皿に書いても「文書」? | いくつ知ってる?法律トリビア【第一法規】

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こんにちは、第一法規「法律トリビア」ブログ編集担当ですカナヘイピスケ

 

誰かが自分の名前で勝手に借金の契約書を作ってお金を借りてしまうと、

貸した人から自分のところに「金返せ!」と来られてしまい、大変なことになりますね。

そのように、他人の名前で勝手に書類を作った場合は、文書偽造罪という犯罪になります。
 

刑法(明治40年法律第45号)
 (私文書偽造等)
 第159条第1項
  行使の目的で、他人の印章若しくは署名を使用して権利、義務若しくは事実証明に関する文書…を偽造し…た者は、3月以上5年以下の懲役に処する。


さて、この文書偽造罪ですが、「文書」という言葉をみると、

紙に書かれた書類が対象になるように思えます。

しかし、紙に限られるわけでもないのです。

かつて裁判で、文書偽造罪の「文書」にあたるとされた物を見てみましょう。

明治時代の事件ですが、他人の名前で、入札用の陶器の皿に入札額を書いて提出した人が、

文書偽造罪に問われた事件がありました。

このとき、広島控訴院(広島高等裁判所の前身)は、これは文書ではないと判断しました。

これに対して、上告審である大審院(最高裁判所の前身)は、明治43年、

これは「文書」であると判決しました。

その判決では、
 

「文書トハ文字若クハ之レニ代ル可キ符号ヲ用ヒ永続スヘキ状態ニ於テ或物体ノ上ニ記載シタル意思表示ヲ云フ」


と述べ、

 

文書とは文字などを使い、永続する状態で、物体の上に記載した意思表示のことをいう

としています。

そして、
 

「法律上其物体ノ種類ニ制限ナキヲ以テ……入札用ノ陶器ニ記載ヲ為シ……タル以上文書偽造罪ヲ構成スヘキコト勿論」


と述べ、どんな物に書くかは制限されておらず、入札用の陶器に書いた以上、文

書偽造罪にあたるとしています。

ということで、陶器に書いても「文書」なのですね。

それからもう一つ驚いたのですが、昔は入札するときに陶器が使われていたのですね!


(この記事は、2019年1月21日時点の法令情報に基づいています)

 

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いかがでしたでしょうか。

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by 第一法規 法律トリビア編集担当