★あとがき
---
いよいよ!
次の「4話」で、『第1部』 の、完結です~!ヾ(@^▽^@)ノ
物語的には、たしか『第3部』まであったはずです、たぶん… (←おいw)。
パストラル帝国ですが、イリニア帝国との、大戦に突入してしまいました。
「4話」からは、大戦時のお話になります。
キーツくんとジェルちゃ、喧嘩してる場合じゃないぞー?www
ほかほか、
ジュンクリフくんや、フィーネちゃんの、恋の行方が気になったり、
帝国一・お茶を入れるのが上手な、諜報部員……シトラビンス姉さまの
真の目的(???)が気になったり、
人間なんだかよく分かんない、二重映しの、レイリちゃんが気になったり
……まぁいろいろあるわけですが、
「4話」を、お楽しみにー!\(^_^)/
P.S.
あぁぁーっと、あいかわらず、ジュンくん大活躍です♪
武官らしい彼が見れるので、お気に入りの、4話ですー。にやり♪^^
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いよいよ!
次の「4話」で、『第1部』 の、完結です~!ヾ(@^▽^@)ノ
物語的には、たしか『第3部』まであったはずです、たぶん… (←おいw)。
パストラル帝国ですが、イリニア帝国との、大戦に突入してしまいました。
「4話」からは、大戦時のお話になります。
キーツくんとジェルちゃ、喧嘩してる場合じゃないぞー?www
ほかほか、
ジュンクリフくんや、フィーネちゃんの、恋の行方が気になったり、
帝国一・お茶を入れるのが上手な、諜報部員……シトラビンス姉さまの
真の目的(???)が気になったり、
人間なんだかよく分かんない、二重映しの、レイリちゃんが気になったり
……まぁいろいろあるわけですが、
「4話」を、お楽しみにー!\(^_^)/
P.S.
あぁぁーっと、あいかわらず、ジュンくん大活躍です♪
武官らしい彼が見れるので、お気に入りの、4話ですー。にやり♪^^
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10 血縁の記憶
手袋の指先を、口元に当てて、放心状態に入ってしまっている。
「とっても……」
(なにを言っている――)
予想だにしない、あまりの言葉に、彼は、自分の台詞さえ忘れてしまった。
結界師の様子が、いつもと違う。
宰相は、ただ彼女を見つめていただけである。
結界師の視線は、膝の上に止まったまま、動かない。
(すっごーい……)
近くで見れば見るほど、素晴らしい『仕掛け』だ。
懐中時計のように日常、衣服の内側に、携帯することを前提として創り出された「商品」は、当然、容器の大きさが限られている。
そんな中に、普通の時計の機能はもちろん、月の満ち欠け、聖人の名を冠した、祝祭日の「暦表」。
高度計、方位計。それらを飾る、宝石、鏡、造花、オルゴール、カラクリ人形。
時には、写真、薬品、小さな指輪を入れるための、「秘密の空間」まで……
用意しなければならないのである。
内部が複雑で、小さくなっていくのは当然なのだ。
見とれている結界師の、ドレスの肩から背中――
なめらかな栗色の髪を、キーツは戸惑いながらしばらく見つめていたが、やがて、いつもの心の均整を取り戻して、
「何か用があるのか」
と、それだけを短く尋ねた。
結界師が、顔を上げた。
身を乗り出していた茶色の瞳が、すぐ傍で、彼の目と交差する。
「すごい物をお作りになるんですね」
それは正直な感想だった。
正直言って、技師のひとりとして、彼の技に、感心していたのである。
しかし、キーツの心の中では、奇妙な亀裂がはしり始めていた。
「世辞などいらん」
「お世辞じゃありません」
とんでもない、と身を起こす。
姿勢を正すと、白い肌が、灯かりに透けた。
「本当にそう思っているんです」
「うるさい!」
ベンチから、立ち上がった。
「わたしに世辞など無用だと言っているのだ!」
見下げるキーツ宰相の眼光は、怒りに染まっている。
「お世辞じゃないと、言ってるじゃないですか」
「信じられんな!」
「なぜそう、お怒りになるんですか? たまには……私の言葉も、素直に受け止めて下さい。私は本当にそう思ったんですから、キーツ様……」
「うるさい、それ以上言うな!」
「キーツ様……っ」
どうにか分かってもらいたいと、さらに言葉を続けようとした、その時、
「こちらにいらっしゃいましたか、宰相閣下っ! おお、結界師殿もっ! 閣下、一大事ですぞ!」
庭園のアーチから、野太い声が上がった。
二人の間に、室内着姿の大臣が、飛び込んでくる。
「なんだ」
「なんとも恐ろしいことです!」
息を切らせて、両太ももへ前かがみになり、全身で呼吸している。
結界師は裾を直し、改めて、大臣に向き直った。
大臣は呼吸を整えると、目をむき、思いあまったように報告した。
「イリニア帝国からの「宣戦布告」です! たった今、宣戦布告が、皇帝陛下に届けられました。パストラルを滅亡させると、それはもう、えらい剣幕で……王宮は大騒ぎです。あああ、早く避難の用意をせねばっ、これは大戦になりますぞ!」
本編 第三話 「血縁の記憶」 完
第四話 「人間の証明」 へ、つづく
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「とっても……」
(なにを言っている――)
予想だにしない、あまりの言葉に、彼は、自分の台詞さえ忘れてしまった。
結界師の様子が、いつもと違う。
宰相は、ただ彼女を見つめていただけである。
結界師の視線は、膝の上に止まったまま、動かない。
(すっごーい……)
近くで見れば見るほど、素晴らしい『仕掛け』だ。
懐中時計のように日常、衣服の内側に、携帯することを前提として創り出された「商品」は、当然、容器の大きさが限られている。
そんな中に、普通の時計の機能はもちろん、月の満ち欠け、聖人の名を冠した、祝祭日の「暦表」。
高度計、方位計。それらを飾る、宝石、鏡、造花、オルゴール、カラクリ人形。
時には、写真、薬品、小さな指輪を入れるための、「秘密の空間」まで……
用意しなければならないのである。
内部が複雑で、小さくなっていくのは当然なのだ。
見とれている結界師の、ドレスの肩から背中――
なめらかな栗色の髪を、キーツは戸惑いながらしばらく見つめていたが、やがて、いつもの心の均整を取り戻して、
「何か用があるのか」
と、それだけを短く尋ねた。
結界師が、顔を上げた。
身を乗り出していた茶色の瞳が、すぐ傍で、彼の目と交差する。
「すごい物をお作りになるんですね」
それは正直な感想だった。
正直言って、技師のひとりとして、彼の技に、感心していたのである。
しかし、キーツの心の中では、奇妙な亀裂がはしり始めていた。
「世辞などいらん」
「お世辞じゃありません」
とんでもない、と身を起こす。
姿勢を正すと、白い肌が、灯かりに透けた。
「本当にそう思っているんです」
「うるさい!」
ベンチから、立ち上がった。
「わたしに世辞など無用だと言っているのだ!」
見下げるキーツ宰相の眼光は、怒りに染まっている。
「お世辞じゃないと、言ってるじゃないですか」
「信じられんな!」
「なぜそう、お怒りになるんですか? たまには……私の言葉も、素直に受け止めて下さい。私は本当にそう思ったんですから、キーツ様……」
「うるさい、それ以上言うな!」
「キーツ様……っ」
どうにか分かってもらいたいと、さらに言葉を続けようとした、その時、
「こちらにいらっしゃいましたか、宰相閣下っ! おお、結界師殿もっ! 閣下、一大事ですぞ!」
庭園のアーチから、野太い声が上がった。
二人の間に、室内着姿の大臣が、飛び込んでくる。
「なんだ」
「なんとも恐ろしいことです!」
息を切らせて、両太ももへ前かがみになり、全身で呼吸している。
結界師は裾を直し、改めて、大臣に向き直った。
大臣は呼吸を整えると、目をむき、思いあまったように報告した。
「イリニア帝国からの「宣戦布告」です! たった今、宣戦布告が、皇帝陛下に届けられました。パストラルを滅亡させると、それはもう、えらい剣幕で……王宮は大騒ぎです。あああ、早く避難の用意をせねばっ、これは大戦になりますぞ!」
本編 第三話 「血縁の記憶」 完
第四話 「人間の証明」 へ、つづく
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9 血縁の記憶
懐中時計の機械内部は、繊細で、複雑を極める。
一見しただけでは、何がどうなっているのか、全く分からない。
ピンセットで一つの部品を横にずらすと、下から、軸の付いた車輪のような弧円が現われる。
そこから飛び出した「銀杏型」の小さな取っ手を緩めると、重厚な内部が、表側へスライドする。
側部には、星くずのようなネジが散りばめられている。
それを一つ一つ、作業眼鏡をかけながら、慎重にはずし、心臓部へと到達する。
彼女は、覚えている。
あれは蒸し暑い、夏の日のことだった。
木槌の音がこだまする、山村の、ほころびたレンガ道沿いの大樹の下で……
老人が一人、椅子と小卓を出し、懐中時計を直していたのだ。
(それと同じことを、この人は、やっている……)
今まで自分が宰相に抱いてきた印象との、激しい落差に、彼女は愕然と、驚きを感じていた。
青白い光に手元を照らさせ、彼は無心に、仕掛内部の修理を続けている。
ネジ回しを操るその手は、目を疑うほどに、乱れがない。
これが本当に、いつも見ていたマーカス・キーツ宰相の姿なのか。
密集し合った小さな部品を、ひとつひとつ、丁寧に選り分ける姿は、彼女の中のキーツ像とは全く異なっていた。
こんな技術をいったいどこで覚えたのだろう。
ひょっとすると父か祖父か――誰かがやっているのを見て、覚えたのかもしれない。
ジェルソミーナは、その落差に目を見開き、そしてその感覚を持て余したかのように、ベンチの背にもたれかかった。
そういえば、この宰相のことを、ジェルソミーナは何も知らない。
(……ひょっとして、この人ってすごい人なんじゃ……)
彼女は、その横顔を。そして指先を、凝視した。
左手首の『リボン』が、ぎゅっ、と収縮したような気がした。
キーツはちらり、と横の木偶を、見遣った。
(なにをしに来たのだ……?)
いやおうなしに、自分が現実に引き戻されていくのが分かった。
(姿を現わすなと言った言葉が、通じなかったはずでもなかろうに……)
無防備な、結界師のドレス姿が、目に止まった。
淡い青の、艶やかなドレス。
それが彼女に似合っているかどうかなど、彼には関係ない。
心の奥底から、早くこの女を殺せと、あの声が悲鳴を上げ続けている。
眠っていた感情が、嘘のように、今度は全身に蔓延しはじめる。
(この女はわたしの影なのか……? わたしの影のように、どこまでもつきまとい、わたしを永遠に苦しめる。こんな所にまで……!)
途端、突き破るような悲しみが、喉元にまで込み上げてきた。
(そうか……やはりこいつは……こいつはやはり、このわたしを……っ)
彼は金属片をにぎりしめた。
「わたしに……」
――お前が殺せないとでも思っているのか、そう、キーツは言おうとした。
が、その直前に、
「キーツ様って……すごいんですね」
唇から漏れ出た言葉に、遮られた。
「かっこいい……」
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一見しただけでは、何がどうなっているのか、全く分からない。
ピンセットで一つの部品を横にずらすと、下から、軸の付いた車輪のような弧円が現われる。
そこから飛び出した「銀杏型」の小さな取っ手を緩めると、重厚な内部が、表側へスライドする。
側部には、星くずのようなネジが散りばめられている。
それを一つ一つ、作業眼鏡をかけながら、慎重にはずし、心臓部へと到達する。
彼女は、覚えている。
あれは蒸し暑い、夏の日のことだった。
木槌の音がこだまする、山村の、ほころびたレンガ道沿いの大樹の下で……
老人が一人、椅子と小卓を出し、懐中時計を直していたのだ。
(それと同じことを、この人は、やっている……)
今まで自分が宰相に抱いてきた印象との、激しい落差に、彼女は愕然と、驚きを感じていた。
青白い光に手元を照らさせ、彼は無心に、仕掛内部の修理を続けている。
ネジ回しを操るその手は、目を疑うほどに、乱れがない。
これが本当に、いつも見ていたマーカス・キーツ宰相の姿なのか。
密集し合った小さな部品を、ひとつひとつ、丁寧に選り分ける姿は、彼女の中のキーツ像とは全く異なっていた。
こんな技術をいったいどこで覚えたのだろう。
ひょっとすると父か祖父か――誰かがやっているのを見て、覚えたのかもしれない。
ジェルソミーナは、その落差に目を見開き、そしてその感覚を持て余したかのように、ベンチの背にもたれかかった。
そういえば、この宰相のことを、ジェルソミーナは何も知らない。
(……ひょっとして、この人ってすごい人なんじゃ……)
彼女は、その横顔を。そして指先を、凝視した。
左手首の『リボン』が、ぎゅっ、と収縮したような気がした。
キーツはちらり、と横の木偶を、見遣った。
(なにをしに来たのだ……?)
いやおうなしに、自分が現実に引き戻されていくのが分かった。
(姿を現わすなと言った言葉が、通じなかったはずでもなかろうに……)
無防備な、結界師のドレス姿が、目に止まった。
淡い青の、艶やかなドレス。
それが彼女に似合っているかどうかなど、彼には関係ない。
心の奥底から、早くこの女を殺せと、あの声が悲鳴を上げ続けている。
眠っていた感情が、嘘のように、今度は全身に蔓延しはじめる。
(この女はわたしの影なのか……? わたしの影のように、どこまでもつきまとい、わたしを永遠に苦しめる。こんな所にまで……!)
途端、突き破るような悲しみが、喉元にまで込み上げてきた。
(そうか……やはりこいつは……こいつはやはり、このわたしを……っ)
彼は金属片をにぎりしめた。
「わたしに……」
――お前が殺せないとでも思っているのか、そう、キーツは言おうとした。
が、その直前に、
「キーツ様って……すごいんですね」
唇から漏れ出た言葉に、遮られた。
「かっこいい……」
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