より、実線で見るボーナスや残業代などを含む現金給与総額の方が下げ幅が大きいことが見てとれる。これはボーナスや残業代などが景気後退をより強く反映することを意味している。
このことは正規雇用よりも、非正規雇用の方が景気後退の影響をより強く受けることも示唆している。
参照:日本が幸せになれるシステム・65のグラフデータで学ぶ、年金・医療制度の守り方(著者:矢口 新、ペーパーバック版)
(Kindle Edition)
問題09の答え: 3
2016年の日本の実質賃金指数は89.7でした。スウェーデン、オーストラリア、米国以外でも、フランスが126.4、英国(製造業のみ)が125.3、デンマークが123.4、ドイツが116.3と、いずれも100を上回っています。
図09:実質賃金指数の推移の国際比較(出所:全労連)
図09は、1995年以降の実質賃金の推移の国際比較です(指数:1997年=100)。赤色の折れ線グラフが日本の実質賃金の推移。その他が主要先進国のものです。世界の国々で実質賃金が程度の差こそあれ上昇していくのに対し、日本だけは低下してきたことが分かります。
参照:日本が幸せになれるシステム問題集・日本経済の病巣を明らかにするための57問(著者:矢口 新、Kindle Edition)
先日、「投資の学校」向けに、近年問題となっている「中国不動産市場」の解説ビデオ収録を行った。
この問題化には、習近平主席が掲げた「共同富裕・三大山」が大きな原因をつくっている。国策で不動産事業を進めてきた中国が、国策でそのブレーキを踏み始めたからだ。
共同富裕とは、三大山とされる、住宅価格、教育費、医療費の高騰を鎮め、共産主義の大義とも言える「各人は能力に応じて働き、必要に応じて分配を受ける」に回帰しようとする試みを意味している。
今の中国では、能力のある人がどれだけ働いても、住宅も教育も医療も受けられないところまで、貧富格差が拡大しているからだ。
その教育では、2019年時点の政府歳出に占める教育費の割合と順位で、中国は3.54%の116位だった(出所:Global Note)。その表には日本も出ていて、3.18%の135位だ。130位から134位は、それぞれセントルシア、フィリピン、アフガニスタン、バルバトス、グアテマラとなっている。
日本政府は教育に資金を使っていない。平均的な日本人は1997年以降、所得減や社会保険料の負担増が続いていて、教育に資金を回せる余裕がない。
こうした先進国としての教育の崩壊もまた、私は1989年以降の税制に起因していると見なしている。詳しくは、上記紹介の拙著で。
・著書案内:日本が幸せになれるシステム: グラフで学ぶ、年金・医療制度の守り方(著者:矢口 新、ペーパーバック版)
・著書案内:日本が幸せになれるシステム・65のグラフデータで学ぶ、年金・医療制度の守り方(著者:矢口 新、Kindle Edition)
・著書案内:日本が幸せになれるシステム問題集・日本経済の病巣を明らかにするための57問(著者:矢口 新、Kindle Edition)
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