聖地巡礼「サマータイムレンダ」 和歌山県にある友ヶ島を訪れる | バイカルアザラシのnicoチャンネル

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 アニメの「サマータイムレンダ」の聖地巡礼に和歌山県の友ヶ島に来ました。

 

 和歌山市の加太にある友ヶ島汽船で沖ノ島に向かいます。友ヶ島は沖ノ島などいくつかの島の総称のようです。所要時間は約20分です。途中波が荒いところがあり船の中に波しぶきが入ってきます。

 

 レンガ造りのゲートを通るともう異世界です。タイムスリップしたような光景が広がありました。時代は太平洋戦争中。

 

 島内巡礼マップが用意されていて便利です。

 

 第一砲台跡です。何とも風情のある島です。人が作った人工物なのに自然が優しく覆って一体感をなしています。

 

 背景は現地とそっくりに描かれています。あまりにもリアル。

 

 アニメにも登場するレンガ作りの砲台があります。空は広葉樹に覆われて木漏れ日が差しています。砲台の中は真っ黒。ここは弾薬庫、頑丈に作られています。第三鉋台は島の山頂付近にあり360°攻撃ができ、大阪湾を守っていました。

 

 しかし、砲台自体は時代遅れの戦術で、江戸末期に外国船を打ち払うなら有効な方法だったでしょうが、移動もできない砲台は戦闘機が一発の爆弾を落とせば使えなくなる代物でした。なぜ航空戦力が物を言う時代にこのような物を作ったのか不思議です。そのおかげで一度も砲台は使われることなく、今日、アニメの聖地となりました。

 

 よく考えてみると同じような例が日本軍にはありました。日本の空母打撃団がイギリスの不沈戦艦プリンスオブウェールズを撃沈しました。時代は航空勢力の時代になると世界に知らしめた瞬間でした。しかし、日本はそれに学びませんでした。そして、日本は戦艦大和や武蔵などの大艦巨砲主義に走りました。それはまさしく芸術品のような物で、当時としては完成された巨艦でした。

 

 友ヶ島にある砲台も江戸時代なら世界に誇る最新鋭の完成された軍事施設だったでしょう。日本人は技術を駆使して完璧な物を作ろうとする習性があります。それは戦術よりもむしろ芸術にまで高められた孤高の施設です。航空戦力が物を言う時代には無用の長物です。砲台はもはやアメリカ軍にとって戦闘にも値しない存在で攻撃目標にもなりませんでした。おかげで終戦まで無傷で残りました。

 

 今、アニメの聖地になったのは、このために作られた施設だったのかもしれません。そして、この砲台が一回も使われることがなかったのはある意味で幸いです。ここを管理して戦った戦士達も終戦後の日本の復興を助けました。一見無駄のような物が、尊く有効な存在になることってあります。

 

 本当にアニメの世界です。一度は訪れたい聖地。どこまでが現実なのか、どこまでがアニメなのか境目がありません。

 

 展望台からは眼下に淡路島が見えます。灯台も見えています。大型のタンカーや輸送船が行き来しています。大阪湾や神戸港があり、船の航行は盛んです。明石海峡大橋も見えます。淡路島の遙か向こうには四国山地も見えています。

 

 妖精のようなキノコが生えています。これに顔を描けばアニメの世界。

 

 友ヶ島灯台。どうみても明治期の御雇外国人のブラントンの設計です。このような石造りの灯台は全国各地にあります。石造りの灯台の完成形なのでしょう。天を仰ぎ見るような石段を登って行くとこの突然現れる光景は見ものです。

 

 子午線標柱の最南端の地。GPSで測定してみると東経135°00′00″00でした。当たり前なのですが、はかってみたくなります。一分は一海里で1852mです。自分のスマホでは100′の1″の狂いがあったので、2m以内の誤差でした。ここが日本標準時間です。

 

 無残だったのは第二砲台です。使われないように破壊したと言います。それを台風がさらに破壊し、もう見るも無残な状態。平和になったのですから、何も壊さなくても。戦争遺構として残せたのに。誰がこんな決断をしたのか。間違った決断は誤った行動を生み、後世に負の遺産を残します。

 

 

 結局一日で7km程を歩きました。最大標高は180m程です。右回りか左回りがいいかと言えば、右回りの方が急に上って緩やかに下っていくので疲れが残りません。夏の日差しが厳しいのですが、木漏れ日の下を歩いているので結構涼しいです。

 

 へとへとに疲れて宿にたどり着きました。部屋から風景はこのとうり、美しいです。しかも夕日が差してトワイライトになると絶景に変化。加太海月、夕食も朝食も目を見張るほど上品で丁寧に作られています。鯛づくしの一品はどれもが逸品です。中でも鯛のスープはこれまで飲んだスープの中で一番美味しいと感じたほどです。

 

 次の日は花山温泉に行きました。写真の通り濃度の高い炭酸風呂です。なんと言っても地中からゴボゴボと音を立てて湧き出ています。26℃の源泉に5分入り、41.5℃の温泉に10分入る。これを3回繰り返すと副交感神経のためによいようです。のんびりひたってて堪能しました。温度が低いのでいつまでも入っていたい湯船です。それにしても湯ノ花がこんなに結晶して、なんとも風情があります。一泊して一番風呂に入ると表面に湯ノ花が結晶しています。それをザンブと入るのは気持ちのいい物です。

 

 西国33箇所観音霊場3番目の粉河寺に来ました。

 

 父母の 恵み深き 粉河寺 仏の誓い 頼もしの身や

 

 両親の恵みが深い粉河寺。衆生を救う仏の誓いは頼もしいものだ。ご詠歌は平安時代にできましたが、今日までよくも歌い継がれてきたものです。絵馬が風に吹かれてカラカラと音を立てています。

 

 芭蕉も粉河寺を訪れたのでしよう。句碑が建っています。

 

 ひとつぬきて うしろにおひぬ ころもがへ

 

 暑くなったので一つ衣を脱いで背中に負う。衣替えの季節だ。その日の境内は暑かったのでしょう。芭蕉の旅の苦労がうかがえます。

 

 

 今回の聖地巡礼の旅を7分にまとめました。ご覧ください。