作ると処罰される紙? | いくつ知ってる?法律トリビア【第一法規】

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お金を偽造すると、みなさんご存じのとおり、通貨偽造罪として、犯罪になります。

これは刑法で次のように書かれています。
 

刑法(明治40年法律第45号)
 (通貨偽造及び行使等)
 第148条第1項

  行使の目的で、通用する貨幣、紙幣又は銀行券を偽造し、又は変造した者は、無期又は3年以上の懲役に処する。


お金という制度は、みんなの信用の上に成り立っているものですから、

その信用を損なってしまうような行為をしてはいけませんね。

さて、日本の紙幣は、世界でも非常に高い水準の偽造防止技術が使われています。

その一つが「すき」(「すかし」とも言います)ですね。

例えば千円札を透かして見ると、中央には野口英世の顔が見えますし、

紙幣の右端には縦棒が透けて見えます。

これが「すき」です。


○お札に似たすき入りの紙を作らないでね

さて、お札に似た「すき」の入った紙を許可なく作った場合、処罰されることがあります。

これは、「すき入れ紙製造取締法」という法律に定められています。
 

すき入れ紙製造取締法(昭和22年法律第149号)
 〔第1項〕

  黒くすき入れた紙又は政府紙幣、日本銀行券、公債証書、収入印紙その他政府の発行する証券にすき入れてある文字若しくは画紋と同一若しくは類似の形態の文字若しくは画紋を白くすき入れた紙は、政府、独立行政法人国立印刷局又は政府の許可を受けた者以外の者は、これを製造してはならない。
〔第3項〕
  第1項の規定に違反した者は、これを6箇月以下の懲役又は5000円〔※〕以下の罰金に処する。

〔※〕「5000円」の部分は、「罰金等臨時措置法」の規定により、現在は2万円として適用されています。

このように、黒いすきを入れた紙や、紙幣と同じような絵・模様をすき入れた紙は、

政府の許可を受けないと作ることができません。

そして、勝手に作ると、6カ月以下の懲役か、2万円以下の罰金が科されます。


そもそも紙幣に似たほどのすき入れの紙を作るには、高度な技術が必要ですが、

仮にそんな技術を持っていたとしても、勝手に作っちゃダメですよ…!


(この記事は、2019年1月21日時点の法令情報に基づいています)

 

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いかがでしたでしょうか。

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by 第一法規 法律トリビア編集担当