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D-DST

日記や、沢山の好きなことへの、
独り言。

2025年六月。


なんと言っても旦那様の生誕月ですので、
頼まれてもいないのにケーキやら何やら、そわそわソワソワ。


バレーボールネイションズリーグの季節。
開催国によっては夜更かし必須となる。
念の為、オフィシャル等のSNSはミュートにし、時差放送前にうっかり結果を知ってしまわぬよう。

まあ、でもわたくし自身は基本何事もネタバレを気にしない質なのですが。
念の為。



菊さん襲名披露公演六月大歌舞伎の日帰り弾丸遠征。

今回は銀座三越の襲名展の攻略、
五月にすっかり見落としていた会場2階展示品、その他見つけられなかったお土産探しなどのミッションもあり、
先月より過酷な分刻みスケジュールとなる。



トニー賞の季節。
よって、WOWOWではミュージカル番組が多数放送されるので、オンデマンド配信期間中にできる限り観ないかん(←BD買えばいいのに)。



北斗の拳は、ラオウは福井晶一さんver.、ジュウザは伊礼彼方さんver.が好み。

ユリアはどちらもそれぞれ素敵で選べない(悶絶)。

配信期間が短すぎる問題との闘いの六月。


新作『ゴースト&レディ』が名古屋へやってくるというので、強行帰省観劇。

ゴースト〜についてはまた後述する予定ですが、
地元の盟友Mさんとお逢いしたいので日帰りでは足りない、
ということで1泊し1日は遊ぶ(食べる)日、1日は観劇日。
2日間、ご一緒くださいました。

その間、いつものペットサロン&ホテルへダイアナの宿泊でもお世話になりました。
いきなりの悪天候の中を、本当にありがとうございました。



とにかく盛りだくさん詰め込んでしまった六月でした。
詰め込みすぎた⋯。まだまだ思い出整頓中。

お蔭様で充実のひと月。

七月からも、一日一日を大切に。



『弁天娘女男白浪 / 稲瀬川』

まさかのタレ目率高めの五人に狼狽(こら)。


今回の五人勢揃いは平均年齢11歳の次世代五人男。
六代目 菊之助丈の襲名披露演目でもあり。


ココは五人とも、もう、全員が全力で俺様ドヤ顔ジャイアンの様に出てきてくれるのが最高にカッコ良いのですが、

小学生といえどやはり役者、皆さま本当に素晴らしかった。


揚幕の先に傘が開いて、それから各々テーマソングの中を登場しますが、


⋯傘が、若干小さいのね(笑)。

バッ!と傘を開く音がするけど、ちょこんとしていて(笑)。
そこだけ物凄くかわいい(笑)。

役者さんの身長に合わせて、小ぶりに造られているそうです。
以前も書きましたが、同世代でキャスティングが揃うのも運命だと思います。

八代目世代も然り、
そんな幸運な時代を観届ける事ができて幸せです。




菊之助さんは、お昼の恍惚花子さんが嘘のような、
口を尖らせ大股歩きで太々しさ全開。

11歳、といえば、人生で最も多感な年齢なのだという。
己の11歳はどうであったかな、と、
そんな事を思いながら彼らの「仕事」を目の当たりにすると、堪らなく愛おしくなってしまい。

團十郎丈が口上で話された様に、九代目菊五郎の時代まで、
観届けたい、観届けられるのではないかな(笑)、とすら思えてくる。



亀三郎さんは登場一発目、
見得がなんとも婀娜っぽく、末恐ろしさを感じた。

眼付きと首!口も!
利平は五人のなかでも特に斜に構えている感がありますが、そこをお色気(←)変換で魅せてくるとは。
え、どうしてそんな芝居が出来るの!おそろしい子!

お声もお父様の彦さま似の美声でたまりません。

お化粧も苦心されていたとのこと。
彦さまは毛筆タッチの様な眉や隈取りが本当にお似合いになると当初(ソコが気になり始めたのは2000年くらい)から常々思っていて、
しっかり引き継いでいらっしゃり、上述したお色気(こら)といい、ただただ期待しかない。


そして眞秀丈の南郷の、眼力と勇ましさ。

⋯ごめんなさい(←先に謝ります)、松也んがあのまま稲瀬川まで演じられたとしても、ココまでの迫力があったかどうか、ごめんなさい(←シメでも謝る)。

南郷というキャラも勿論あると思いますが、
意外にもバリバリの荒事戦士像が浮き彫りになり、
どんな役者になられるのか全くの未知数第一位でした。


シンプルに考えて、
彼らが次の名跡を継承されるであろう時まで、ざっと約30年。

うん、生きよう。

そして稼ごう。




『義経腰越状 五斗三番叟』

初見です。

意外にもコメディ要素も多い演目でした。

松緑さんには毎度圧倒されます。

松緑さんのコメディで畏怖のあまり身体が震えたことがありまして、
それが『NINAGAWA十二夜』安藤栄竹(サー・アンドルー・エーギュチーク)でした。

作品イチのおバカキャラ、しかし妙に愛くるしさもあり、登場する度に客席が沸くのですが。

ところで、
何故出てくるだけでこんなにおもしろいのだろう、と、注視すると⋯


手と足、左右同じ手足で歩いている。


コレに気付いた瞬間、衝撃で息が一瞬止まった。
歌舞伎界のニジンスキー・四代目 尾上松緑。

会場内笑いに包まれている中、一人畏怖に震えて脱力しかけた25歳の夏。


「『笑い』とは繊細で怖いもの」
を私に教えてくれたのは、松緑さんと大地真央さんです。



↑長くなりましたが。

この度の松緑さんもやっぱり間合い、目付き、呼吸、
もう全てに緻密な計算が成されていて、

会場で笑いが起こる度、
私の脳内では圧倒され感嘆の嵐。

質の良い笑いが享受出来た喜び。

久し振り歌舞伎でしたが、
ああ、やっぱり歌舞伎っていいなぁ、を犇々と感じておりました。



トシくん(亀蔵丈)のココまで濃ゆい悪役(というか小悪党)を観るのは初めてかもしれない。

濃ゆい、というのはお化粧のことで、
線の太い、あの毛筆で力強く引いたような隈取り姿は、彦さまそっくりだ。

歌舞伎に嵌り始めた頃は、彦さま&トシくん御兄弟は本当に(お顔が)似てらっしゃるなと思っておりましたが、
次第にそれぞれの個性を知り、個々のニンの違いも楽しくなってきたものでしたが。


近年、なんだかまた、お顔が似てきた気がします、
勿論、お二人それぞれの異なる芸風は、より昇華され奥行き深まり面白さ限界突破なのですけれど。


相方(←違)種之助丈は、ナウシカで観劇(おうちでBDですが)したのみですが。

クセのあるお役を、ソツなくおつとめになるなぁ、という感想。


この小悪党お二人のリズム、コントラストがまた見事で。
コレがあるからこそ、作品の笑いに彩りが出る。


目まぐるしく成長された左近丈(直近で観劇したのは2015年ですもの。まだ十歳にもなられていなかったとおもうZO。背丈も松緑さんの半分くらいだった)と、

個人的にはヴィラン枠の権十郎丈が、
ココでは一番まとも部類のお役で。

(話は逸れるが、
「判官贔屓」なる言葉があるくらい、源義経って美化されがちな傾向があるようにおもうのですが、
しかし残っているのは割と情けない話や器の小ささを露呈するエピソードやらの方が多々あって、全然カッコよくない。何故、そんなにチヤホヤされてるのだろう、と(個人の感想です)。

弁慶はじめ、側近たちの方がずっと活躍している印象。

義経と劉備って似てる(個人の感想です)。

頼朝→悪、みたいな感覚もなんとなく刷り込まれている傾向も感じますが、
わたくしは断然頼朝派です(←知らんがな)。)


要所要所で大御所がびしっと決めてくれる安心感。

左團次丈、團蔵丈と、大好きだった頼れるおじさま方が鬼籍に入られまだまだ寂しく思う瞬間もありましたが、

若手、中堅もメキメキとメキメキしております感想(←語彙力⋯)。


どうか権さま(←誰)、これからも大きく包み込んでください。






『襲名披露口上』

演目順序は前後しますが。




夜の部は最前列、口上では玉さま真正面でございまして。

「八代目さんの菊之助時代は女形をつとめることが多く、よく一緒にお稽古をいたしまして⋯」

と玉さま。


先述した二人道成寺や天守物語などなど、共演も多かったけれど、

うんうん、そうだったね、
音羽屋の芸や型を大切に基礎にしつつも、事あるごとに「玉三郎のお兄さんに教えていただき」と仰っていた。


菊之助時代(特に24〜6年前とかそのくらい)は、周囲の同世代方の中に於いて、
何故か菊さんだけ妙に酷評されることが多々あり。
劇場で観劇していても、ダメ出し、批判が聞こえたり。
時々、中には殆ど言いがかりみたいなものもあったりして、意味がわからなかった。


菊さんご自身も女形をつとめる上で、いろいろ葛藤があったと、過去、どこかのインタビューでお話されていたが、

照合すると、恐らくその頃のこともあったと思う。
(立役も少なくはなかったけれど)


私自身は、まあ、元々テレビも殆ど見ず、メディア情報に対しても基本懐疑主義でしたので、
言いたいやつには言わせておけスタンスではありましたが。

その頃、ミュージカル界隈で知り合った方とお話していて、「全ジャンルの役者さんの中で、naocoさんのナンバーワンは誰?」と尋ねられ、菊さんを挙げ、「もし、世界中の人からあんなの役者じゃない!と言われたとしても、私一人になっても菊さんのファンでいます!」
と痛々しく答えたことがありましたが、
当時そんな環境下だったから、余計にそう決意表明(←?)していました。
そのくらい、菊さんを褒める声を、聞いたことがなかった頃だった⋯。



そんな世間からの風当たりの強さを感じつつ、
その中でも玉さまがお稽古つけてくださったり、共演呼んでくださったりしていたこと、
七代目と共に復活狂言に取り組まれたり、新作に挑戦されたり。


彼是諸々や、観てきたそれらのお役たちが走馬灯の様に脳内を瞬時に駆け巡り、

気付けば半泣き状態になってしまっていた。



口上出演皆さま、それぞれ楽しかったり笑わせてくれたり、深みのある口上をお話くださるのですが、

そんな訳で、特に玉さまの口上は刺さって仕方がなく。



まさか口上で泣きそうになるとは思わなかった。
観劇でもコンサートでも、
基本、劇場、会場で涙するような事はないのですが。


私なりにそれなりに、一生懸命観ていたのだな、と、
今更ながら気付きました。






『京鹿子娘道成寺』


菊さんと玉さまの二人道成寺は、それはもう、
過去、劇場でもシネマでも、かぶりついて観劇したものですが。

この度は菊之助さんも交えての三人花子。

まず、やはりどのような演出になるのか。


そして、なんと言ってもさすが襲名披露の歌舞伎座公演、

妙に濃い面子の所化御一行さま。

豪華すぎる。
このメンバーだけで一作お芝居できそうです。


つい先程泥棒してた人もしれっと出家なさっていて。

現れた花子の正体は白拍子でした!
で、
兄(彦さま)弟(亀蔵丈)で素でがっかりしすぎの図(笑)。
数十分前までのお色気だだ漏れキケンな男はどこへ行った(笑)。

ツッコミつつも、その役者魂に畏怖で震えました。




菊さん親子の花子さんは七三より、
まるで見えない力で引き上げられるように登場。

懐紙に炊き込めた御香が香ってくるほどの距離。


菊さんは澄んだ穏やかな表情、
菊之助さんはうっとりと恍惚気味。

え、齢11歳で、既に己の舞踊スタイル確立してしまっているのではあるまいな。
おそろしい子!


そりゃあね、まだ、ぎこちないところ、粗いところもありますよ(←何様)。
しかしあの表情観たら、持っていかれそうになってしまいます、
まさに清姫が憑依している様な⋯。


道成寺は女心、恋の詩、踊りですが、
十代が踊る花子。
コレはコレで深み、奥行きを感じます⋯。


そうこうしていたら、かみてから玉さま登場で、
こういう時、お席が前すぎると、
どちらを向いたら良いのか挙動不審状態になります。
頭きょろきょろしてしまい、後ろの席のかた、ごめんなさい。



菊之助丈の、裄が短め?

手首が結構見えてしまっていたのが少々気になったのですが、

敢えて短くしているのかもしれませんが、

もしかしたら、
採寸して、仮縫いして本縫いして、本番。

きっとその間に成長しちゃったのだろうな、このお年頃なら十分あり得る。


そんなところも、
歌舞伎、歌舞伎役者、舞踊、の「成長」「未来」が感じられて。
日々、どんどん背も伸びお衣装もどんどん小さくなって。

そうしてもっともっと研鑽を積み、様々なものに触れ、
大きくなられるのだな。

裄の丈ひとつで、
親戚のおばちゃんみたいな心境になってしまった。



クドキは菊さん。
以前は玉さま担当でした。

菊さんのクドキだ⋯しっとりと艶っぽく。

でもそののちに玉さまも登場して、お二人で可愛らしかったり陶酔美炸裂していたり。

もう、ただただ美しいです、息もぴったりで。
何も考えず、この美を享受していたい。

⋯と、
私、そういえば、この菊さん玉さまの二人道成寺ばかり観劇していて、

ノーマル道成寺って、一度、故勘三郎丈の勘九郎時代に観たきりかもしれない。


一人でこれだけの大曲を踊るのも凄まじいが、

観慣れてしまったこともあるが、
複数人での道成寺が好きだな、とおもった、

ユニゾンや踊り分け、役者さんそれぞれの個性の違いも楽しい。



鈴太鼓から鐘入りの、緊張感と疾走感。
あの流れはたまりません。

しかも今回は三人で鐘入り。
ぞくぞくし放しでした。

鐘の上での見得。

始終優雅だった玉さまが、
静謐だった菊さんが、

グッ!と蛇の目付きに変わるの。
舞台で観劇しているはずなのに、一気に画面がクローズアップする錯覚に陥る。

鐘を見上げ、幕が引かれるまで目が離せない(感動涙目)。

この先の菊之助さんの花子も、期待しかない(感動涙目)。