銀杏がならない雄のイチョウの木。この木はとっても立派で、紅葉の時は黄金色に輝いています!
11月後半には、いっきに冬のような気温になってしまったけれど、それまではとても美しい秋の景色があちこちで楽しめました。
特にパリは公園があちこちにあるので、そこにある木々の色が変わり、やがて落ち葉が道いちめんに敷き詰められるとあっという間に冬がやってくるわけです。
朝晩の気温の下がり方がかなり激しいので、木々が紅葉している期間も心なしか短い気がします。
そんなわけで、秋晴れの日に公園を歩くのは本当に心が喜びます!
落ち葉を踏みしめる時のカサカサした音、枯れ葉と湿った土のにおい、そして目に入る鮮やかな黄色に色づいた大きな木々...。
私がよく行くのは、家から程近い公園。
気が向いたらすぐ行けるところに、こんなステキな公園があるなんて本当にありがたいな〜と毎回思うのです。
この公園には、何本かイチョウの木が植えられているけれど、なぜか日本にいればすぐ連想できる「イチョウ→くさいにおい」という構図が成り立たないのです。
日本だと、イチョウの木のそばを通っただけで、ぷーんと独特の銀杏の匂いがするというのに、ここではほとんどそんなことがないなぁ...と不思議に思っていました。
銀杏の実がたわわになっているのが、見えますか?
すると、ある時、たくさんある歩道の一つを丘を登りながら通った時、あの懐かしい(?)銀杏の匂いが強烈にして来たのです!
匂いがする方向を見ると、ひょろりと伸びたイチョウの木があり、その下で中国人と思しきおじさんが地面に落ちた銀杏を拾い、ビニール袋にせっせと入れていました。
もちろんフランスでは銀杏を食べる習慣がないから、他の人は誰も見向きもしないけれど...。
公園の別の場所にもイチョウの木があり、そこに看板が立てられていたので読んでみると、どうやら随分前にはこの公園には、銀杏の実がなる雌のイチョウの木がもっと多く植えられていたらしいのです。
でも銀杏の実が放つ強烈な匂いが、パリの人たちにとってはかなり不人気だったようで、雌の木の多くは何本かを残して取り除かれてしまいました。
そんなわけで、この公園のほとんどのイチョウの木は、紅葉だけを楽しめる雄の木となったわけです。
オペラ近辺の日本食を扱うお店で売られていたら、きっと目が飛び出るような値段になるであろうこの銀杏の実。
きっと中国人にとっても貴重な季節の食材だろうから、あのおじさんも毎シーズン来ているんだろうな...と思いました。
それにしても、あれほど匂いのきついチーズとかは大丈夫なのに、銀杏の匂いに苦情が出ていたなんて不思議です。
その当時から随分月日が経って、今や日本食のあれこれがもてはやされる今日このごろ。
だから、そのうち「ギンナン」という食材も、「サシミ」「スシ」「ワサビ」などのように、フランス文化に定着するかもしれませんね〜(笑)。