葉が落ちきった木を蹴り飛ばしているよう -11ページ目

杞憂に満ち溢れた不安定な泥濘

疲れきっている



足元はぬかるんでいる




視覚を失うほどの霧





身体中にまとわりついた蜘蛛の糸




自分が残した足跡は、まるで氷柱のようで醜い




空は重く低い




まっさらな空をいつ見ただろうかと思案する





余計な情景が浮かんでは消える




さて、いつだったろう




もう思い出せない




そして、また見たとしても




それをまっさらな空だとわかる自信もない



体は重い



一歩踏み出すたびに





そのまま沈んでしまうんじゃないかと思う





手足の自由は、蜘蛛の糸で奪われている





透明な蜘蛛の糸には、懐かしい記憶が写し出されている





漠然と曖昧な記憶




自分が過ごした記憶だという自信はない




それでいいとも思っている




記憶が消費できるのなら




もう少しは、体が軽くなるだろう





木にぶつかった





幹のしっかりした老木だ




がさがさとした手触りは老人の肌とよく似ている




霧のせいで、前後左右がわからない




ぶつかった木は前にあるのか、後ろにあるのか





まったく見当もつかない




体も空も重い




原因ならわかってる





だと言うのに、体は重い




どうするべきなのかもわかってる





だと言うのに空も重い





やはり今日も






疲れきっている

ゆらゆらとふかふかと

淡い球体は、ふかふかと浮かんでいる




パステルカラーの部屋




暖かで優しい灯り



じっと球体を見る




ふかふかと楽しげに浮かんでいる




天井には雲一つなく




色とりどりの綿菓子が浮かんでいる




球体は、ゆらゆらと危なげに揺れ




ふかふかと浮かんでいる



心もふかふかと浮かぶ




地に足がついているのかを確認してみる




5mmだけ




ふかふかと浮かんでいた





球体をじっと見る




淡いイメージが頭を駆け巡る




そして




理性はふかふかと浮かんだ





パステルカラーの部屋




天井に浮かぶ色とりどりの綿菓子





暖かで優しい灯り





淡い球体





ふかふかと浮かんでいる

こんにちわからさようならへ

教えてくれとせがまれた



目は血走り、頬はひきつった必死の形相で




私は、それを断った



不安、憂い、怒りへと表情を変化させ



私を言葉巧みに罵った



それでも、私は教えるわけにはいかなかった




真っ暗な穴蔵



私たちはそこにいた




蛍の光が点滅している




今日は、ひどく匂う




先日の華やかな香りとは程遠い




悪臭だ





私たちはそこにいた




外は雨だろうか?




私の目の前にいる人間の顔を見れば、すぐにわかる





蛍は消え、辺りは真っ暗だ




うすぼんやりとしか、表情が見えない




私がそうという事なら




相手もまたそうなんだろう





まだ、私を罵る声が聞こえる




なんとまぁ、自虐的な人間なんだろう




罵ることに疲れたのか


穴蔵から出ていこうとする後ろ姿が見えた




真っ暗だ




今度はいつ来るのだろうかと、思いを巡らせる




いつか、私を理解してくれるだろうか




また、いつか来る




なぜなら





私たちは、確かに





そこにいるから




ふと耳を澄ませると





雨粒が地面を撫でる音が聞こえた




外は雨だ