D-DST

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日記や、沢山の好きなことへの、
独り言。

今更ですが、襲名フェス七月公演分、
すみませんまだ続きます『土蜘』。
嘗ては松緑さんの襲名披露(2002年)で土蜘初観劇、
非常に慎重で厳かな菊さんの胡蝶を観劇したものですが。

その胡蝶役をその御子息がお勤めになる瞬間に立ち会えるとは、
当時を思うと、込み上がるもの、感嘆、昂り。

いろいろ大変です、情緒が。


菊さんの土蜘の精の観劇は⋯一応、二度目⋯???
アレは回数に入れて良いのかしら?

嘗ての音羽会新年会でのショウタイムにて、

土蜘の塚が登場し、四天王らが塚を暴くと、
菊さん扮するスパイダーマン(アメコミ)が鎮座しておられらっしゃるという。

そのまま平井御一行様とのダンスシーン(菊さん以外は紋付袴で全員真顔)に爆突入、
照明もばちばちさせて大盛り上がりだったのですが、


全身タイツで身体の線、動きが物凄くはっきり見え、
且つ通常より速く大きな振り付け、
日舞でもバレエでも格闘技でも、何事もジャンル問わず、
やはり訓練された身体遣いの美しさに圧倒、感動しておりまして。

歌舞伎俳優さんの踊りを全身タイツで観られることなんて、この先もう二度とないであろうから。

↑以上が、わたくしの菊さん初土蜘(←パロディだがね←思わずナゴヤ弁)。


初役は2019年の博多座公演とのこと、いよいよ智籌からの観劇。

なんだかゾワゾワし、慌ただしく振り返ってしまいまして周囲のみなさまごめんなさい。

己で申すもアレですが、
こういう勘、敏感なんです。

やっぱり「そこ」に居ました、菊さん、や、智籌。

くどいですが、もう、
人外菊さんのこの神秘性。不気味さ。禍々しさ。
大好物なんです。

何故ソレに惹かれるのか、理由は漠然としていたのですが、

以前、松本人志氏通称まっちゃんが評された、実に言い得て妙であった「真っ白のブリーフ何枚も持っていそう」
なお人が、妖かしのあれこれを演じるというそのギャップのおもしろさ、おそろしさが、
そのひとつなのかもしれないと気付きました。

で、

正体がバレるあたりからの間合いや空気の計算尽くされた動き、緊張感のクレシェンドが、もう、何とも愉しい。

リズムよく畳み掛けるようにグルーヴし上気分になっている間に、智籌、退散してしまう。
あっという間だ。


ところで、古今東西刀や剣に超能力の様な、魔除けの様な効果がある描写はとても多いけれど、

武器や道具に用途以上の効能を込める人の想いって、
物質主義以前の時代ではロマンやファンタジーになるけれど、

現代でソレやるとただの詐欺案件になりかねない不思議。


やっぱり生きている人間が一番愚かで残酷だと思う。

モノがあってもなくとも、
改めて、
人として、
道徳的で善い使い方、善い想いを持ち続けてゆきたいと戒める。


成駒屋御兄弟と、燕党コンビ・彦さま&壱太郎丈による間狂言はしばしの憩いですが、

ちゃんと土蜘の世界観もそこはかとなく漂っている、観応えのある場面⋯

⋯のハズですが、

夜の部入場前のサプライズ事件に大きく関わっているので、
もう、当初のドキドキ、心臓ばくばくが復活して
非常に危険でした、情緒が。


いかん、私、あまり緊張とかしない質だと思っていたのに。

お席、花道横でしたから、
真上にいらっしゃるんですよもうどうしよう。

土蜘始まる頃には、すっかり平常心戻ってきていたのにな。


壱太郎丈は、母性感じる温かさ大きさの、品あるコメディエンヌ振り。
七月公演は壱太郎丈の魅力も満載公演でした。


彦さま、今月は毎日、ご出演まで、近辺からかなり遠方までお出かけになったりと有意義にお過ごしだったようですが、
日々の彦さんぽ効果もあってか、舞踊に如実に表れているキレと柔軟さ。

七月はココでしか観られないので、しっかり観たいのに。


そのままの情緒のまま蜘の場へ突入してしまったので、
外連たっぷりクライマックスもあっという間でした⋯

勿体ないことをしてしまった⋯


⋯仕方がないじゃないか、
街中で、
ばったり彦さまとお逢いしてしまったのだから!

リップサービスもあったと思いますが、
SNSでやり取りしていただいている私だとちゃんと認識してくださっていたし、
ご対応物凄くスマートだし、
あの美声だし。


「思いがけずばったり効果」の威力に屈服した真夏の午後でありました。

◆◆◆

帰路、なんばから梅田への地下鉄車内。

空いていたので、座る、

と、正面に
Ki◯g & Pri◯ceバッグとグッズのおねえさま二人組。
その左にはD◯r en g◯ayTシャツとリストバンドのおねえさま。
私のお隣には文楽のパンフレットを携えたおねえさま。
わたくし、歌舞伎観劇帰り。

半径50cm圏内が異文化交流している。

嫌いじゃないぞ、こういう小宇宙。


※以下、ネタバレあり。


久しぶりの映画館。

京都でもオダギリジョー監督登壇舞台挨拶の開催か決まり、丁度お休みの日。
行くしかない!


通常「ドラマからの映画化」というと、ドラマの流れを引き継いで、といった内容になると思うのですが、

モーセの海割れあたりからなんだか様子が激変する。

小西さんの失踪の着地点すら忘れそうになるくらいどんどん複雑になってゆくし、
何なら警察犬、主人公一平の存在感、オリバーすら出てこなくなる(困惑)。

全く想像していなかった、ナナメウエ展開。

こうなったらこちら(観客)も、この独特の世界観や謎と向き合ってゆくしかない。


あちこちにこの謎を解くヒントが隠されているのではないか、

看板、記号、数字、背景、色、アイテム、台詞の端々、楽曲、カメラアングル、
あらゆるものが暗号に見えて仕方がない。


何人かのキャラクター、厳密にいうと、あの赤い扉に触れた人物であろうか、の不思議エピソードたちも、
どこかで繋がってゆくのか、
共通項があるのか。



あと、そもそも映画館が不慣れなわたくしですが、

サウンド面の立体感、臨場感に感動です。

後に舞台挨拶でオダギリジョー監督仰っていましたが、
やはりサウンドに関しても、映画館で鑑賞する醍醐味に拘られたそうです。


ドラマで登場した牧場下のクラブや、
本作の『アルマ アルバ』の、あの退廃美、大好きな雰囲気で、

更に今回はスローテンポな楽曲だったので、より惹き込まれました。




観劇後は殆ど咀嚼しきれず、一度観劇しただけでは理解が追いつかない。

でも、何かしらの意図やメッセージ性を感じる(根拠はありません、ただの勘です)このような作風は好きだし、
不完全燃焼ながらも俄然興味が湧いてくる。


上映後の監督ご登壇では、観客からの質疑応答がメインで、
大変光栄なことに挙手の指名をいただけ、
頭の中、散らかったままでしたが、
お尋ねしたいことを簡潔明瞭にまとめられていないままでしたが、

上記のことを質問いたしました。

要約しますと、

◇各不思議エピソードは、繋がっています。
◇一度観ただけでは確かに情報の取りこぼしもあると思いますし、ヒントを探すことも楽しみながら、何度か観ていただければ。

というご回答でした。

私以外に4名、ご対応くださいましたが、何れも本当に丁寧に、真摯にご回答、ご説明くださいました。

ご回答されるなかでも、監督業の難しさ、大変さ、
現在の映画業界所感、
監督目線、役者目線それぞれの作品への取り組み方、
制作中のエピソードなどもしっかりと聴くことが出来(中にはオフレコの内容も有り㊙)、

充実の舞台挨拶でした!!!


オダギリジョーさんは旦那様がお好きで、何作かDVD、BDで拝見したことはありましたが、

大変失礼ながらあまり詳しく存じ上げないでおりましたが、

とっっっっても奥深く、唯一無二で職人気質で、
何よりまさに「アーティスト」という感想でした。

そしてとても小顔であった。
このフラッグ、カッコいい!欲しい!

帰宅後、パンフレットにかじりついて復習しております。

質問採用されたご褒美ステッカー✨
⋯赤い扉が、目の前にやって来てしまった⋯(←どあほう)。


高嶋政宏さんの、ザ・妖精なシルエットが秀逸。

『ラ・カージュ・オ・フォール』で長らくジョルジュを演じていらした鹿賀丈史さんが、満を持してザザ化し、
ミュージカル界隈としては感慨深かった。

一般人目線ですと、正直漆原さんは大嫌いなタイプですが、
返り血を浴びた麻生久美子さんの横顔は息を呑むほど美しかった。


まだ一度鑑賞しただけの、現時点での感想ですが、
『ルドルフ』がキーワードになっているのかな?


オープニングとエンディングのシーンは、
誰でも、いつでも誰かの立場になりうる、
というような暗喩であろうか、とか。


ジャンルとしてはコメディに分類されているようですが、
そんな簡単な作品ではない気がします。

や、おもしろいのですけれど。


湿度高めであった当日。

帰宅すると、
ダイアナ(愛犬)のオイニーがゴイスーでした。



ルパン歌舞伎。

ルパンが好き(原作、アニメ、LUPIN THE THIRDシリーズ、総て好き)であることは勿論、

先ず、次元役がサブさん(笑三郎丈)に震えました。

20年ほど前ですが、とあるライターさんがサブさんについて
「女形として優れた役者さんであることは間違いないが、口跡良く長身、勿体ないなあと思う。立役も、もっと観たい!」
といった感想をお書きになっていて、

その後、実際にサブさんの立役は『三人吉三(通し)』十三郎観劇の機会に恵まれ、
立ち姿美しく清々しく、女形とはまた違う色気が漂い、大いに納得しまして。

ただ、如何せん白塗りたおやか系。
私の中の立役サブさんはソコ止まりだった、
そんなところへ、次元大介。

立役、というか漢役(おとこやく)。
クールで渋くてニヒルなくせに情に篤い仕事人。

絶対観たいやん。

スタイル良くないと着こなせないであろうマント衣裳で颯爽と現れ、
大きな動きをするでもなくとも抜群の存在感。
ハスキー気味で軽口たたく様はまさしく次元大介で。

芸幅広すぎる。
サブさん、漢役も物凄くハマる。



笑也さんの不二子ちゃんは、キャスティング解禁時は意外に思いました。
が、扮装ショットがリリースされ、ああ、そうか、笑也さんの、こっち路線か!と腑に落ちる。

嘗ての劉備を彷彿させるような、意志のブレない表情。

「自分で自分を護れるのがいい女」の不二子ちゃん像でした。
お茶目な芝居も、実に笑也さんぽい。
そう、間違いなく「不二子ちゃん」だけど、「笑也さん」でもある。

 
歌舞伎界に於いて笑也さんの出現はセンセーショナルだったと伝え聞いておりますが、

良い意味で「歌舞伎の女形ぽくない」ところがその所以のひとつではないかと改めて思います。

古典歌舞伎には見られないような女性キャラクターを、
ちゃんと歌舞伎に落とし込んで造ってしまわれる。


勿論古典も大好きだし、古典、基礎があってこそですが、
新作がどんどん出て来ている昨今もとっても楽しいし、

そうなると、こういう、不二子ちゃんや笑也さんが今までおつとめになったお役たちのようなキャラクターも必要になってくると思うので。

現代のこのタイミングに、出てくるべくして現れた役者さんのお一人だなと、
笑也さん観劇するたびに思います。


ルパン歌舞伎の舞台は桃山時代ですが、
実際、この時代なら女性の隠密は暗躍していたと思いますし。

廓での男前な立ち居振る舞いも、超絶カッコ良かった。
↑粗くて申し訳ないが、千穐楽カーテンコールでの、
安定お茶目でかわいい笑也さん。


斬鉄剣の生い立ちの様な伏線だったので、十三代目の魅せ場が多くて十三代目ファン、歓喜です。
ちなみにアニメシリーズなら1st、LUPIN〜シリーズの原作寄り劇画風味、
ど三白眼の十三代目が好物です。

ケンケンとっても似合っていました。
十三代目、モノにしてしまってました。

初演の松也んに続き、音羽屋贔屓として嬉しい十三代目役のキャスティング。
齢15歳の右近襲名の頃から観劇してきたケンケンが、
大好きなキャラクター役で南禅寺での名台詞で登場。
いきなり実に感慨深い(涙目)。
親戚のおばちゃん目線でうるうるしてしまいました。

全身全霊全力のお褌姿も迫力でした。

今作は鷹之資丈のお褌も登場するし、
今夏はお褌強化期間でしたわ。


お褌と言えば、稲瀬川ならぬ玄界灘勢揃いでのお揃いお衣裳、
ルパンのお褌がこの柄で安心した。

舞台でもちゃんとこのお褌着用で安心した。


『口上』

背景は松竹座も斧琴菊、
左右は音羽の滝と清水寺でした。

役者絵も斧琴菊🙌



松竹座では七代目が不在なので、
仁左衛門丈が進行をおつとめになりまして。

つい先ほど、戦を起こす人間社会の愚かさ、虚しさ、を渾身魅せていらした姿が嘘のような純真ど天然進行 。
無意識にあざといぞ、ニザえもん!
一気に会場は朗らかモードに。

そうこうしている間に、今月公演休演の情報が⋯。
我が国が誇る正真正銘国宝のお一人、
どうかご自愛いただき、復活をお待ちしております。


何度も申し上げているように、私の歌舞伎観劇はかなり偏っているので、


そういえば孝太郎丈観劇ってあまり記憶にないな、少ないよな、と思っていたのですけれど、
御本人談、やはり菊さんとのご共演自体は少なかった様です。

リズム良く心地良く、お話が止まらない。
客席も笑いが止まらない。

こんな楽しい方だったなんて。




今回の大阪公演の口上では、菊さんプロジェクト(NINAGAWA十二夜から始まる、菊さん発の一連の新作歌舞伎作品集を、勝手にこう呼んでいる)
に出演された方々も多く、

なんだかより「ホーム感」ある印象。


信二郎時代より、そういえば皆勤賞の錦之助丈。
誰よりもドヤ感アピールしてらしてかわいい。

当然なのですが、みなさま、トークスキルも高すぎて、
客席も全力で受け止めないと御利益逃すキブンです。


「まだまだ話足りない感の中、強制終了せねばならん感」も醸し出ていたり。

改めて歌舞伎俳優さんのスゴさを実感するのでありんあす。


7月までの観劇日記は8月中にはまとめよう目標でしたが、
地味に体調不良の波があり、遅れ、
ようやくココまでやってきました。

数日前より、山奥京都もいきなり涼しくなってきまして、
猛暑だったこの頃が既に懐かしいです。

六月 歌舞伎座公演より。





『一谷嫩軍記 熊谷陣屋』


夜の部開幕。


直前にサプライズ事件がありまして!

心臓ドキドキばくばく、顔は表情筋の緩みが止まらず。

正直、半分くらい心此処に有らず状態でしたすみません。


浄瑠璃とお三味と付け打ちと、
直実の芝居との絶妙なグルーヴを感じながら、

必死にクールダウン、
集中力を高めておりました。



熊谷陣屋は、決して狙っているわけではなくとも結構何度か観劇しており、

今まで観てきたキャスティングの役者さん方は鬼籍に入られている方も多く、
至極当たり前のことなのですが、

舞台観劇も一期一会、
毎度毎度が奇跡の巡り合わせだったのだなぁと。

今回も、直実役は仁左衛門丈。
夜の部お席は花道真横、
涙しながらの三重送りの場面を真下から観劇出来、
その迫真の直実像の造詣と、

改めてこの作品に込められているメッセージ性に、
大変心痛みました、
後日(当日は、上記しました様に半ばそれどころではなかったので)。

個人的に、平家物語は一種の反戦もの(かなりの広義でですが)ではないかと捉えております。


それでも、

桜の枝の注意看板に真意を込めるだとか、
皇胤を護るだとか恩義に報いるだとか。

きれいな台詞や所作、音楽、色彩、様式美に則って堪能する「心」。

改めて美しい文化、世界だなあと、
やはり痛いくらい感じます。



藤の方は壱太郎丈。

午前中、浮かれながら大根切ってた娘とは思えないほどの、

皇族出身やんごとなきオーラが凄かった。

怒れる母親。
体格まで異なって見える。役者って凄い。

壱太郎丈は、十年前の新橋演舞場公演で初めて観劇、
この時は若手で出番も少なく、綺麗な子が出てきて嬉しいなあくらいの感想でしたが、

今回の一連の襲名公演で割とたくさん拝見出来、
もう、すっかり主力若手でなんて頼もしい。


主力若手と言えば、同じく今回襲名公演でご活躍隼人丈も、立ち姿、声も綺麗で(←重要)今後も期待大です。

幕間にて、わたくしの前のお席の、私より少しお若いくらいの殿方御一行様、
「隼人、イケメンやなあ」
「隼人はイケメンや」
「ええよなあ隼人」

男性から大人気の隼人丈。


お二人とも、続く『土蜘』にも登場するので楽しみ。