すみませんまだ続きます『土蜘』。
非常に慎重で厳かな菊さんの胡蝶を観劇したものですが。
その胡蝶役をその御子息がお勤めになる瞬間に立ち会えるとは、
当時を思うと、込み上がるもの、感嘆、昂り。
いろいろ大変です、情緒が。
◇
菊さんの土蜘の精の観劇は⋯一応、二度目⋯???
アレは回数に入れて良いのかしら?
嘗ての音羽会新年会でのショウタイムにて、
土蜘の塚が登場し、四天王らが塚を暴くと、
菊さん扮するスパイダーマン(アメコミ)が鎮座しておられらっしゃるという。
そのまま平井御一行様とのダンスシーン(菊さん以外は紋付袴で全員真顔)に爆突入、
照明もばちばちさせて大盛り上がりだったのですが、
全身タイツで身体の線、動きが物凄くはっきり見え、
且つ通常より速く大きな振り付け、
日舞でもバレエでも格闘技でも、何事もジャンル問わず、
やはり訓練された身体遣いの美しさに圧倒、感動しておりまして。
歌舞伎俳優さんの踊りを全身タイツで観られることなんて、この先もう二度とないであろうから。
↑以上が、わたくしの菊さん初土蜘(←パロディだがね←思わずナゴヤ弁)。
◇
初役は2019年の博多座公演とのこと、いよいよ智籌からの観劇。
なんだかゾワゾワし、慌ただしく振り返ってしまいまして周囲のみなさまごめんなさい。
己で申すもアレですが、
こういう勘、敏感なんです。
やっぱり「そこ」に居ました、菊さん、や、智籌。
くどいですが、もう、
人外菊さんのこの神秘性。不気味さ。禍々しさ。
大好物なんです。
何故ソレに惹かれるのか、理由は漠然としていたのですが、
以前、松本人志氏通称まっちゃんが評された、実に言い得て妙であった「真っ白のブリーフ何枚も持っていそう」
なお人が、妖かしのあれこれを演じるというそのギャップのおもしろさ、おそろしさが、
そのひとつなのかもしれないと気付きました。
で、
正体がバレるあたりからの間合いや空気の計算尽くされた動き、緊張感のクレシェンドが、もう、何とも愉しい。
リズムよく畳み掛けるようにグルーヴし上気分になっている間に、智籌、退散してしまう。
あっという間だ。
ところで、古今東西刀や剣に超能力の様な、魔除けの様な効果がある描写はとても多いけれど、
武器や道具に用途以上の効能を込める人の想いって、
物質主義以前の時代ではロマンやファンタジーになるけれど、
現代でソレやるとただの詐欺案件になりかねない不思議。
やっぱり生きている人間が一番愚かで残酷だと思う。
モノがあってもなくとも、
改めて、
人として、
道徳的で善い使い方、善い想いを持ち続けてゆきたいと戒める。
◇
成駒屋御兄弟と、燕党コンビ・彦さま&壱太郎丈による間狂言はしばしの憩いですが、
ちゃんと土蜘の世界観もそこはかとなく漂っている、観応えのある場面⋯
⋯のハズですが、
夜の部入場前のサプライズ事件に大きく関わっているので、
もう、当初のドキドキ、心臓ばくばくが復活して
非常に危険でした、情緒が。
いかん、私、あまり緊張とかしない質だと思っていたのに。
お席、花道横でしたから、
真上にいらっしゃるんですよもうどうしよう。
土蜘始まる頃には、すっかり平常心戻ってきていたのにな。
壱太郎丈は、母性感じる温かさ大きさの、品あるコメディエンヌ振り。
七月公演は壱太郎丈の魅力も満載公演でした。
彦さま、今月は毎日、ご出演まで、近辺からかなり遠方までお出かけになったりと有意義にお過ごしだったようですが、
日々の彦さんぽ効果もあってか、舞踊に如実に表れているキレと柔軟さ。
七月はココでしか観られないので、しっかり観たいのに。
そのままの情緒のまま蜘の場へ突入してしまったので、
外連たっぷりクライマックスもあっという間でした⋯
勿体ないことをしてしまった⋯
⋯仕方がないじゃないか、
街中で、
ばったり彦さまとお逢いしてしまったのだから!
リップサービスもあったと思いますが、
SNSでやり取りしていただいている私だとちゃんと認識してくださっていたし、
ご対応物凄くスマートだし、
あの美声だし。
「思いがけずばったり効果」の威力に屈服した真夏の午後でありました。
◆◆◆
帰路、なんばから梅田への地下鉄車内。
空いていたので、座る、
と、正面に
Ki◯g & Pri◯ceバッグとグッズのおねえさま二人組。
その左にはD◯r en g◯ayTシャツとリストバンドのおねえさま。
私のお隣には文楽のパンフレットを携えたおねえさま。
わたくし、歌舞伎観劇帰り。
半径50cm圏内が異文化交流している。
嫌いじゃないぞ、こういう小宇宙。