『ゴースト&レディ』
@名古屋四季劇場
いきなり8分の6拍子という大好物攻撃で一気に惹き込まれる。
今回もご一緒、チケット手配くださったMさんは東京公演千穐楽配信をご観劇、萩原グレイにどハマりなさったが、
そのお気持ちが一曲目からよく分かる。
コレはハマる。
…しかし、わたくしの大本命はやっぱり岡村デオンでした。
◆
昨年春。新作ミュージカル開幕、とのことで。
四季のグッズオンラインショップを覗くと、なんだか好きな雰囲気の世界観ぽい。
一気に気になり始める。
漫画が原作、とのこと。
タイトルからして、ミュージカル化からして、そしてグッズの雰囲気からして、
トートとシシィ的なアレか、夢夢しい女子好み然としているのか、と思いきや。
絵のタッチは少年マンガ寄りの劇画調、
クリミア戦争が舞台の、戦場は勿論、戦場外でも繰り広げられる激闘、
何やら人間の負感情を具現化した〈生霊〉がゴロゴロしている。
全く想像できない、という、
原作を手にした時点での観劇前感想でした。
開幕後。
お気に入りの岡村美南さんがデオン役で、その扮装写真が美しく、
当初は正直、それだけが観たい一心でした。
デオン。
川島芳子みたいだなーと思っていたら実在人物だった。
シュバリエ・デオン。
猛烈に知りたくなった。
◆
実際観劇してみると。
〈生霊〉はどう表現されるのか、気になっていたのですが。
あのくだりはほぼ完全にカットされていまして、
キュレーターも登場しなくて、
舞台化に際しての整理整頓は見事でした。
原作を読んだ印象からは、グレイは次元大介風味の感想だったのですが、
一曲目『奇跡の夜に』美しくも物悲しいアリアで一気に客席を鷲掴みしておきながら、
時々謎のべらんめえ調だったり、ボケもスマートで、
次元大介をよりコミカルにした感じ。
あと、原作読んだときから思いましたが、
「死後は劇場に住みつきずっと観劇している」
よくも私の将来の夢をバラしてくれたわね。
私は一ヶ所に留まらず、世界中の劇場をまわるわよ。
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ゴースト観と自己紹介の楽曲『俺は違う』では、
そんな芝居大好きグレイさんらしく、ゴーストたちがギリシア劇の仮面の様なマスク装備だったのが佳い。
それから、全編通して照明効果が見事。
『絶望のどん底で』で、グレイが当面の生き甲斐?を見つけ、
意気揚々と俺様が主役だあ言うてる、最前まで青ざめ真っ白だった顔色に赤みが差す。
ちょっと人間くさいこと言っている場面では、暖色系の照明を当てているのではないかとおもう。知らんけど。
作品を象徴する楽曲、場面でもある『不思議な絆』での、
あの二つの階段のフォーメーションも素晴らしかった。
階段の動き見ているだけで感動した。
『走る雲を追いかけて』は、これから戦場へ赴くという勇ましい楽曲で、曲調もマーチなのに、
女声のみの和音が美しくて讃美歌の様だ。
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吾輩、腹立ちます。
超ーーー嫌い、こういうおっさん。
で、あの棒読み感がまた、絶妙に神経を逆撫でしてくる。
瀧山久志氏、巧いわ。巧妙すぎるわ。
客が、芝居観ていて登場人物に腹が立ってくる。
悪役冥利に尽きるのではないでしょうか。
正論、正義感、倫理観がブレず、真っ当に仕事しようとしている若者を、
セコくて心卑しい、年功序列という魔法に乗っかってきただけの小物おっさんが邪魔をする。
本当、よくあるけど、
本当、腹立つ。
既視感と憎悪しかなかった。
ああ、きっといま、私の〈生霊〉が暴れているんだわ。
フローに呆れられてグレイがつまらぬものを斬りにくるんだわ(どあほう)。
正直、デオンにはあんなおっさんに憑いていて欲しくなかった。
『偽善者と呼ばれても』
フローとグレイとデオンと吾輩の迫真の四重奏は、
正直、歌詞が総て聴き取れなかったので、
あの迫力だけひとまず堪能し、
CD買ったし、後ほど確認しよう。
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大本命・デオン・ド・ボーモン。
名古屋で開幕後、毎日のようにキャストをチェックし、
観劇日当日まで確認しておりました。
岡村デオン❤️なかなか出てこなくて、やっと出てきたー!ら、幕間になっちゃって泣いた(涙)。
原作では語られない複雑な生い立ちがハバネラでのダンスシーンで語られる演出が刺さりました。
生前デオンがまた、想像以上に美しかった。
原作終盤の方は、もう、モンスターの様になっていたが、
ミュージカルでは最後の最後まで美しいままで救われた。
Mさんは「デオンの目的、信念の先が何故ああなるのかが分からない。私には、デオンは難しい…。」
と仰っていまして。
え、や、私もそんなところまで考えていません、
シンプルに単純に岡村さんのデオンのカッコよさ、美しさを讃えているだけなんです。
キャラがどうとかすらも、気にしていません。
例えただのど変態だったとしても、
あの姿が好きなだけなんです。
Mさん、相変わらず洞察力深くて作品にも大真面目に向き合っていらして、
片やわたくしただのミーハーで、
もう、なんか本当にすみません(恥)。