実は未だに観に行っていないのだが、予告とSNS上に流れていたパンフレット情報を元にあれこれと考察してみた。
本考察に辺りメモとして書き連ねたものを文章にしているので内容が前後するし、整合性が取れていない箇所も存在するが、その点は了承願いたい。
本考察は分かりやすく書いたつもりだが、冨野御大が関わったガンダムと古典SF(表題は記してある)を知らないと分かりづらいので覚悟して欲しい。
誤字脱字は脳内補完で。分からない単語はggrksで。
前提として「The Origin」発表以降、サンライズは「1stのリメイクは行なわないと言明している」が、つまるところ「似たようなものは作る」という可能性を持たせた。
スタジオカラーとサンライズのどちらが提案を出したのか分からないが「ガンダムやってみます?」というサンライズの提案に思い切り乗っかり、結果的には1stの冒頭がBeginningによって再現されたのだから「やってくれたな庵野」と言われるのはご尤もw
プロットを見たサンライズも驚いたのは間違いないと思うがGOサインを出した英断には感謝せねばならないだろう。
何より「黒歴史」という設定を構築した冨野御大は本当に素晴らしい作家だと改めて感心している。
そんな冨野御大原作脚本の流れを組む久しぶりの宇宙世紀シリーズ。
それもジオンが勝利した仮想戦記モノだというから話題性もあろうというものなのだが、この流れはSFにありがちな設定。
悲しいことに「仮想戦記」の「仮想」をバーチャル Virtual と認識している輩共があまりにも多くて「こいつら大丈夫か?SFを分かってんのか?」と思ってしまった。
監督が「パラレル」では無く「仮想戦記」と語っている以上、監督の言う「仮想」と言うのは イマジナリー Imaginary であってバーチャルではないことをその足りない頭にしっかりと記憶して欲しい。
冨野御大の機動戦士ガンダムは「宇宙の戦士」を原案に書かれているのは有名な話でガノタなら誰しもが知っているはず。そして「デューン」の クイサッツ・ハデラッハ からニュータイプを着想。
有名どころの小説から得るものは大きいのです。
で、ジオン勝利の仮想戦記と知ってSF好きならここでピンと来るわけですよ。
「これは高い城の男だ!」と。つまり、劇中劇
より深く考察すると劇中劇中劇となってしまうのだがw
これさえ分かればGQuuuuuuXの物語の結末は分からずとも物語の大まかな流れが分かってしまうのですよ。
他作品を原案とした可能性もあるだろうが、条件を満たす古典SFは「高い城の男」だけなので、このまま考察を続けて行くことにする。
さてさて、大きなヒントを元に考察に入るその前に注意喚起を。
当方にとっての宇宙世紀の正史というのは冨野御大原作及び脚本作品であって、それ以外の脚本で本線に全く関わらない宇宙世紀サイドストーリーと銘打っている作品以外はパラレル作品として認識しているし、ゲーム媒体も同様である。
よって、昨今、宇宙世紀本線のように振舞っている原作クラッシャー福井晴敏脚本の「機動戦士ガンダムUC」「機動戦士ガンダムNT」は当方にとってはパラレルで作品あるし、特に1stガンダムを愛して止まない諸兄も当方と同じ思いであろう。
福井脚本はニュータイプに対する認識が冨野御大が掲げるものと大きく懸け離れ異なっており、アクシズ落としで見せた「サイコフレームの危険性」を未だ物語の中核に置き前面に押し出し本線には全く関係の無い話だからである(だからこそ、Vガンダム以降の作品にはサイコフレームの類が存在しない描写となっている)また、「逆襲のシャア」に於いてアムロ・レイのパーソナルエンブレムがユニコーンであることを見せているのに、福井はこれを知らないままUCを書いたというのだから驚くしかないし呆れる。
以降、冨野御大が直接関わったガンダムの歴史を表正史、GQX側の歴史を裏正史と記す。
映画を観ていない当方が得ている情報としては
・シャアが鹵獲した裏正史ガンダムは表正史ガンダムと諸元が全く同じである
・裏正史でシャアが鹵獲しサイコミュ搭載モデルとして改造されたガンダムはアルファガンダムと呼称されている
・主人公アマテが乗ったGQuuuuuuXはオメガガンダムと呼称されている
・裏正史連邦によるグラナダへのソロモン落下作戦時、シャアが落下を阻止したが、その肉体は裏正史世界から消えてしまったこと
・シャリア・ブルがニュータイプとしてシャアの片腕となってなっていること(これは小説版の設定だから知ってる)
・シャアの肉体が消えた際に「オブジェクト」と呼ばれる物体が消えてしまったこと
・主人公の傍にハロが居ること ← これがとても重要(後述)
そして、GQuuuuuuX という単語について語れば…
Gはガンダム
QuX は変数であり 4 を示し、uが追加される毎に5、6,7と増加し u が6つなのでQuuuuuuX は 9 を示す。
GQuuuuuuX は9番目のガンダムを示すだけであって9号機ではないと断言する。
QuX と GQuX と GQuuuuuuX について
QuXが4を示している事で最初に思い出したのはシャアの名前の数
キャスバル・レム・ダイクン
エドワウ・マス
シャア・アズナブル
クワトロ・バジーナ
GQuX と置き換えるとガンダム第4作品目である「逆襲のシャア」が該当し、アムロとシャアが肉体を消失し思念体となった物語である。
物語に関係するか分からないが、4 を「死」と置き換えることも出来る。
但し、ニュータイプには死という概念が存在しないので関係ないかも。
次にGQuuuuuuXについて
QuuuuuuXが9である事は先に示したが、この9と言う数字が持つ意味が深い。
まず、冨野御大の原作脚本による映像作品と登場したガンダム及び裏正史のガンダムとの関係を列挙すると以下のようになる
機動戦士ガンダム(TV、映画) ガンダム 裏正史の鹵獲時と同等の諸元
機動戦士Zガンダム(TV、映画) ガンダムMKII Zガンダム
機動戦士ガンダムZZ ガンダムZZ
機動戦士ガンダム逆襲のシャア ニューガンダム 裏正史のアルファガンダム(後述)
機動戦士Vガンダム Vガンダム V2ガンダム
機動戦士ガンダムF91 F91
ターンAガンダム ターンA 裏正史のオメガガンダムGQuuuuuuX(次エントリー)
Gのレコンギスタ ガンダムという名のMSは出て来ない
なお、機動戦士ガンダム閃光のハサウェイは全3部作であり第1部公開後、第2部の進捗や公開日告知が未だされておらず映像作品としての完結が見込めない、また、原作小説は冨野御大であるが、映像化に際しては冨野御大が一切関わっていないので除外している。元来、小説刊行発売前の表題が「閃光のハサウェイ」だけであり「機動戦士ガンダム」は付いていなかったことを当方は記憶しているし、冨野御大も「ガンダムを登場させる気は無かった」とアニメ雑誌のインタビュー記事の類で見たことがあるので映像化は意に添わず嫌気が差したのかも知れない。
・GQuuuuuuX は冨野脚本の流れを含むガンダムの9作目であると共に、
冨野脚本の宇宙世紀で登場した過去8機のガンダムを含め9機目、ジオンが開発しガンダムの名を冠した初めて新型であることから、所謂、新ガンダム シン・ガンダム(次エントリーで後述)と捉えられる。
・6つの u は冨野脚本による1stからF91までの6つの宇宙世紀 Universal Century シリーズの総数と同じである
と、いずれも偶然にして出来すぎな数字合わせであるが因果を感じざるを得ない
考察動画とやらを見ても数字に関するものはQuXばかりで「GQuuuuuuXは9号機だから開発段階の8機は出て来るはずだ」と…いやそれは考察じゃ無くて願望だろ。
さて、何故、表正史の1stガンダムと鹵獲したガンダムが同じものであるかを語る前に表題である GQuuuuuuXの世界とは何か?を語りたい。
冒頭に記したようにGQuuuuuuXの世界は「高い城の男」がベースとなっていて「表正史の誰か或いは宇宙世紀全体を知る誰かによって書かれた仮想戦記である」と言う事。
(表正史と裏正史の物語が表裏一体で入れ子になっているので、この辺りの考察は次エントリーで後述)
劇場で、Beginningが終わってGQuuuuuuX世界の物語が始まり、視聴者がその中で目にしたのは何か?
「水星の魔女」で繰り広げられたものと似通ったMS同士の戦闘(決闘)
この時点で伏線が張られていることに気が付いた御仁は居たのだろうか?
何故水星の魔女と似たような展開を見せられているんだ?と疑問に思わなければならないのに「モビルスーツの動きかっけぇ」という方向に引っ張られてしまっているのだろうし、事実、SNS上での反応の大半もそうだったw
つまり、裏正史を描き(書き)上げた何者かが、裏正史支線上においては冨野御大の関わらなかったガンダム作品のオマージュを見せ、裏正史本線上では冨野御大が関わったガンダムが重要な要素を見せることで関わってくると思われる。Beginningで見せた全てが本線に該当する。
支線と本線で絵柄が異なるのは視聴者に分かりやすく見せるためだが、表正史で活躍出来ずあっさりと退場してしまった人類最初のニュータイプであるシャリア・ブルがイケオジで裏正史に登場したのは「小説版というもう一つの正史」で活躍していたためであろうと考える。
この考察で「裏正史を描き(書き)上げた何者か」には2つの可能性が見出せるのだが、これも次エントリーで後述する。
次に
消失したオブジェクトとは何か?
「シャロンの薔薇」とは何か?
恐らくは表正史で書かれたシャアが関わった伝記のようなもので裏正史には書物やビデオで存在しているかも知れないし、ガンダムにおけるマスコットキャラクタでありターンAを除くシリーズに出演し続けた「ハロ」が記録していたデータそのものが裏正史のハロに転送され流出したのかも知れない。
結論から言ってしまえば記された情報は表正史のシャアの叛乱(逆襲のシャア)までのあらゆる記録と思って構わない。
更に付け加えれば黒歴史ガンダムの大半に登場していた「ハロ」そのものである可能性が高い。
主人公の近くに居たハロは学習型コンピュータを積んでおり簡単な会話も出来るが、何より情報の記録量を踏まえれば各作品の重要な情報を記録していても何らの不思議は無い。
例えば、表正史のジオン公国でもハロは発売されていて、その中にシャアの活躍を記録保存した購入者が居たのかも知れない。
そのうちの裏正史ジオン側に現れたファイル名が例えば…
シャアのロンド 荊棘の道
Char's Rondo -Rose Road-
であったとする。
(いばらの道は thorny path だが、単なる「とげばかりの道」だけではなく後世を含む様々な人々に影響を与え、咲き誇り散っていった人生を踏まえた上での表題であり、英題で韻を踏むのであればこれが適切かと思う)
この記録を持ったハロが裏正史に現出した際に一部データが消えてしまい、唯一解読可能であった文字が Cha Ron Rose (カロン(シャロン)の薔薇)だったのかも知れない。
(元ネタ:スタートレックTOS第37話が本線で、再構成版は映画スタートレック1979 に登場した探査機 Voyager6 (V'ger) )
Rondoは円舞曲。輪になって踊る事から円環を指し示し、本物語の流れに合致すると思っている。
シャアの生い立ちから行方不明になるまでの詳細、ニュータイプが存在するに至った経緯やサイコミュの詳細さえ書かれていると思われる。
故にジオンが勝利する術(絶対に行なってはならない事)を心得ており、シャアがガンダムを容易に鹵獲できたのも命令を出したキシリアが消失したオブジェクトの内容を知っていたおかげでもある。
「シャロンの薔薇」を宗教的に素直に受け止めるのであれば、聖書に於ける「シャロンの花」或いは「シャロンの薔薇」は純潔を示すものであることからオブジェクトに記載された「刻を駆ける処女のニュータイプ」とも考えられる。
他に、スタインベックの有名な小説「怒りの葡萄」では「ローザシャーン(ローズ・オブ・シャロン シャロンの薔薇)」という名の18歳の妊娠している女性が登場するのだがガンダム世界には関係無いだろう。
裏正史のジオン側だけではなく連邦側にも現出している可能性は大いにあって、物語のキーパーソンの近くに現出した可能性は高い。
連邦側に現出したのは アムロ・レイ -地球を救った英雄- というファイル名かも知れない。
アクシズショックまでの概略とアクシズショック時の戦闘詳細が書かれていれば、アルテイシアが当初から軍属になった理由もハッキリする上に、連邦軍はアムロを必死に探している可能性は高い。
「高い城の男」のように表正史世界の情報がコピーされ裏正史世界に出回っているとしたらアマテ他の登場人物もそうした記録を流し読み程度でも見ている可能性もあり、その中にガンダムに関する情報(操縦方法や武装)が含まれている可能性も高いので、ポメラニアンズがそうした類を得ているのかも知れない。
よって「オブジェクト」がハロで「シャロンの薔薇」がその情報・記録、刻を超えた処女のニュータイプ という可能性は大いに有り得る。
さて、表正史の1stガンダムと鹵獲したガンダムが同じものである という話しだが…
まず最初に、1stのガンダムは現存していないことを念頭に置いて欲しい。
分かっているのは
・諸元
・実際にガンダムを見た人の証言
・目撃者による細部不明のイラスト
だっととしよう。
この条件だけで表正史の1stガンダムと全く同じものを描けるか?という問題が生ずる。全く知らないモノを描くとなったら無理であろうから諸元や証言、目撃者のつたないイラストから思いを巡らし描き上げるしか術は無い。
(表正史と裏正史は歴史の流れは違えど表裏一体なので両正史に同じものが存在するのは間違いないし、現にジオンの階級章やシャアの制服は同じである)
裏正史の意匠は我々視聴者から見れば「リファイン」されたものとなってしまうが、作中にあっては「リファイン」されたものなのではなく記憶や記録から推察して描かれた「そのもの」であるということ。
全く同じ意匠では無いが似たようなものを描いた結果が裏正史の1stガンダムであると言う事。
これをシャアが鹵獲しジオンに持ち帰り無線型サイコミュ搭載型として改造された機体がアルファガンダム。
裏正史1年戦争開始前からオブジェクトの記録を元にモビルスーツやサイコミュを開発したのは間違いないだろう。サイコミュは程度の小型化は成功したが感応波の送信が微弱であった為にビット側にサイコミュアンプを搭載した結果、全長8メートルというサイズとなり感応波の受信感度を上げたのであろうと推測。
アルファガンダム諸元はニューガンダムと細かい部分で異なるがほぼ同等。シャアが搭乗した際のビット数は6機であったが、これは表正史ニューガンダムのファンネル数と同じであり、ソロモン落下の際に全てのサイコミュを用いてガンダムを包み込むようにIフィールドを全解放で展開発生させ、ソロモンに穴が開くほどのサイコミュのオーバーロードを招き肉体を消失したものと思っている。
これは表正史でアムロとシャアが肉体を消失したアクシズショックと同じである。
しかしながら「シャアの思念体そのもの」或いは「思念体のコピー」がサイコミュに焼き付いてしまったために、その状態を何とかして欲しいとシュウジの元に現出したと思われる。
サイコミュに焼き付いた思念がコピーであるならば、思念体本体は表正史で同じ思いをして肉体を消失し刻を超えたアムロによって引き上げられているであろうが、そのものが焼き付いたとなると引き上げるための拠り所が必要となり、その拠り所がシュウジの可能性もある。
と言う事から本作は「シャア思念体のサルベージ(エヴァの設定)」も本線題材の1つであろう。
次のエントリーではアルファガンダムとオメガガンダムの関係性並びにターンAと裏正史の関係性についての考察を語ろうと思う。