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日記や、沢山の好きなことへの、
独り言。

『菅原伝授手習鑑・寺子屋』


当月松竹座でも上演中の熊谷陣屋や伽羅先代萩などでも同様かと思われますが、

現代社会に於いては先ず起こり得ない、ハードな物語ですが。

しかし、
寧ろ現代だからこそ、遭遇し得ない出来事への感情移入⋯

小太郎と秀才を取り巻く登場人物たちの葛藤、慟哭、
また、恐らく己の運命を悟っていたであろう小太郎の覚悟へ、
より強く思いを馳せることができるのではないかと思います。


忠。義。礼。信。
観ている我々日本人なら、何かしら響くところがあるはず、と。

家族揃って笑顔で、
もっと違うことで「よくやったね!」と褒め合える現代に生きることが出来るありがたさ。

そんな事を考えながら観劇しておりました。


当初は六月公演は見送る予定でしたが、思い切って決行して良かったです。

寺子屋の松王丸を、菊さんで観劇出来て良かった。


相変わらず眉の表現、瞬きのタイミングまで緻密に計算された芝居。

動き自体は大きくないが、
その分、ひとつひとつの所作に込められた圧が際立つ。

近年の、時代物でも荒事系や骨太なお役を完全に見送ってしまっていたので。
いつの間にかココまで来られたのか、という感慨深さもしみじみと。

萬太郎丈も不遜で豪快な大きさが小気味良かった。
悪役なのに。


涎くくり親子(精四郎丈&片岡亀蔵丈)は、ほっと出来るクッション要員。
歌舞伎の笑いって、くどくなくてさらっと、しかし的確で気持ちが良い。


千代(時蔵丈)の扇扱いも情感伝わるところで、
所作そのものも美しく魅入ってしまいました。





勝手に作品を意識した装い『ゴースト&レディ』観劇編。




作品を、というより、デオンを意識し過ぎた装い。

何ならウィッグも銀髪にしようか、とも(やかましい)。


しかも当日は幸運なことに、大本命・岡村美南さんのデオンが観られまして(美)。


観劇前からデオン好き過ぎ。

観劇したら生前デオンも失神するくらい美しくてもっと好き。



衿に悩みまして、

色はグレージュのアラベスク地紋にいたしましたが、



無地の衿は昨年末のフォーマル

でも難儀しましたが、

地紋があろうとも、やはり無地は広く出すものではないという教訓を得ました。


元々体型的に鋭角角度が取りづらいので自装での無地衿は避けてきましたが、

⋯やっぱり研究し直さねばなるまいな。頑張ります。


本当、ゴールはありませぬ。



ヘアアクセサリーには、前日Mさんに連れて行っていただいた、

ジブリがいっぱい どんぐり共和国で一目惚れしました、

モロの君




タグがなかったらジブリグッズだなんて正直わかりません。

もしかしたらモロじゃないかもしれません。

ただの犬、それも和犬、

或いは、一見『犬』とも分かりづらいかもしれません。

一見、だったら、そもそもなにがなんだかわからないかもしれません、(←もう黙れ小僧)。




はじめは髪は下ろしておりましたが、

ランチにラーメン食べに行くし、暑いし、ということで、

早速モロに仕事してもらうことに。


大喜びでモロの撮影会をするMさんが可愛くてだね。


↑こうして撮っていただいて気づくのですが、

レース着物、特に背面は結構レース柄がはっきり出ていたのだな、と。


前身頃は二重になる部分が多いので、いまいち気づきづらくて。


合わせる帯のこともありますし、

多方面からの検証、大切。









『菅原伝授手習鑑・車引』


六月公演のお昼は、最前列!
少しかみてのセンターブロック!
観劇はトチリが人気であることも理解いたしますし、

観劇でもコンサートでも何でも、
やっっっぱり、わたくしは、最前列は嬉しい。


イアホンガイドの前解説でもお話されていましたが、
私も、菊之助さんは桜丸をおやりになると思いました。

吉右衛門丈を思い出し、ああ、成る程!
六代目菊之助丈には、こういう強みもある。
菊さんを通じて播磨屋スピリットも受け継ぎ、
音羽屋へまた新しい彩りを差してゆかれるのでしょう。


梅王丸は、
いつでもかかってきなさいオラオラオラオラ!(←語彙力⋯)な若さと勢い満点感が、
今の菊之助さんの年齢にもぴったりで、

桜丸に上方出身の吉太朗丈、といい、
荒事と和事のコントラストが楽しめる、
結果、実に秀逸キャスティングだったと思います。


色彩、画、動き、音。

歌舞伎の様式美満載の、
物語はシリアスだが観客はわくわくが止まらない大変キブン盛り上がる演目。

松王丸(鷹之資丈)の登場で一気にボルテージが上がる。
このあと登場する時平よりもなんだかラスボス感。

藤原時平は又五郎丈、
公家荒れ隈であろうとも、そこはかとなく善人顔。
やはり品格があり、ミュージカル界で例えるなら岡幸二郎さんの悪役と重なります(←個人の感想です)。



菊之助さんの梅王丸。

一挙手一投足、
一呼吸一言一言、総てに全身全霊が込められていて、

大きすぎるほどの拵えに決して負けていない、

豪快な見得も振りも鬼気迫る様でした。


「役に心情をのせることを大切に」と仰っていたが、

実際この年齢ではきっと、そこまでの憎悪を他人へ向けたこともまだないでしょう、

ソコを、全身全霊の荒事様式で表現、
もう、声が枯れるくらいの全身全霊。
おそろしい子!
もう、先月から私の中の月影先生が止まりません。


上記しましたように、ザ・カブキを堪能できる作品、
純粋に菊之助さんの襲名披露を祝福しながら、
気楽にルンルン(←昭和)観劇する心づもりでしたが、

幕が引かれた後は、
サスペンス映画一本観た後かのような、
何故かやりきった感(客なのに。勝手に。)でありました。

闘気を纏った梅王丸でした。



『元禄花見踊』

阿国と山三さまを中心に、若手メインの華やかで瑞々しい、
それでいて歌舞伎の元祖たる「傾き」感漂う粋な空間。

ペールトーンで統一された若人たちの装い、舞台上の色彩も美しく。

阿国が一人、黒いお衣裳で締まりがあり、
コントラストも実に見事です。

左近丈の小顔さに改めて驚愕しました。


幼少時より歴史オタク、特に日本史は女性史をメインに文献読んでおりましたので、出雲の阿国は小学生高学年で歌舞伎を知る前から存じておりましたが、

阿国モノの舞踊、歌舞伎関連は初めての観劇だったと思います。

肩に太刀を背負う見得には、我知らずオタクゴコロがざわつき、感嘆の声が出そうになりました。


阿国関連で山三さまもさらっと勉強したことがありましたが。


生まれもその名も名古屋、
元々は武士で(所謂お稚児さん時代もあったそうですがイコール子供時代から美人だった証)槍の名手、
おまけに美人(←重要)。


そんな逸材が歌舞伎の開闢に携わったとされていることを、
実は多くの名古屋人が知らない(三英傑と宗春に押されすぎ)。


何かと悪口しか言われない名古屋、
言われ慣れ過ぎて聞き流しスキルが高まり、
一周まわってマイペースな市民性に仕上がっておる気もしますが

(私自身がそうなので。言いたいやつには言わせておけ精神、はココが由来でありんす)。



名古屋山三郎。
殊歌舞伎に於いてはそんな訳なので、

この度、菊さんの襲名披露公演の演目に山三さまの名があることに、
心の中ではラオウの悔いなしポーズで観劇しておりました次第。


阿国が尾上右近丈、
山三さまが隼人丈、

キャスティングも紛うことなき美男美女で素晴らしい。



見た目のことばかりになりましたが。


実は鳴り物、音楽の点でも、

低音三味線の使用、変拍子など、普段なかなか体験できない楽曲、楽器に触れることが出来ましたのも収穫です。


和楽器に関しては、笛は少し勉強しましたが、お恥ずかしながら殆ど無知で。

祖母が長唄、お三味線、母親が箏曲をやっておりましたが、
もっとちゃんと教えてもらえば良かったなと、
祖母と母に関してはそこだけは後悔しております。

とても良いお天気でした。



『弁天娘女男白浪 / 浜松屋見世先』


様々なキャスティングで何度も観劇している作品ですが、
毎度、観る前からわくわくします。


楽しみだった松也んの南郷もハマっておりまして、菊さんとの相性も大変良く。

菊さんを好きになったきっかけのひとつは声だったのですが(芝居も勿論ですが、役者さんは声で落ちることが殆どです)。
あの声で発せられるべらんめえ調は実に鮮烈だ。

台詞、所作はリズミカルで南郷との掛け合いも心地よい、黙阿弥モノの醍醐味を享受し、
気づけば笑いながら口半開きで屈託なく無心で観ている。

⋯それを最前列で体験出来(感無量)。


最前列といえば、
極楽寺屋根での弁天と捕手との立まわり。

屋根の下には霞幕が張られておりますが、
席、前過ぎて、霞幕に阻まれ、菊さんたちの胸から上しか見えない(泣笑)。
最前列の罠に、最後の最後で苦しむ羽目に(泣笑)。

今までこのシーン、霞幕なんてありましたっけ、くらいだったすみません。

このときばかりはミーアキャットの背伸びの様になりました。
勿論、後ろの方に支障なき様、ギリギリミーアキャット。

そんな最前列のミーアキャットを見かねてか(こら)、
がんどう返しでは、もう、屋根がまわってもまわってもずっと踏ん張ってお顔を出してくれていた八代目(感涙)。
え、ココ、こんなに長くお顔見せてくれてましたっけ!(感涙)

屋根の向こう側ではきっと、菊さんもミーアキャットしていらしたと思います(←どあほう)。


ふう⋯(←より深い深呼吸)。

ミーアky、違、弁天の切腹を見届け、駄右衛門の場を心此処に有らず状態で観⋯

⋯そうでした、まだ菊さん復活祭があるのでした。


七代目と共に迫り上がり、しもてへ移動。

や、展開はわかっているのですけれど、着地点がまた私の席の正面で(失神)。

目の前で、七代目と八代目、
二人の菊五郎が並んでいる⋯!!!
なんと!!!

瞬間、もう泣きそうになりました(←この日何度目よ)。

想像以上に感動しました。
千穐楽ではご本人の希望で菊之助さんも(恐らく木下川八郎役でしょうか)出演されたそうで。
↑襲名展にて。
このお写真を揚げてくださりありがとう。


襲名公演で三代並んで出演。
菊さんの思いを菊之助さんが正しく汲み取っていらっしゃる賜物。


ああ。襲名公演って、すごいなあ。

上手く言葉にできないけれど、

「名前を継ぐ」という行程に込められている、
「役者として生きる」という熱意と覚悟と矜持。


過去、見たくても観られなかった襲名公演がいくつかありましたが(それこそ、三代襲名披露も何件かありまして)、

ちょっと無理してでも決行すれば良かったなあ、
なんて今更。


「芝居を観る」以上の充実感でした。

帰りは夜行バスでしたが、乗車した瞬間寝落ち、
京都到着間際まで、ぐっすり眠ってしまいました。