アラフィフからのパリ生活  -5ページ目

アラフィフからのパリ生活 

何かのご縁で現在はパリ在住。フランス での日々のこと、感じたことを綴っていきたいと思います。

 

 

このところ気温がかなり低くなっているパリ。

ちなみに最高気温が7~8度、最低気温が3~4度という感じです。

 

私の意見ですが...冬のパリは、残念ながらあまり快適とは言えません。

 

気温が低いのは仕方がないけれど、グレーの空や小雨が降る日が比較的多いのです。

東京の冬の澄みきった青空や、キーンと冷たく乾いた空気がとても恋しく、パリの湿気の多い寒さが骨身に染みる感じは、グレーの空と相まって物悲しい感じがしてしまいます。

 

 

ただ、「あるもの」のおかげで、パリで過ごす冬は東京よりも数倍も快適に感じられるものがあります。

それは、ほとんどのアパートにある、「セントラルヒーティング」、いわゆる集中暖房のシステム!

 

 

大体のパリのアパートには、ありがたいことにこの暖房がついています。

各世帯、各部屋に熱湯が巡回するヒーターがついていて、それが24時間稼働しているのです。

だから、1日の中で暖房をつけたり切ったりすることはなく、基本的につけっぱなしなので、常に室温は一定の温度に保たれているわけです。

 

 

 

 

日本の冬で一番憂鬱だったのは、家の中が本当に寒いということでした。

 

湿気の多い夏のために造られている構造上の問題もあるし、壁が薄かったりしてとにかく外気の冷たさが家の中にも容赦無く入ってくる日本の建物。

特にそれを感じるのは、キッチンやお風呂場!

換気のために窓がついているから常に寒いのです。

 

 

日本では、だいたい寝る時に暖房を切り、朝起きた時にまたつけるので、夜の間にすっかり冷え切った室内で朝目覚めた時、布団から出るのは勇気がいったな〜と思い出します。

暖房のないお風呂場や使っていない部屋などで、吐く息が白いということも普通だし...。

 

 

フランスでは環境保護と節約のため、大方の家の窓は二重になっています。

2枚のガラスの間に1cmほどの空気の層を作ってあるおかげで、熱が伝わりにくく結露も全く生じないのです!

 

アパートのセントラルヒーティングは、大元のボイラーが建物に設置されていて、気温がだいぶ下がってくる10月半ばから11月にかけて稼働し始めます。

大元ででしか操作できないので、例えば日が全く当たらない家の住人や冷え性の人が、もっと早く暖房をつけたいと思ってもできないのが、セントラルヒーティングの短所かもしれません。

 

温度は大元のボイラーで決められるので、各家庭で室内の温度が暑いと感じたら、部屋の暖房器についている元栓のようなものを閉めてお湯が巡回するのを止めるか、または少し閉めて巡回するお湯の量を減らして暑さを弱めるという操作になります。

 

これにかかる費用は、自分のアパートの面積に応じて、各住戸の頭数で割ったものから請求されるシステム。

例えば長期間そこに住んでいなくても、また自分は暖房を切っているという場合でも、毎月かかる費用はしっかりと請求される...というのが不公平といえば不公平かもしれません。

 

 

 

 

 

とかくグレーの寒々しい空と、服の隙間から入り込む湿気のある寒さがつらいパリの冬。

 

東京のように、太陽の光や青空があまり望めないから、せめて家の中は、どこも温かく快適に過ごせることは本当にありがたいとつくづく感じます。

 

以前ご紹介した、私といっしょに暮らしているねこのマーニー。

5歳のパリジェンヌです。

 

 

 

 

マーニーの世界は、家の中と、バルコニー。

 

 

お庭などで自由に遊べるねことは違い、我が家のねこが触れる外の世界は限られていて、バルコニーと、そこから見える景色だけ。

朝起きると、「窓を開けて外に出して」とせがまれ、バルコニーから飛んでいる鳥や、階下の屋根に止まっている鳩なんかをずっと飽きずに見ています。

 

 

特に、ベランダに時々やってくる鳩は、マーニーにとっては一番のエンターテイメント!

 

 

鳩が大好きすぎて(...というより、狩猟本能が全開になるようです)、「ハト」という日本語を覚えてしまうほど!

鳩が来ると大興奮するマーニーは、「ハト!」と私が言うと、別の部屋にいても、昼寝をしていても飛んできて、鳩を探すようになりました。

 

 

そして、季節限定だけれど、夏に窓を開けている時に入り込んでくるハエも大好き。

 

 

ハエを捕まえて食べるのがお気に入りなので、同じように「マーニー、ハエ!」と呼ぶと、部屋の空間をキョロキョロと見つめてハエを探し出し、部屋中を追いかけた挙句捕まえるマーニー。

 

 

部屋の中から、バルコニーにやって来た鳩を狙うマーニー。 ワイルドなパリジェンヌ!

 

 

「ハト」とか「ハエ」などの単語を覚えたのは、マーニーの学習のたまものでしょう。

この大好きな二つの言葉は、マーニーにとってエキサイティングな遊びに直結しているのですから、当然と言えば当然なのですが...。

 

 

ちなみにフランス人が私のマネをして、マーニーにこの単語を言っても、彼らの言語では「h」の発音は無音になってしまうため、マーニーには残念ながら通じません。

 hatoが「アト」とhaeが「アエ」になってしまい、そう言われたマーニーも理解できずにキョトンとしていて、毎回笑ってしまうのです。

 

 

最近マーニーが興味を持ち出したのが、Youtubeにある「ねこのための映像」という、お庭に飛んできた小鳥やネズミが、ただただエサを食べる姿を映したビデオです。

 

 

これは、私がYoutubeなどで動画を見ていた時、たまたま興味半分でこのビデオを見せたところかなり真剣に見ていたのがきっかけでした。

私がパソコンで何かをしていると、膝に乗って一緒に画面を見つめるマーニー。

動画じゃなくても、カーソルや画面が動くのが面白いのかもしれません。

 

 

 

 

 

 

 

ちいさい子どもと同じで、ついついねこも画面に近いから目が悪くなるんじゃないかと心配してしまう私。

 

 

もちろん私もやることがあるので、そう頻繁にマーニーに鳥の動画を見せてあげるわけではないけれど...。

ご褒美程度にマーニーの好きそうな小鳥の映像をつけてあげると、じーっと食い入るようにすごい集中力で見ています。

「もうこれでおしまいね」と動画をストップすると、したからつぶらな黒い瞳で悲しそうに私を見上げるので、私もなかなかつらいところです。

(ひょっとして考えすぎ???)

 

 

たまに椅子の上にマーニーを残し、動画をそのままつけたままで席を外しても、彼女は椅子にちょこんと座り、ずっと小鳥が餌をついばんだり、飛び立ったりする動画を大人しく見ています。

まるで、ちいさい子供が大好きなアニメを集中して見ているようで、何ともいじらしい姿なので、キュンとしてしまいます。

(かなりの親バカでしょうか???)

 

 

ベランダに面した窓の前にずっと座って、外に出して欲しいと訴えたり、遠慮がちに私が座る椅子に前足をかけて立ち上がり、「膝の上に乗ってもいい?」と私の腿をちょんと手で軽く叩いたり…。

 

マーニーはとにかく慎ましいパリジェンヌなのです。

(はい、親バカを自覚しています...!)

 

コロナ感染者数が比較的抑えられていて、どうやらワクチン接種率が上がったおかげか...と思われていた矢先。

秋になって感染者数が急激に増え、「コロナ第5波」がやって来たのかも...とニュースでも頻繁に報道されるようになっていました。

 

 

そして、いきなりの保健省からの報道で、この第5波を抑えるべく、ワクチンの3回目接種が高齢者以外の成人にも開始されることに...。

まあ、この報道自体は驚かなかったけれど、みんなを焦らせたのは、「3回目を接種しないと、今まで持っていた衛生パスが無効になってしまう」という部分でした。

 

 

 

まあワクチンも2回打っているし、それほど慌てて3回目の予約を入れなくても大丈夫かな〜なんて呑気に構えていた私。

 

 

でもよくよくニュースを聞いていると、2回目接種が6月末だった私は、来年1月中に3回目を接種しておかないと、衛生パスが無効になってしまい色々と生活に支障が出てしまうことになってしまうのです。

またワクチンを拒否していた人も、今まではPCR検査が無料だったけれど、すでにそれが有料になっている現状に加え、今後はその検査結果も24時間以内のものしか通用しないとなると、ワクチン接種について考え直さなくてはいけない状態になって来ているのです。

 

 

日を追うごとにニュースでは、ちょっとパニック気味になった人たちが、ワクチン予約サイトに殺到し、パリ市内ではなかなか予約が取れないと報道されているので、私も焦って来ました。

 

 

 

 

 

 

 

そんな時、友人のMと会った時、彼女が「明日、3回目のワクチンを打ってくるの」と言うではありませんか!

 

 

すかさず、「サイトで予約が取りづらいって聞いてるけど、どうやって予約できたの?!」と聞くと、なんと近所の薬局で打ってもらうというのです!

 

 

そんなわけで、私も翌日まずは家から一番近い薬局へ。

薬局の人に聞いてみると、あまりにもあっけなく「いつワクチンを打ちたいですか? ちなみに今日の午後3時なら予約できますよ」という返事!

まさかその日に予約が取れるとは全く想像していなかったので、逆に驚いてしまいました。

残念ながらその日の午後は無理だったので、その次に提案された1週間後のまさに今日、予約を入れてもらったのです。

 

 

 

そして、今日...。

薬局へ行き、名前と保険証を提出。

お店の奥の部屋に、にわか注射スペースが作られていて、そこに座って注射を打ってもらいおしまい!

なんともあっという間で、1回と2回目に区役所で打ってもらった時よりも、いとも簡単に接種完了となりました。

 

 

 

 

岩を覆うツタの葉も、真っ赤に紅葉していてキレイ!

 

 

 

1回目と2回目も、腕のひどい筋肉痛のような鈍痛が1〜2日続いたことと、接種した当日は眠くなってしまったことくらいで、特にひどい副反応も幸いなく、今回も半日近く経ったけれど、前回と同じような反応のみでほっとしています。

 

 

いずれにしても、望む人にはこうやって迅速にワクチンを打ってもらえるフランスのコロナ対策は、評価すべきだと思います。

ワクチンの是非、そして危険性への懸念など、いろいろな意見はあるのは当然です。

 

 

でも...

 

 

フランスという国は特に大陸に位置するわけで、人の流れは陸路からもひっきりなしにあり、2019年から何回かコロナ対策としてロックダウンや、レストランなどが閉業を余儀なくされたことを考えると、今日現在の自衛策としては、ワクチンを打ち、引き続きマスク着用や人混みを避けるなどするしかないのではないかと思うのです。

 

 

私もパリという都会に住んでいて、メトロでの移動や公共機関への出入りや、レストラン、大好きな映画を見に行くという日常生活を続けるためには、ワクチン接種は必須です。

 

 

もうすぐ冬休みと、クリスマスがやってきます。

必ずと言っていいほど、休暇明けに感染者数が急増し、医療機関が逼迫する...ということを繰り返して来たので、今回の早めの政府の対策が功を奏することを祈ります。

 

 

 

 

パリの街は、ご存知の通り、歴史的な建物やきちんと整備された街並みが本当に美しいです。

 

 

大きな建物に気を取られて、つい見過ごしてしまいがちなのが、パリで活躍するストリートアーティストの作品かもしれません。

彼らはもちろん市や建物の所有者の許可をとっているわけでもないし、法律的に見ればれっきとした違法行為...。

 

 

また私個人的にはあまり好きではないのですが、スプレー缶で大きな壁や店のシャッターなんかに文字を殴り書きしたようなものを多く見かけるけれど、これもストリートアートと呼ぶのか…という議論にも発展するでしょう。

 

 

ただその中で、私が好きなのが、Invader(インベーダー)と呼ばれるアーティストのモザイクで作られた「Space Invader(スペースインベーダー)」と呼ばれるポップな作品です。

 

 

 

パリを歩いていて、偶然モザイクで作られたそれほど大きくない作品を発見すると、なんだか得したような気持ちになるのです。

そう、思いがけず宝探しの宝を偶然見つけたような...!

 

 

 

 

 

大体、地面から3〜4メートルくらいの高さのところの壁に貼られていて、昔はやったスペースインベーダーがいろいろな色のモザイクで表現されています。

 

 

 

ただしインベーダーだけではなく、スターウォーズのキャラクターや、レゴの人形のようなキャラクター、ナポレオン、不思議の国のアリスやピンクパンサーまであるのが楽しいのです!

 

 

 

 

 

 

 

 

パリ市内だけでも、なんと1452の作品があるんだそう(今も増殖中!)。

またパリだけでなく、フランスのあちこちの都市にはもちろんのこと、日本を含めたそのほかの国の79の街にもこうしたスペースインベーダーの作品を見る事ができるらしいです。

 

 

この作者の正体や顔は実は分かっていないし、ご本人も公表されていません。

もちろん公の場所に現れたこともないらしいし...。

ネットで調べたところによると、1969年生まれのフランス人男性。

芸術学校で学んだ経歴をお持ちらしい。

 

 

1996年に初めて、パリのバスティーユ広場近くに作品を表したのが始まりで、それ以降、ストリートが彼のアートを展示する舞台になったようです。。

 

 

 

彼がなぜストリートにこだわるのかというと...

「自分の作品を見に行く事ができる人が限られる美術館に展示されるより、万人が見る事ができるストリートに自分の作品を置きたい」という思いがあるからだそう。

 

 

主にスペースインベーダーをモチーフにしたものが多いけれど、先ほども書いたように、そのストリートがある場所にゆかりのある人物をモチーフにすることもあるようです。

 

 

大雑把な決まりは、地上から3〜4メートルの高さに設置すること。

多分、簡単に人が触ったり、盗んだりできないような場所、また歩いていて目に留まる高さということで、このくらいの高さになったんでしょう。

 

 

 

それでも例外的に2013年、パリの1区のRue Saint-RochとRue d’Argenteuilの交差点に設置されたものは、お題が「スパイダーマン」ということで、今までの中でも一番高いところにあるらしいです(...残念ながらまだ見てないけれど)。

 

 

また大きさで一番大きいものは、ポンピドゥセンター脇にある、パリ4区のLa Place Stravinskyにあるもので、9 x 7mという巨大なものです(↓)!

 

 

 

 

 

私はスペースインベーダーを見かけると、ただただ嬉しくて写真を撮ってしまいます。

この作品をゲーム感覚で集められるよう、スマホアプリFlashInvadersというのもあるそう。

まあ、自分的にはそこまでして集めるつもりはないけれど…。

 

 

 

パリに住んでしまうと、道を歩くことすら日常になってしまい、残念ながら新鮮さが失われてしまいがち...。

 

 

でもインベーダーにふと街角で出会うと、なんだかウキウキしてしまうのです。

そうすると、あたりまえの日常もちょっと楽しくなるから不思議です♬

 

 

ちなみに日本の街角でも、彼の作品が見られるそうです。

インベーダー氏のHPにあったもの(↓)をご紹介します。

ぜひ機会があれば、見つけてみてくださいね!

 

 

 

 

 

 

 

銀杏がならない雄のイチョウの木。この木はとっても立派で、紅葉の時は黄金色に輝いています!

 

 

 

11月後半には、いっきに冬のような気温になってしまったけれど、それまではとても美しい秋の景色があちこちで楽しめました。

 

 

特にパリは公園があちこちにあるので、そこにある木々の色が変わり、やがて落ち葉が道いちめんに敷き詰められるとあっという間に冬がやってくるわけです。

朝晩の気温の下がり方がかなり激しいので、木々が紅葉している期間も心なしか短い気がします。

 

 

そんなわけで、秋晴れの日に公園を歩くのは本当に心が喜びます!

 

 

落ち葉を踏みしめる時のカサカサした音、枯れ葉と湿った土のにおい、そして目に入る鮮やかな黄色に色づいた大きな木々...。

私がよく行くのは、家から程近い公園。

気が向いたらすぐ行けるところに、こんなステキな公園があるなんて本当にありがたいな〜と毎回思うのです。

 

 

 

この公園には、何本かイチョウの木が植えられているけれど、なぜか日本にいればすぐ連想できる「イチョウ→くさいにおい」という構図が成り立たないのです。

日本だと、イチョウの木のそばを通っただけで、ぷーんと独特の銀杏の匂いがするというのに、ここではほとんどそんなことがないなぁ...と不思議に思っていました。

 

 

 

 

銀杏の実がたわわになっているのが、見えますか?

 

 

 

すると、ある時、たくさんある歩道の一つを丘を登りながら通った時、あの懐かしい(?)銀杏の匂いが強烈にして来たのです!

匂いがする方向を見ると、ひょろりと伸びたイチョウの木があり、その下で中国人と思しきおじさんが地面に落ちた銀杏を拾い、ビニール袋にせっせと入れていました。

もちろんフランスでは銀杏を食べる習慣がないから、他の人は誰も見向きもしないけれど...。

 

 

 

公園の別の場所にもイチョウの木があり、そこに看板が立てられていたので読んでみると、どうやら随分前にはこの公園には、銀杏の実がなる雌のイチョウの木がもっと多く植えられていたらしいのです。

でも銀杏の実が放つ強烈な匂いが、パリの人たちにとってはかなり不人気だったようで、雌の木の多くは何本かを残して取り除かれてしまいました。

そんなわけで、この公園のほとんどのイチョウの木は、紅葉だけを楽しめる雄の木となったわけです。

 

 

オペラ近辺の日本食を扱うお店で売られていたら、きっと目が飛び出るような値段になるであろうこの銀杏の実。

きっと中国人にとっても貴重な季節の食材だろうから、あのおじさんも毎シーズン来ているんだろうな...と思いました。

 

 

それにしても、あれほど匂いのきついチーズとかは大丈夫なのに、銀杏の匂いに苦情が出ていたなんて不思議です。

その当時から随分月日が経って、今や日本食のあれこれがもてはやされる今日このごろ。

だから、そのうち「ギンナン」という食材も、「サシミ」「スシ」「ワサビ」などのように、フランス文化に定着するかもしれませんね〜(笑)。