蛙は地域経済をいかに循環させるか、つまり地元の生産者がつくったものを、地元の業者が購入して加工販売、もしくはそのまま販売することこそが、これからの時代に重要なことだと考える。その大きな障害となりうるものは何と言ってもファストシティ化している地元以外の大手企業出資によるショッピングセンターであったり、コンビニエンスストア、郊外型のロード型ショップなどであることはこれまで述べてきた。


そこに大いに驚異にもなり、武器にもなりうるものがもう一つある。それが通販である。ネットは世界を近くすることができるツールであり、これをうまく活かさなければおそらく地域経済は循環しない。今はオイシックスのように生鮮野菜すらも通販で購入できる時代なのだ。コレも実は効率化の象徴でもある。そこにどうやって対処できるのかが地域経済循環の鍵を握っていると思う。


さて、地域経済の循環の鍵を握るもうひとつは環境リサイクルができるかどうかだ。地元で廃棄されたものをもう一度地元で消費できるようなリサイクル社会をつくっていくことが地域経済循環には重要だ。先ほどのサイクルにもどろう。


たとえば地元の生産者がつくった食材を、地元の業者が購入して加工販売、もしくはそのまま販売、ただしそれの残ったモノ、いわゆる売れ残りは残滓のようなものを再度地元の生産者が飼料として購入する仕組みが必要なのだ。このようなリサイクル手法を「リサイクルループ」と呼ばれており、そのループされる食材が多ければ多いほど循環型社会に近づくということである。


なお、リサイクルループとは、流通業や外食店などで出た食品廃棄物を飼料や堆肥(たいひ)としてリサイクルし、その飼料や堆肥で作った農水畜産物を商品に使用する仕組み。平成19年12月に施行された改正食品リサイクル法で、構築が求められている。これを地元にこだわったものにすれば、食の安心というものに受け継がれることになり、なおかつ地域経済が循環する仕組みが生まれるモノと思われる。


蛙としてはその生ゴミを集めて肥料および燃料ペレット化する会社を、生産者・加工業者・行政による三セクで立ち上げて運営してもビジネスモデルとして成立する可能性もあるのではないかと思っている。ゴミゼロウェイスト運動とともにこのリサイクルビジネスモデルを車の両輪で行えば、十分にゴミ経費コストの削減経費により三セク運営経費がつくれるはずであり、雇用が生まれて地域経済の循環と活性化が生まれるのではないかと淡い期待を抱いているのだが甘い発想だろうか?

3月20日にかがわ国際会議場で開催された瀬戸内国際芸術祭シンポジウムに参加してきた。この主たる目的は現代アートというジャンルで地域づくりを行って、地域再生を行っていこうという発想をさぐるためである。以前、金沢21世紀美術館の館長がかかれた書籍を紹介したが、「文化が経済をつくる」という、新たな地域像、世界観が生まれないかと考えている志向に興味をもっていた。


そんな中で、金沢21世紀美術館とともに芸術によるまちづくりで有名な直島のベネッセアートと香川県とが組んで、島おこしに現代アートをつかうというプロジェクトを立ち上げて来年の7月から3ヶ月間ほどさまざまなイベントを行うと言うことで、この日はそのプロジェクトの概要がわかるそうであるので、「讃岐うどん」を食べるのを兼ねて参加してきた。



井の中の蛙、大海を知りたい!-瀬戸内国際芸術祭


シンポジウムを聞いてみてわかったことだが、これは新潟県の越後妻有で行われている「大地の芸術祭」を、瀬戸内海の島で行おうという発想であるようだ。「瀬戸内海から世界を変えること」を目指すこのプロジェクトは、民俗学の巨星である宮本常一氏や日本史学の巨星である網野善彦氏が生きていればきっと喜んだに違いないだろう。最初は香川県付近だがもっと瀬戸内海の島にどんどん広げていこうと取り組みにしていきたいそうだ。


シンポジウムには、愛媛県宇和島市在住のアーティスト大竹伸朗氏も参加されており、こういうまちづくりに対して大竹氏は興味がなくて作品づくりに没頭されているのかと思っていたが、意外にも(失礼)、大竹氏の話には自分の作品づくりを通して町づくりに協力するというプロフェッシャルさが伝わってくる発言が多かった。


また、勉強になったのは直島のベネッセアートミュージアムを運営している福武財団の福武総一郎理事長の話がとてもおもしろく、ある意味に置いて挑戦的なプロジェクトであることが伺えた。「芸術文化で町の再興したところはあるが、過疎の村が芸術文化で再生したところはないのが、瀬戸内はきっとそのモデルとなる」とは氏のプロジェクトに対する意気込みの言葉であり、経済ベースの現代社会に対する警鐘と、地域づくりへの可能性をとなえ、個人主義の究極であるアメリカ発の同時世界恐慌はある意味において、個人資本主義、経済が文化をつくる時代が誤りだったこと、経済は文化の下僕なのだというをあらためて証明したことを述べられていた。


そして、その後のシンポジウムのさまざまな議論の中で参考になるべき意見があった。


・一人ひとりが幸せになっても幸せになれない。人はいい地域にいないと幸せになれない。

・いい地域とは人生の達人であるお年寄りの良い笑顔がある地域である。

・これまでの社会は若者向けの社会であり(その象徴が東京=興奮、刺激、競争しかない)、これからの社会はお年寄りがいい笑顔の町にすることだ。


次に、現代アートというものをどのように地域の人たちと作り上げていくのかということについて議論もあり、現代アートという、日本人にとって一般的にわかりにくいものをどう克服するかという懸念に対しても、アーティストの側から真正面から挑む姿勢が伺えた。


・芸術家が大上段にかまえて作品をつくるのではない

・地域を訪れて地域の人たちとつくる

・里山や島に入って創作活動をしたいという若者を一緒につれていくことにより、新しい地域づくりへの風をおこしたい

・自分のやりたいことをやってそれでなおかつ人から愛されるものを目指す


つまり、創作活動そのもの(島のさまざまな場所に現代アートを展示していく取り組み)が、交流人口の増大につながる新たな地域づくりへの胎動であり、イベントをつくりあげていく行程を重要視していることがわかる。また、単に現代アートのみをするのではなく、このイベントでは「島×生活×現代アート」ということで、島の生活文化を踏まえたプロジェクトも同時に実施し、現代アートだけではないものになっていること、「あるものを残し、ないものを創る」ことが最大の特徴である。


そして、なぜ「瀬戸内海の島」でやるのかという議論についても、大地の芸術祭はひとつの博覧会を一箇所に集めて展示するのではなく、効率への挑戦であり、同じくこのプロジェクトも同様にわざわざ島巡りをしてまわらないとわからないようにしていることに意義があり、そこにドラマが生まれることがある。そして四国には88箇所霊場という、非効率の頂点にあるようなものが歴史文化として根付いていることからということも背景にあるという指摘がなされた。


その他、展示作品のひとつに、島の銭湯を大竹伸朗さんがつくるということで、なぜ銭湯だったのかという議論がおもしろく、福武氏の発言がたいへん勉強になったので紹介しておこう。


・島には高齢者が多く、お風呂の支度をするのが大変。

・島のコミュニティの場として機能ができるのではないか。

・銭湯といえば裸であるから、ある意味エロ的な要素もある。エロさは生命力の源でもある(笑)

・ただ、銭湯をつくるだけなら大竹さんに依頼したりしない。ただの銭湯なら利用者は住民のみであるが、大竹伸朗がつくった世界にここにしかない銭湯であれば、外からの交流が生まれる。コミュニティ+現代アートという構図にして交流人口の増大を意識している。

・銭湯に入ったあとに一杯ひっかけたいという人もおるはずで、すでに銭湯の開設予定地の横に民間の居酒屋ができており、まちづくりへの胎動が生まれている。


単に思いつきで大竹氏に頼んだという氏の指摘であったが、とんでもない。その裏にはしたたかなまちづくりへの戦略が息づいていることが伺えた。


【おまけ】

参考までにシンポジウムの中で、現代アートの作品の味わい方も紹介してもらったので、現代アートに興味のない方、このように鑑賞してみるとよいだろう(‐^▽^‐)


・現代アートは能書きがなく、見る者が感じるものであり、答えは自分自身にある

・私には世界がこのように見えるが、あなたはどう思うか?ということだ。

高松市の丸亀町商店街を視察する機会があった。丸亀町商店街とは高松市の中心市街地にある商店街で、まちおこしの関係では中心市街地再開発と商店街活性化の両方で成功したといわれているところだ。丸亀町商店街の特徴は、商店街の「所有と経営の分離」を行えたことであろう。つまり、所有者は経営企業体に貸し出し、いわゆる大家となって賃料を支払うこととし、経営企業体は魅力的なテナントを入れることを通して賑わいを創出することにしている。



井の中の蛙、大海を知りたい!-丸亀町


商店街の場合、経営者の店舗と住居が同一場所に立地しているため、店舗の経営が立ちゆかなくなってしまうと、イコールそれはシャッター街となることを意味する。シャッターにしないとそこに住めないからである。そこに問題があって、どこの商店街もシャッター街を解消させることができなかったのであるが、ここの場合は経営ができなくなった所有者には別の地域に住んでもらうなどしてもらい、店舗には新たな経営者を入れて所有者は大家となってもらうことを潤滑にできるようにした仕組みがこの丸亀町商店街の特徴ということだ。


訪問してみてもらってよくわかるが、丸亀町商店街の部分だけは他の商店街とは明らかに異空間となっている。入っているテナントもルイヴィトンやコーチなどのブランドショップのほか、GAPなど香川にないブランドが入店しているなど、百貨店が商店街の中にあるような形態をとっている。



井の中の蛙、大海を知りたい!-丸亀町商店街2

それで衝撃的なのは、上の写真を見て頂けるとわかるが、丸亀町商店街の周辺の商店街では、外観も異なれば品揃えのテナントも出店されていないという事実であり、少し通りが異なるなどの商店街組合が異なれば全く隣のところは何するものぞということで、まったく変化していないということだ。それだけ商店街主の意識の解離があるということであり、商店街の活性化が進まない最大の理由はここにあるだろう。個人の利益を優先して、商店街が町のものであるという視点が欠けているためで、無意識にシャッター街になっても仕方ないと思っているのだ。


私個人としてはそれではおかしいと思う。アーケード街は個人商店主だけがつくりあげたものではない。税金も投入されているのである。いわば商店街は公共物の性格があり、もちろんシャッター街にするということは納税者に対する造反といっても差し支えないはずだ。したがって、町の景観を維持するためにも商店主は経営をあきらめた無能な経営者は、向上心あふれる新しい経営者を迎えるべきであり、そうするように促す施策を行政は考えていくべきだろう。


そこで考えていきたいのは、固定資産税の課税措置である。商店街の商店主は経営している分の固定資産税は安く、シャッター街にして店舗経営しない場合の固定資産税は高く、そして店舗兼住居という形態を転換させるための補助金は低利子で貸し付けるなどの処置をとり、なるべく落ちこぼれた経営者は大家としてリスタートしやすいような仕組みづくりをつくってみてはどうだろうか。

今日、多様化する就職事情を背景に、児童・生徒の進路選択をめぐる環境は大きく変化しています。こうした中、従来行われて来た職業教育・進学指導中心の「進路指導」から範囲を広げ、主体的に、進路を選択決定する能力や勤労観・職業観をはぐくみ、さまざまな課題に対応できる力を培う「キャリア教育」への関心が高まっています。昨年、市内高校生を対象に、宇和島シゴト人バスツアーを地域の企業・社会人の協力のもと実施した「青少年人材育成事業」を継続するにあたり、より一層の学校教育・地域社会の連携を強化するとともに、真の学社協働による地域の子供を育てることを目的に下記の研修会を開催します。

―記―

【名 称】宇和島市キャリア教育研修会
【日 時】平成21年3月23日(月)午後4時~6時
【会 場】宇和島市生涯学習センター(宇和島市堀端町1-25)
      (市立中央公民館3階)
【演 題】 知りたいを形にする
「中学生・高校生の視点から企画・取材・編集する職業ガイドブックづくり事業」
 講師 濱砂 圭子 氏 (はますな けいこ)
        株式会社フラウ 代表取締役社長
NPO法人 男女・子育て環境改善研究所 理事長
福岡市中央区大名2-11-22 URL; http://www.kosodate-npo.jp
【受講料】無料
【定 員】50人程度
【主 催】宇和島市、宇和島市教育委員会
【共 催】南予教育事務所

去る12月に島根県奥出雲町で開催されたフォーラムを聞きにいった。主催は財団法人松下政経塾。このフォーラムは塾生の塔村俊介さんの卒業発表会でもある。塔村さんの決意発表を聞きにいったほか、奥出雲町でがんばっている若手経営者とのパネルディスカッションや政経塾出身の首長も登壇してのパネルディスカッションもあるなど、かなり盛りだくさんの内容だった。特に動員をかけることなく150人もの人がやってきたということだそうであるから、塔村さんの人柄がにじみ出ているフォーラムだったのだろう。


井の中の蛙、大海を知りたい!-奥出雲フォーラム1


井の中の蛙、大海を知りたい!-奥出雲フォーラム2


フォーラムの中ではさまざまな議論が行われたが、若い人たちが立ち上がって地域の未来について何とかしなければならないという意気込みが伝わってきたのと、地域再生のためにはまずは町の主産業である農業を何と化していく必要があり、農業の6次産業化など、飲食産業に対する挑戦と、それに付随したグリーンツーリズムの振興、交流人口の増大などを図りたいという意気込みがあった。


特に参考になるべき情報はあまりなかったが、山口県柳井市長の「食糧自給率の向上も大事だが、エネルギーの自給率向上も目指したい」という発言と、集落再生や地産地消、地域福祉の向上など、政策横断的に実施できる組織がこれからは必要だからということで「地域再生に関する部署」を設置したという発言などはかなり参考になったし、島根県益田市長に対して地元の県立大学の大学生がなかなか厳しい質問を浴びせかけてきたのがおもしろかった。


井の中の蛙、大海を知りたい!-奥出雲フォーラム4


井の中の蛙、大海を知りたい!-奥出雲フォーラム3


このフォーラムのあとに交流会が行われて参加したが、仁井田米というブランド米のおにぎりをいただいたが、これはうまかった。おいしいものがたくさんあったので、これをどう磨きをかけていくのかという課題があるが、塔村さんのこれからの活躍を期待したい。それと、こういう交流会で名刺を交換するとユニークな人に出会えるからおもしろい。特に、「噂の生どら」をつくっておられる松葉屋さんの看板娘である内田咲子さんとお話をさせていただいて、田舎でもアイディア次第で世界に羽ばたける企業にはなれるし、工場なども地元に建設して地元に密着した企業でいたいという、田舎発のグローバル企業、つまりグローカル企業がこれからの地域再生のビジネスモデルになると信じておられるその姿には感銘を受けた。


島根県は中山間地域の再生に関する調査研究とその実践では先進地であり、海士町に代表されるように離島振興でも先進地である。そしてIターンした移住者が活躍している地域でもある。島根県は人口減社会の最先端であるからそれだけ先に進んでいる。全国はいま島根に注目している。この奥出雲町は小さい町だがさまざまな都市圏などにも高速道路で近いという立地条件もあり、「どげんかできる」と塔村さんも分析しているし、若手の経営者でがんばっている人もおられる。奥出雲の未来はきっと明るいだろう。がんばれ、塔村さん。