アラフィフからのパリ生活  -4ページ目

アラフィフからのパリ生活 

何かのご縁で現在はパリ在住。フランス での日々のこと、感じたことを綴っていきたいと思います。

もともとは駅舎だった、オルセー美術館。その大時計から見えるモンマルトルの丘のサクレ・クール寺院。

 

 

 

フランスの隠れた名物といえば、ストライキでしょう(笑)!

 

パリに住む前にも、頻繁にひき起こされるストについては聞いていました。

ムスメが通っていたフランス人学校でも、よく先生のストがあり、ストの間は当然クラスは閉鎖されていたし...。

 

かなり前の話だけれど、フランスの郵便システムがストを起こしたこともあったな〜。

それも利用者が一番多い12月のクリスマス時期で、インターネットが発達する前のことだったから、当然クリスマスカードやプレゼントを郵便で送る人が多く、大混乱を巻き起こしたことを思い出しました。

 

 

デモもそうだけれど、何か待遇や制度に不満があると、行動でそれを表して改革を求めるのは、良くも悪くもフランス革命を起こしたフランス人の国民性なのかなと思います。

 

特に年末などは、ストの季節(笑)。

ストが起これば、一般市民に一番インパクトを与える時期なだけに、ストのアピール度はかなり高いのはもちろんだけれど、同時に私たちが受ける迷惑度もかなりのものです。

なにせ、「師走」という誰もがあれこれ忙しい時期に、交通機関やいろいろなサービス期間がストップしたり機能しなくなるのですから、たまりません(涙)。

 

まあ、その迷惑度が高ければ高いほど、ストライキを起こしている人たちの主張が声高に響くわけだから、12月というのはストにベストな時期になるんでしょうね...。

 

 

Gare de l'Est.  パリに6つある大きな駅の一つ。もちろん郊外に行く電車も乗り入れています。

 

 

 

現在、RATP(パリ交通公団)が運行する、RERと呼ばれるパリ市郊外と首都を結ぶ電車の一部が部分的なスト中で、3本に1本の割合で運行縮小を行っています。

 

幸い私はパリ市内に住んでいるので、移動するのに使うのはメトロがほとんど。

郊外に出かけない限り、RERを利用することはあまりないけれど、パリ市郊外に住んでいる多くの人が通勤・通学でこの電車を利用しているから、やはり影響は出ているはず。

 

パリと首都から近い地方をつないでいる電車もストになっているので、今週末からクリスマス休暇を地方で過ごそうと予定してた人たちにも、混乱をもたらしています。

また、SNCF(国有鉄道)のTGV(日本の新幹線のような高速電車)もストで、予定していた運行数の半分しか運行しないとのこと。

クリスマスのバカンスの予定が、土壇場になって変更を余儀なくされて、本当に大変です。

 

 

また、Police Municipaleと呼ばれるパリ市内の自治体警察が、16日からストに入りました。

この警察は、主に交通法規などの条例執行や治安を守るために活動しているから、今回のストで動員人数を通常の半分に減らしたので、当然パリの治安は大丈夫なのだろうか...と不安になります。

 

このPolice Municipaleが今回ストをすることにしたのは、以前から彼らが改善を要求していた、勤務時間の削減と待遇の改善だそう。

ニュースによると、例えば4日勤務で2日休みという勤務形態で、家族と過ごす時間があまりなく、家族から孤立してしまうなど、彼らの不規則な勤務時間が原因で、たくさんのストレスを抱えメンタルにも問題が起きているとのことでした。

 

 

 

 

 

 

 

私個人としては、ストをするのは個人の権利だと思うし、つい「こういうものだから仕方がない」とか「どうせ言っても変わらないから我慢する」という日本とは対極にあるフランスのストライキを、ある種うらやましく思います。

 

でも、このストライキのほとんどは、組織自体よりかは、無関係な顧客である一般市民に大きな打撃をもたらす事に疑問を感じるのです。

 

学校の先生のストにより、生徒は授業を受けることができなくなり、学問を受ける権利のある子どもたちが大きな不利益を被るという事実はどうなるんだろう?

公共の交通機関や、郵便などの利用者である私たちの生活に、多大な影響が出ることは、果たして彼らのストの主張の代償として、あまりに軽んじられていないか?

...など、毎回モヤモヤした気持ちが込み上げるのです。

 

コロナウイルスの影響で、長期間のストレスにさらされ、さらに経済的に厳しい状態の人が増えている現在のパリで、警官の数が減ったことによる影響が出ないことを祈ります。

 

 

パリのメトロ駅全部ではないけれど、さすがお洒落な街を走るメトロだけあり、多くの駅のホームが特徴的なデザインになっています。

 

その中でも、よく「一番美しいメトロ駅」と言われるのが、11番線にある駅 "Arts et Metiers(アール・ゼ・メティエ)"。

 

ちなみにこの駅名は「工芸」という意味で、この駅のすぐそばに、Musée des Arts et Métiers「工芸博物館」という、いろいろな分野の技術発明品が納められた博物館があるのでそこからつけられました。

 

Arts et Métiers駅には、3番線と11番線の2本のメトロが通っているのですが、3番線の方のホームは至って普通の白いタイル張り。

 

それが11番線のホームだけが、まるで別の施設に迷い込んだような凝った造りになっているのです。

 

 

 

 

このホームは、工芸博物館の前身であるフランス国立工芸院の、創立200年を記念して1994年にリノベーションされました。

仏人作家のJule Verne(ジュール・ベルヌ)の作品「海底二万里」に出てくる、潜水艦ノーチラス号の世界観にインスパイアされたベルギーの漫画作家二人によって、銅という素材と、凝ったデザインで見事なメトロのホームができたそうです。

 

 

 

 

 

天井までも、銅で覆われていてとてもきれい!

その天井にも、機械の歯車のような部品の形をした大きな飾りが施されています。

 

ホームの壁には、潜水艦にあるような丸い窓がいくつかあり、その中には歴代の様々な分野の工芸、機械や技術、宇宙などに関するものが展示されているのも、なかなかニクい演出ですよね。

 

また、この全体の銅の内装に合うように、ホームのベンチがシックな木のベンチになっているのも特徴です。

ちなみに他の駅で見かけるベンチの色は、赤、黄色、水色などのポップな色です。

 

 

普通にメトロを利用している時だったので、つい細かいところまで写真を撮るのを忘れてしまった私...。

今回これを書いていて、「しまった!あそこの写真を撮っておけば良かった〜」と反省することしきりです(涙)。

 

そんなわけで、天井の飾りや丸い窓の中の写真がないのがとても残念!

 

 

 

 

 

 

 

 

街がセンスのいいイルミネーションで輝き始めると、一気にパリはクリスマスの華やかだけれど優しい光に包まれます。

 

イルミネーションが美しい場所は、パリでもいくつかあるけれど、私の好きな場所の一つがパリ市庁舎です。

世界遺産にも登録されているこの建物は、「市庁舎」の名の通り市長のオフィスが入った行政のオフィスです。

セーヌ川のすぐそばに建ち、対岸にはノートルダム大聖堂が見えるという素晴らしいローケーション。

 

その建物と、その前の広場が、毎年クリスマスの時期になると壮大な舞台装置のようになるのです。

 

 

 

青い照明のおかげで、厳かな建物がまるで氷でできたお城のように見え、また白い雪が舞っているかのような照明の効果で、ますますクリスマスの魔法がかかったようです。

 

 

 

市庁舎前の広場には、クリスマスマーケットやたくさんのクリスマスツリー。

そして、子ども向けのボルダリングも設置されてました。

 

 

 

 

また、そりを楽しめる施設も。

こちらは大人も大丈夫。

 

 

 

Vin chaud(ヴァン・ショウ)と呼ばれるホットワインは、クリスマス・マーケットの名物の一つ。

Vin chaudは、赤ワインにオレンジやレモン、シナモンスティックやクローブなどのスパイスの他に、お砂糖を入れて温めて飲むものです。

日本でも、冬の屋台などで甘酒が売られているから、それと同じようなものでしょうか?

 

 

 

 

クリスマスに関係なく常設されているメリーゴーラウンド。

夜は子どもだけでなく、大人も楽しそうに乗ってました。

 

こんなご時世だから、こうした場所ではマスク着用が義務付けられているので表情が見えるわけではないけれど、そこにいた人たちの目はとても楽しそうで、きっとマスクの下の口元は大きな笑顔になっていたでしょう。

 

冷たい湿気を含んだ冬の空気も、クリスマスの雰囲気を盛り上げるのにぴったりの舞台効果に思える、クリスマスの魔法にかかったパリ市庁舎でした。

 

 

 

違う文化からきた食べ物が、その国に入ってきて徐々に「市民権」のようなものを得る過程は、なかなか興味深いものがあるなぁと思います。

 

自国のものだと思っていた食べ物も、遡れば中国大陸や、他の国との国交の中で日本に入って来て、徐々に日本の食文化と混ざり合って定着していく...というような。

 

 

フランスでも、特にそうした外からのものが一番初めに入ってくるパリでは、オペラ座地区に行けば「ホンモノ」、つまり日本から輸入された食材が買えるし、日本食のレストランもたくさんあります。

そうした「ホンモノ」は、時としてフランス人には試してみるには敷居が高かったり、それほどこだわりがなければ、わざわざオペラ座地区まで買い物に行くことはしないでしょう。

 

それでも、やはり日本食は大人気!

人気のものには、ニセモノ...とは言わないけど、ホンモノに近いものが作られて、幅広く売られるようになるもの、これまたよくあること。

 

 

この間、近所のスーパーの冷凍食品のコーナーで見て驚いたのが、お寿司でした!

 

 

出来合いのお寿司(だいたいがサーモンの握り)がパックに入ったものは、いつの頃からか、パリのスーパーでは当たり前に見られるようになりました。

が、冷凍のお寿司とは!

それほど入っていないようなパックが、5.49ユーロ(約¥700)。

 

ちゃんとパッケージを見なかったけれど、これってどうやって解凍するのかしら?!

まさかレンジでチン...っていうことはないでしょうが...、でもお米の部分が自然界等では美味しい「しゃり」にならなさそうです。

 

 

そして BIO(ビオ)と呼ばれる有機食品のお店では、日本食は健康にいいということで、たくさんの日本食に使う食材が売られていて、日本食がここまでフランス人に浸透していることに改めて驚かされます。

海藻、ごま、お味噌、こんにゃくで作られた麺など。

 

そんなお店で見かけて驚いたのが、瓶詰めの梅干しの値段でした。

 

 

200gの梅干しが、15ユーロ(約¥2000弱)!!!

BIO製品とはいえ、かなり高価でびっくりでした。

 

 

 

ホンモノの日本食が手に入る、オペラ座地区では、こんなものも発見!

 

 

これは中国系のスーパーなどでよく見かける「和風もち」ですが、それが自動販売機として売られていました。

ただし、やはり泥棒や機械の破壊などの犯罪が多いパリなので、この自販機は路上に設置されてはおらず、外とはドアで隔てられた建物の1階のエントランスのようなスペースに置かれてありました。

ちなみにこの「和風もち」、確か中国製だったかな?

抹茶やごまの風味のあんこが、お餅の皮で包まれています。

中国系のスーパーでなくても、普通のスーパーで「雪見だいふく」を真似したものが売られているほど、この「もち」というコンセプトはフランスに根付いているようです。

 

 

まあ日本でも、こうして外から入ってきたものがそのまま定着したり、だいぶ形を変えて受け入れられていますよね。

例えば、イタリア人の友人に、日本オリジナルのナポリタン・スパゲティや、たらこや納豆が入ったパスタなどの話をすると、とっても驚かれます(笑)。

きっと冷凍食品や、インスタント食品になってしまったパスタを見たら、びっくり仰天でしょうね〜。

パリに住んで、すぐに映画館の会員になりました。

 

年会費または月々の会費を払うと、その映画館グループの映画館へ好きなだけ行くことができます。 

通常の大人の映画入場料が、12~14ユーロ(約¥1500~¥1800)。

会員になると、月額約22ユーロ(約¥2800)だけなので、月に2回映画をみることができれば、十分に元が取れるので随分とお得な感じがしませんか?

 

ちなみにコロナ第五波が来ているパリ。

クリスマス休暇を控え、昨日も政府からの新たな発表がありましたが、幸い映画館をはじめレストランなどは通常通り営業ができます(ディスコだけは4週間の休業命令が出てしまいましたが)。

もちろん映画館の中では、マスク着用は義務です。

 

 

私も映画が大好き!

フランスにいると、いわゆるフランス映画のメッカですから、封切られればすぐに極上のフランス映画が見られるし、いわゆるハリウッド映画も、ヨーロッパの映画、そしてフランスで高く評価されている日本の映画も見ることができるのが素晴らしです。

 

また私が良く行く映画館は、我が家からメトロで15分ほどなので、25分もあればドア・ツー・ドアで映画館へ行ける気軽さ。

おかげで、パリに住み始めて映画に行く機会がとても増えました。

 

さらに、この映画館はかなり大きいので、よく映画封切り前に、出演している俳優さんや監督を招待した舞台挨拶が行われます。

特に会員でなくても、その舞台挨拶がある回の入場券を買えばいいのですが、会員も同様に、特に余分なお金を払わずにいつも通りメンバーカードで大丈夫。

 

コロナ禍以前は、外国からの招待がたくさんあり、それはそれは豪華なメンバーによる舞台挨拶がありましたよ〜。

 

とっても興奮したのが、「ブリジット・ジョーンズの日記3」の舞台挨拶!

予告にはなかったのに、主演のレネー・ゼルウィガー、コリン・ファースと、パトリック・デンプシーという、メインキャスト3人が舞台に現れたのです!

私はコリン・ファースが大好きなので、本当に嬉しかった〜!

これには、その当時パリにいたムスメ(ブリジット・ジョーンズ大好き!)と大喜びでした。

(写真がないのが残念!)

 

 

日本の映画では、「万引き家族」の監督、是枝裕和氏がいらっしゃり、上映後にかなり長い質疑応答に答えてくださり、撮影秘話など聞くことができとても興味深かったです。

また是枝裕和氏は、フランス人俳優のカトリーヌ・ドヌーブとジュリエット・ビノシュを起用した「真実(La Vérité)」という映画も制作していて、その時の舞台挨拶もみることができました。

 

 

 

東日本大震災を舞台にした映画「太陽の蓋(フランスでの題名「FUKUSHIMA」)の舞台挨拶では、なんと元首相の菅直人氏がいらっしゃいました。

...ただ当時の実際にあったことなどを話される時、その時首相という立場にいらっしゃったのだから、もっとキレのある説明などを期待していたのに、あまり要領を得ない話し方でがっかりでした...。

(フランスの政治家は、どんな時もいつも確信を持った堂々とした話ぶりなので、それと比べてしまうとやはり日本の政治家は残念...と思ってしまいます。)

 

 

 

 

あとは、覚え書き的に舞台挨拶の一部をご紹介...

 

「20 Century Women」

主演のアネット・ベニングが舞台挨拶にいらっしゃいました。この女優さんも大好き。

 

 

 

 

「NEVADA(現題 The Mustang, 邦題 マスタング)」

主演のベルギー人俳優 マティアス・スーナールツが舞台挨拶に!この俳優さん、本当に好きなので、まさか本物を間近で見ることが出来るなんて夢のようでした。 

 

 

 

「DARK WATERS(邦題 ダーク・ウォーターズ 巨大企業が恐れた男)」

主演のマーク・ラファロ氏も、本当に好きな俳優さんの一人。舞台に現れた彼を見て、これまた夢心地でした! 実話を元にした映画。これを見て、家にあるテフロン加工の鍋を処分した方がいいと真剣に考えました。こういう社会派の映画も大好きです。

 

 

 

「Celle que vous croyez (邦題 私の知らない私の素顔)」

主演のジュリエット・ビノシュ、フランス映画で活躍しているフランソワ・シヴィルなどが舞台挨拶に登場。アラフィフの主人公が、ふとFacebookで嘘のアイデンティティを作り上げ、若い女性になって若い男性にのめり込んでいく姿が狂気的で物悲しいストーリー。「こういうことってあり得るかも...」とアラフィフの私は思うのでした。ジュリエット・ビノシュの演技がとても上手!

 

 

 

「La Bonne Epouse(邦題 5月の花嫁学校)」

こちらも主演のジュリエット・ビノシュをはじめ、映画に出ていらっしゃるほとんどの俳優さんたちが舞台挨拶にいらっしゃいました。

60年代に、良妻賢母を目指すための女子のための寄宿学校でのお話。フランスでもそう遠くない昔にこんなことがあったのかと、ちょっと驚きました。まあ、日本と比べると、女性の権利や意識は随分進んでいるけれど...。

この映画が封切られてすぐに、フランスも厳しい外出制限が出て映画館も閉鎖されてしまいました。

 

 

 

「旅のおわり 世界のはじまり (仏題 Au bout du monde)」

監督の黒沢清氏が舞台挨拶にいらっしゃいました。主演の前田敦子さんは元AKB48ということは知っていましたが、15年近く日本にいなかったのでリアルタイムでのご活躍は知りません。

ウズベキスタンでのオールロケ、知らない国の様子を見ることができたのが興味深かったです。