基幹統計調査、回答を拒むと罰金? | いくつ知ってる?法律トリビア【第一法規】

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こんにちは、第一法規「法律トリビア」ブログ編集担当ですカナヘイピスケ

 

国の統計調査が問題になっていますね。

ニュースを見ていると、

統計調査に関する法律として「統計法」という法律の名前が出てきます。

そこで今回は、この「統計法」についてみてみましょう。

統計は、国の政策を決めるために必要な資料を得るためのもので、

厳正に行われなければなりません。

このことは、統計法の最初にも書かれています。
 

統計法(平成19年法律第53号)
 (目的)
 第1条
  この法律は、公的統計が国民にとって合理的な意思決定を行うための基盤となる重要な情報であることにかんがみ、公的統計の作成及び提供に関し基本となる事項を定めることにより、公的統計の体系的かつ効率的な整備及びその有用性の確保を図り、もって国民経済の健全な発展及び国民生活の向上に寄与することを目的とする。


これを見ると、公的統計は、

国民が合理的な意思決定を行うための基盤となるものだとされています。

そして、経済の発展と生活の向上のために、公的統計を整備し、

有用な統計になるようにするための方策を定めるものだとされています。

最近の統計に関するニュースでは、「基幹統計」という言葉を耳にしますね。

この基幹統計というのはどんなものなのでしょうか。

統計法には、以下のように書かれています。
 

統計法
 第2条
  4 この法律において「基幹統計」とは、次の各号のいずれかに該当する統計をいう。
  一 ・・・国勢統計
  二 ・・・国民経済計算
  三 行政機関が作成し、又は作成すべき統計であって、次のいずれかに該当するものとして総務大臣が指定するもの
  イ 全国的な政策を企画立案し、又はこれを実施する上において特に重要な統計
  ロ 民間における意思決定又は研究活動のために広く利用されると見込まれる統計


これによると、皆さんご存知の国勢調査によって作成される「国勢統計」、

GDPも含まれる「国民経済計算」、が挙げられています。

そのほか、政策を立て、実行するために重要な統計を総務大臣が指定する統計も、

基幹統計に含まれます。


この基幹統計の厳正さを担保するため、統計法にはいろいろな決まりが定められています。

まず、調査を行おうとするときは、

調査の目的や、調査対象の範囲、誰に、何について、どのような方法で報告を求めるか

といったことを示して、総務大臣に申請して承認を得なければなりません。

また、調査を変更しようとするときも、総務大臣の承認が必要です。
 

統計法
 (基幹統計調査の承認)
 第9条第1項
  行政機関の長は、基幹統計調査を行おうとするときは、あらかじめ、総務大臣の承認を受けなければならない。
 第2項
  前項の承認を受けようとする行政機関の長は、次に掲げる事項を記載した申請書を総務大臣に提出しなければならない。
  一 調査の名称及び目的
  二 調査対象の範囲
  三 報告を求める事項及びその基準となる期日又は期間
  四 報告を求める者
  五 報告を求めるために用いる方法
 ・・・

 (基幹統計調査の変更又は中止)
 第11条第1項
  行政機関の長は、第9条第1項の承認を受けた基幹統計調査を変更し、又は中止しようとするときは、あらかじめ、総務大臣の承認を受けなければならない。


統計法には、調査を行う行政機関に対する規制が定められているだけでなく、

調査の対象となる人に対しては、調査を拒否したり、

嘘の回答をしてはいけないと定められています。

そして、これに違反すると、最高で50万円の罰金が科されます。
 

統計法
 (報告義務)
 第13条第1項
  行政機関の長は、・・・基幹統計調査を行う場合には、基幹統計の作成のために必要な事項について、個人又は法人その他の団体に対し報告を求めることができる。
 第2項
  前項の規定により報告を求められた者は、これを拒み、又は虚偽の報告をしてはならない。

 第61条
  次の各号のいずれかに該当する者は、50万円以下の罰金に処する。
  一 第13条の規定に違反して、基幹統計調査の報告を拒み、又は虚偽の報告をした者


このように、基幹統計は、

受ける側にも場合によっては罰則がかかるほど重要なものなのですね。


(この記事は、2019年1月29日時点の法令情報に基づいています)
 

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