ASH-3 旭金属のすべて
【スパナ編】
【2023年1月16日追記】
旭金属のスパナJIS認証取得は、1961年/八尾工場が最初だと思っていたら、その前の1958年/布施工場だったことに気が付きました。
最初のJIS一覧表(1962年)に八尾工場で載っているので、まさかそれ以前に布施工場で取得し、かつ一覧表発行前にその認証が終了しているとは考えもしませんでした。
これにより、旭金属のスパナJIS認証番号は移転等に伴い全部で5つあることになります。
なお、KTCも2回の工場引っ越しをしていますが、こちらは工場変更の届け出をしているだけで、認証番号は同じままです。
旭金属には併行生産等の特別な理由があったのだと思います。
⇒ JIS取得一覧の訂正版は、こちら。
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旭金属のスパナ編です。
戦前からスパナを製造し、また戦後はスパナ専門商社として復興するなど、スパナが会社の原点です。
そして、現行品でカタログに載っているスパナが12種類もあることから、今でもスパナに注力している工具メーカーだと言うのが良く分かります。
一番凄いと思うのは、JIS最小サイズの5.5mmが現行品で8種類もあることです。
一方で、1930年『宮野商店』開業から『旭金属工業』となり、1982年に新潟へ引っ越すまでの初期50年間、大阪時代の商品情報が少ないのが残念です。
その初期情報も出来る限り集め、旭金属スパナの全貌を解説をしていきます。
※写真の背景色…旭金属:赤、他社:青、OEM:緑
★創業時の資料
旭金属HPの会社沿革では戦前の歴史詳細が省かれていますが、地元商店街の十年史に旭金属(株)の会社紹介が載っていて、初期の詳細が確認できます。
1930年に『宮野商店』を開業した後、1935年に『旭工具製作所』という製造販売会社に組織変更し、スパナの製造を始めています。
そして、1941年の広告より、旭工具製作所が『大王印』ロゴのスパナを販売していたことが分かります。
ちなみに、旭金属は、戦前から現在まで継続してスパナを製造している日本で唯一の会社と理解しています。
言い方を変えると、現在もスパナを生産していてる会社の中で一番古い歴史を持っていることになります。(ハンドツールに拡大するとロブテックス/日本理器になりますが)
【補足】
・戦時中から現在であれば市田工業/IKKも該当します。
・戦前にスパナ製造を始め、戦後も継続していたものの廃業した会社は、京都機械/一重丸京、昭和スパナ、服部スパナ、昭和機械工具製作所の4社が確認できています。
↑1941年『工業取引案内』と同年『工業年鑑』より
スパナとモンキー『大王印』、パイプカッター『豪力印』、ねじ切り『アサヒ印』。
1941年11月(太平洋戦争開戦の1ヶ月前)の広告
↑1956年『立売堀新町振興会十年史』より
大阪駅南側の1画、立売堀(いたちぼり)と新町に機械と金属の問屋街があり、200社ほどが集っていて、大阪が機械金属の街と言われた所以の場所です。
中には初期の旭金属のように家内制手工業で工具などを生産していた商店もありました。(旭金属は後に布施に専用工場を開設)
本書は、機械金属の街、大阪の戦後10年を綴った一級資料です。
⇒ 全ページ版は、こちら(335頁)
※閲覧には国会図書館の会員登録(無料)が必要です。
★簡単な会社沿革(商品解説での振り返り用)
★スパナのJIS認証取得
旭金属は1958年にスパナのJIS認証を布施工場で最初に取得しています。
工場の移転に伴いに合計4カ所の工場でスパナのJIS認証を取得し、かつJQAで新たな登録をしていますので、認証番号は計5つになります。
また、1983年には瞬間風速的に下表の★印3カ所がJIS認証工場でした。
したがい、モデルSM⑫とSW⑱は、その1983年の1年の間に3カ所の★工場で生産されていたことになります。
さらに、そのSMとSWは、JISがJQAでの認証になってからも生産を継続していますので、★印4つのJIS認証番号で生産されていることにもなります。
※新潟への引っ越しと関連企業の吸収合併が同時期にあり、経緯が複雑です。
詳細は ⇒ ASH-1にて。(東入船工場の旭金属としての稼働は1年間だけ)
↓JIS認証番号5つの取得資料
↑1960年『機械と工具年鑑』
・1960年のこの広告にJISマークが載っていたことから、最初のJIS認証取得は1961年では無く1958年と気が付きました。
↑旭金属Twitterより
1. 商品一覧
2. 商品解説
1)第1世代/戦前…1930年~終戦
① 戦前モデル
前述の1941年広告より旭工具製作所の時代に大王印でスパナを製造販売していたことが分かります。
広告内のイラストでは片側スパナには顎を下げる形のオフセットが入り、もう片側はストレートになっています。
『DAIO』のロゴが刻印されていたのだろうと思います。(イラストに推定で追加)
なお、広告では"大王"と"DAIO"が商標登録されていることになっています。
『文字商標集』の戦前版と戦後の1~4巻で"大王"と"DAIO"を検索すると創業の1930年以降で17件がヒットしました。
公告番号を調べてからJ-PlatPadで確認したところ、17件全てが"大王"の商標でしたが、残念ながら旭金属ではありませんでした。
したがい、大王の商標登録については、これ以上調べようが無く、『広告に商標登録と謳っているので登録したのだろう』としか言いようがありません。
2)第2世代/『旭金属工業』創業前…1949年~1954年
② 戦後10年モデル
旭金属(株)が1952年に"丸ASH"を商標登録し、そのロゴを刻印したスパナ。
旭金属工業創業前、旭金属(株)時代のスパナだと思います。
3)第3世代/JIS取得以前…1954年~1961年
③ フラット両口 / JIS以前
工具製造会社として旭金属工業が1954年に創業し、ASHロゴが使われてからの製品になります。(ASHロゴは少なくとも1959年、またはそれ以前から使用)
JISマークが無く、いかにも古そうなスパナですので、JIS取得以前のスパナだろうと思います。
スパナ部の形が綺麗に出ておらず、胴長部も一部が不均一に盛り上がっていて、まるで手打ち鍛造のような作りになっています。
なお、本モデルは10x14mmと異形サイズになっていますが、12x14mmや14x17mmなどの通常サイズモデルも当然あったと思います。
また、下の1959年会社資料によると、両口スパナと共に片口スパナも取扱製品の中に入っていますので、片口がJIS取得よりも前の1959年以前からあったことが分かります。
したがい、この③と同じデザインの片口もあったのだろうと思います。
↑ASHロゴの使用が確認できる最初の資料(1959年『日本機械工業名鑑』より)
両口と片口の両方のスパナが登場しています。
★ASHロゴの商標登録
商標ASHは、実際の使用よりも10年遅れて1969年に登録されています。
製品に使われている初代ASHロゴは"A.S.H."で3文字全てにドットが付いていますが、商標は最後の"H"にドットが無い"A.S.H"になっています。
★ASHロゴの変遷と時代分類
モデルの世代更新と共にASHロゴも変化していますので、ASHロゴの種類により簡単な時代分類が出来ます。
"SUN LIGHT"と刻印されているスパナがJIS取得前後のASHスパナに似ているため、1950年頃の旭金属ブランドなのかとも考えていましたが、サンライト/SUN LIGHTというモペットが1958年頃に販売されているのを見つけました。
このモペット用の車載工具を旭金属がOEM供給した可能性が高かそうな気がします。
4)第4世代の旧モデル…1961年~1982年
※ASHロゴ でJISマーク付きを第4世代とします。
④ フラット with JIS(推定)
シバウラディーゼル向けOEMにフラットパネルのJISマーク付きがありますので、旭金属自身にも同様のJISモデルがあったと考えています。
これも見つかっていませんが、シバウラOEMモデルの裏面刻印(ASHロゴ+JISマーク)を表面に移動させてイメージ写真を作ってみました。
なお、口径10x14mmのJIS規格でのスパナ全長は、JIS初期(1952年~59年)は110mm、1959年の改定以降は140mmになっています。
旭金属は、1961年にJISを取得していますので、当然ながらシバウラ向けOEMのJISモデルは、ぴったり長さ140mmです。
↑JISモデルのイメージ写真。(あくまでも推定です!)
★シバウラディーゼル向けOEM(本物)
上のフラットwithJIS④(推定)の基になっているシバウラディーゼル向けのOEMモデルです。
第3世代フラット③に較べると鍛造精度が高く、機械鍛造(Drop Forged/落とし鍛造)のかっちりとした出来上がりです。
裏面に浮き出し刻印のASHロゴと共にJIS-Nマークが表示されています。
JIS付きより、旭金属がJIS認証を取得した1961年以降のモデルと分かります。
★最初のJISモデル
他社の例から考えると、JIS取得時の最初のモデルにはJIS認証番号(旭金属は8117)が刻印されていた可能性があります。
JIS認証取得時の認証番号付きモデルが、5社から出ています。
大阪鍛工/"丸T"、服部スパナ/TORI、三木ネツレン/NETSUREN、東亜鍛工/TORI、池田工業/IKK
↓例:大阪鍛工/"丸T"(認証番号1978)、服部スパナ/TORI(同1979)
⑤ フラット片口 with JIS
JIS-Nのフラットパネル片口が見つかっています。
ASHロゴの浮き出し刻印の文字が綺麗に揃い(機械掘りに変わった?)、かつ表示が少し小さめになっています。
2000年以降でも使われているのと同じ小さなASHロゴになっていて、ASHロゴが大きな④よりも時代が新しいのが分かります。
但し、裏面に“STAMP FORGED”の表示しか無く、製品への品番表示はまだ開始されていません。
一方で、裏面にウィットウォース規格のインチサイズW9/16(23mm相当)が刻印されていて、NTKなど他社の例から見ると1960年代の製品に多く見られます。
したがい、このASHモデルは1960年代後半の製品だと推測します。
1961年の初代に引き続いて2代目のJISモデルだろうと思います。
また、後述する片口SNロゴ⑩の様に裏面に品番など色々な表示が無いことから、⑩よりも前の時代であり、恐らく工業系の黒い片口スパナの最初のモデルだろうとも考えています。
なお、両口スパナタイプもあったと考えるのが素直です。
↑ここまでは単独のASHロゴ
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↓ここからは"ASAHI ASH TOOLS”
⑥ 凹尖りパネル(長さ半分)片口
フラットパネル以外のスパナが登場します。
凹尖りパネルが全面では無く、短く半分の片口スパナです。
”ASAHI ASH TOOLS”が刻印されていて、2000年代まで使われていたパネル表示になっています。
この後、現行のASAHIロゴに切り替わるまで40年間使われるパネル表示です。
スパナがやり型になっていて、世代が新しいのが分かります。
但し、品番表示はまだありません。
フラットパネルから全面凹尖りパネルに移行する一時期に、この短かい凹尖りパネルがあったのでしょうか?
1970年代に入ってからの製品と思います。
アメリカebayで一度だけ見かけましたが、日本では見たことが無い希少なモデルです。
追記:日本でも見つけました。(品番SS0071とのこと)
⑦ 凹六角形パネル
ASHロゴと同じ六角形の凹パネルになっていて、ロゴもパネル形状も六角形という凝ったデザインです。(左右の凹サイズ表示も六角形にすればもっと良かったと個人的には思うのですが)
これも”ASAHI ASH TOOLS”が刻印されています。
また、裏面への品番刻印が登場し、”SA”と刻印されています。
他の旭金属と較べるとスパナ部の尖り度合いが大きくなっていて、現行モデルも含めてこの製品だけの特徴です。(JIS-S/やり型)
サイズパネルとASHロゴパネルの間を見ると分かりますが、平面が膨らんでしまっています。
左右にある凹パネルをへこませた分だけ盛り上がってしまったのかと思いますが、、あまり鍛造精度が高くないようです。
『40年の壁』に遮られ、この製品に関しても情報が全くありません。
恐らく、現在でも販売されている後述SM⑫よりも以前のスタンダードスパナだったのではないかと推測しています。
時代としては1970年代あたりだと思います。
★40年の壁
『40年の壁』という表現をこれまで当ブログ内の各ブランド解説で使用しています。
40年前に20才で入社した多くの方が60才の停年で会社を去り、40年以上前のことを知っている人が事務所からいなくなります。
すると、伝聞としての昔の情報が伝わらなくなり、紙の情報が残っていない限り、40年よりも前のことは分からなくなることを指しています。
これまで多くのハンドツールを追い掛けてきましたが、この『40年の壁』が実際に大きく立ちはだかっています。
旭金属の40年前は、ちょうど大阪から新潟に引っ越した1982年です。
引っ越しに伴い多くの紙情報が新潟に移動せず、廃棄されたのでは無いかと推察します。
また、OBに確認することが出来れば、『40年の壁』は『60年の壁』に緩和されるのですが、旭金属の場合は大阪にOBの方が多いと思いますので、OBからの情報も得られにくいのかと思います。
このSTモデルは、ちょうどその『40年の壁』にはばまれた製品で、目の前にある現物(スパナセットと外箱)だけが唯一の情報になっています。
60年代、70年代、そして80年代のカタログがあれば、全てが分かるのですが。
★TONEとの比較

凹パネルが3つに分かれたスパナと言えば、気になるのがTONEの先代モデル。
ASH-4 OEM編で解説している様に、5社のOEMモデルがあるようですが、上の写真の製造者記号AKは旭金属製と推察しています。
ただし、スパナの尖り度合いが異なりますので、共に3分割パネルデザインと言う以外には類似製は無さそうです。
ちなみに、TONEのこのデザイン登場は1968年、旭金属の六角形パネルは1970年代、TONE/AKは1978年~1988年、それぞれに直接の関係は無いと考えています。
⑧ ST / ロングタイプ
10年ほど時代が新しくなります。
中央部が窪んだ長めでASHロゴのスパナが見つかっています。
外箱より品番ST、名称はロングタイプ。(本体にも品番STの刻印があります)
ロング仕様なので、JISマークは付きません。
現物と外箱以外に製品情報が無く、私が持っている1991年のカタログにも登場していませんので、それよりも前の1970年代から80年代の製品だろうと推察します。
何故か表と裏の両方に材質が表示されていて、Chrome Vanadium。
旭金属で材質が表示されているのは珍しく、このSTとSA⑦、ならびに工業系強化型SW⑱の初期モデル(ASHロゴ)だけです。
このロングと共に当然ながらスタンダードがあったはずで、前述のSA⑦と一緒にラインナップされていたのだろうと推察します。
ちなみに、スパナ部を胴長軸に対して少しずらしてあり、さらに胴長中央部が窪んでいて、ドイツのスタビレーに似ています。
↓6本セット
↓外箱(品番が"ST"であることが確認できます)
★スタビレーとの比較
スタビレーのスパナ底部は"えら"が張っていますが、それ以外は旭金属とスタビレーは瓜二つです。
⑨ "SN"ロゴ / 両口
ASHとは異なる工業系ブランドとしてSNを位置づけていたのが分かります。
JISマーク(N/普通級)付きです。
"SN"は、当時の販売会社"新日本ツール"の略だろうと推測しています。
この凹尖りパネルのデザインは、現行のSMやSWに引き継がれます。
裏面の"SN54"より品番もSNと分かります。
巻末に掲載の1991年カタログには、このSNロゴのモデルがまだ存続しています。
現行モデルにも品番SNが存在しますが、ロゴが他モデルと同じASHになり、ASHブランドのひとつになっています。
したがい、このSNロゴは特別なモデルと捉え、現行のASHロゴのSN㉑とは区別して、独自のモデル番号⑨を与えました。
製造記号が上のSTは"D-04"、このSNは"H-12"になっています。
このアルファベット1文字+数字2桁(または1桁)の製造記号は現行モデルでも継続して使われています。
"SN"の意味を旭金属殿へ問合せた時に、この写真を参考例で添付したところ、『写真の製品は1983年頃の生産』とのことでした。
どの工具メーカーも製造記号は非公開になっていますので、読み方は敢えて確認しませんでしたが、裏面の製造記号"H-12"から分かるのだろうと思います。
1983年製だとすれば、大阪から新潟へ引っ越した翌年であり、瞬間風速的に3つの工場が稼働していた年です。
したがい、写真のモデルは、JIS認証を取得した3つの工場のいずれかで生産されたことになる珍しい単品となります。
(3つの工場…大阪/八尾工場、新潟/東入船工場、新潟/燕工場)
⑩ "SN"ロゴ / 片口
両口⑨と同時に片口スパナの"SN"ロゴも設定されていました。
サイズが小さな10mmではフラットパネルになっています。
但し、大きなサイズは両口モデルと同じ凹尖りパネルになっています。
サイズ10mm以下のモデルをフラットパネルにするのは現在の工業系スパナに引き継がれています。
★模倣品
雰囲気が似ている凹丸パネルのスパナが見つかっています。
SNロゴの刻印が入っていますが、"ASAHI"の刻印やJISマークが無いことから、旭金属の製品ではないことが分かります。
コンビレンチにも同じ"SN"ロゴモデルがあり、"TAIWAN"の刻印が入っていますので、このスパナも台湾製で、旭金属を模倣したのだろうと思います。
六角形"A.S.H"ではなくて、ロゴをひっくり返した六角形"H.S.A"もあります。
スパナ形状等から1960年代の製品かと思います。
こちらは前述の片口⑤の模倣だろうと思います。
有名税なのか、旭金属には模倣が結構あります。
六角形"KKK"にASAHI TOOLS。(TOOISになっていますが)
裏面に日の出の旭マークがあり、けっこう良いデザインです。
本物に採用されていても良かったのかもしれません。
アメリカebayで見つけました。
⑪ MS / DX TOOLS
高級ミラーモデルの登場となり、時代が一気に現在に近づきます。
KTC/1984年、TONE/1991年に引き続き、旭金属は3番目として高級ミラーモデルを1995年に市場投入しています。
ASAHI DX TOOLSの名称で、メガネやコンビレンチも含め専用ブランドとなっていました。
非常に綺麗な仕上がりで、HEROやAMONでもOEM採用しています。
残念ながら、日本の高級ミラー市場はパイが小さかった様で、KTCだけが生き残っています。
2003年7月までHPに掲載されていて、同年8月には掲載が無くなっています。
なお、ロング仕様なので、JISマークは付いていません。
当ブログ内の詳細解説は、⇒ こちら。
↑ここまでは旧モデル
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↓この後は今でも入手できる現行モデル
5)現行モデル(第4世代 + 第5世代)
現在販売中のモデルが12種類もあり、旭金属がスパナに力を入れているのが分かります。(現行12種…⑫~㉓)
海外メーカーも含めて他に例の無い現行販売スパナのモデル数だと思います。
『第4世代で現在も販売継続』と『第5世代から登場』の2種類があります。
⑫ SM/クロムメッキ
旭金属スパナの代名詞とも言える凹尖りパネルのSMです。
現行品の中では一番歴史があり、前述のロングタイプ⑧やSNロゴ⑨と一緒に、1970年代または80年代から販売が継続されていると推測しています。
現在販売されているバージョンは、最新のASAHIロゴになっています。
1つ前のASHロゴで、旧のJIS-Nです。
ひょっとすると、後述する工業系SWやSNと同じように、JQAを取得した2007年の過渡期にASHロゴ+JQAがあったのかもしれません。
SMの外箱。
JIS認証番号が何故かメガネの383044に。(スパナは383045が正解)
いずれにしても、新潟に引っ越してからのJIS認証番号ですので、新潟の燕工場製と分かります。
★SN⑨との関係
SN⑨は、SM/クロームメッキを黒化したモデルと分かります。
1970年代または1980年代にSMとSN/黒は同時販売されていたと理解しています。
写真のSMは2000年頃の製品ですが、それよりも30年は古いSN/黒と同一形状であり、凹尖りパネルは長年に渡って継承されてきた形状なのが分かります。
(黒い10x13mmの10mm側を11mmに切り直してメッキすると、SMの11x13mmと同じボディーになります)
⑬ SNT/極薄
薄さを特徴にしたスパナで、名称は"極薄"。
一般的なタペットレンチほど長くは無く、通常のスパナと同じ長さです。
コンビレンチの"S.N.T"とは異なるコンセプトで、廉価版では無く、薄くしたモデルです。
また、前述のSN⑨と名称が似ていますが、これとも異なります。
ロゴおよび品番の"SNT"は、"SN"と同じく新日本ツール/Shin Nihon Toolでしょう。
SN、S.N.T、SNTの3種類がありますが、どれもコンセプトが異なります。
ロゴ/品番の付け方がちょっと混乱しています。
製品企画時にメーカー主導と販売会社主導のような差があったのかと推察します。
5本セット。
1991年カタログではこの5本セットだけの販売で、単品はありませんでしたが、現行カタログではサイズを30x32mmまで拡大して8種類が単品設定されています。
⑭ LSX/ライツール
ライツールは徹底した軽量化から孔開きの特異形状となっていて、旭金属の中で一番目立つモデルになっています。
2000年6月に新製品としてHPに登場しています。
JIS認証を取得していて、やり型のJIS-S。
これだけ軽量化のために孔を開けて、よくJISの剛性規格にも適合できたものだと思います。
JIS-S規格の曲げモーメントはJIS-N普通級と同じですが、硬度はJIS-H強力級と同じHRC45になっています。
なお、旭金属の製品で製造者記号"丸A"が刻印されている数少ないモデルの1つだと理解しています。("丸A"は基本的にOEM製品用の製造者記号)
恐らく、OEM供給しているマルト版と同じ同じ鍛造型を使用し、スパナ部の刻印またはレーザー印字で作り分けをしたために、旭金属版にも"丸A"が付いてきたのだろうと思います。
大半の旭金属版ライツールに"丸A"は付いておらず、"丸A"付きは希少です。
ちなみに、"ライツール"の商標はマルト(マルト長谷川工作所)が実施していますので、ライツールの商品企画自体はマルトが行っていると理解しています。
但し、スパナとコンビレンチに関しては旭金属が商品開発を行っていると推測していて、スパナの意匠登録はマルトと旭金属の共同提出になっています。(詳細はASH-1にて)
最新のJQAモデル。
JQA表示はスパナの裏面に。
スパナ部の表示は、刻印とレザー印字の2種類があります。
このモデルの場合は、製造者記号の"丸A"は無く、旭金属専用の鍛造型になっています。
ライツール初期モデルのJISマークは、JQAと同じくスパナ裏面に表示されていたようです。(物色中)
ライツールのスパナ専用プロモーションビデオが作られています。⇒ こちら
⑮ SL/レボウエーブ
旭金属の現行スタンダードモデルのレボウェーブ。
2006年に登場し、2008年にグッドデザイン賞を受賞しています。
鏡面仕上げに頼らず、梨地仕上げながらデザインで勝負していて、私は好きです。
指がかかる部分をウェーブ形状のへこみを付けてあって、とてもにぎり易く、手になじみます。
旭金属はJQAを2007年11月に取得していますので、2006年の発売から1年程度は現行のJQAでは無く、JISモデルだったのでは無いかと推測しています。(これも物色中)
ちなみに、ロゴを表にした時に左側のスパナが小さいサイズなのが一般的ですが、旭金属は歴代のモデルで左側は大きなサイズにしています。
しかしながら、このレボウェーブだけは一般スパナと同じで、左側が小さいサイズになっています。
レボウェーブだけ旭金属スタンダードでは無い理由は何でしょうか??
★商標登録(2006年9月19日)
意匠/デザインも同じ形で第1289886号(同年11月17日)として登録されています。
⑯ SMC/マイクロスパナ
小サイズだけの3本セットです。
模型工作用に設定されたのかと思います。
5.5x7mmだけはスパナ部につばが付いたJISモデルになっています。
インターネットの過去ログ(Internet Archive)を見る限りでは2010年に登場しています。
但し、初期版は5.5x7mmがASHロゴだったことから、2006年頃から販売されていたかもしれません。
5.5x7mmだけはJISモデルで、さらにH級です。
工業系のSW/黒から最小サイズの5.5X7mmをクロームメッキ版にしたモデルです。
小さい方の2種(4x5、3.2x4mm)はJISモデルではありません。(JIS規格に規定されていないサイズ)
ASAHIの字体が5.5x7mmとは異なり、商標に登録しているデザイン文字では無く、普通のゴシック体になっています。
SW/黒とクロームメッキ版マイクロスパナの5.5x7mm同士。
初期モデルは、5.5x7mmだけASHロゴでした。(小サイズ2種は同じデザインを継続)
と言うよりは、ASHロゴ時代にマイクロスパナを企画し、4x5と3.2x4mmは新規作成したものの、5.5x7mmだけはまだASHロゴだったSWをクロームメッキ版にして流用したというのが正しいかと思います。
各販売サイトには未だに"六角形ASH"ロゴの旧型版写真が載っていることが多いのですが、実際に届くのは最新版("文字だけASAHI"ロゴ)です。
したがい、初期の"六角形ASH"モデルをまだ手に入れることが出来ていません。
⑰ SST/強力極薄
単なる薄型では無く、スパナ部の当たり面だけを薄くし、周囲は厚みを残した特殊形状の片口スパナです。
強度を確保するために良いアイデアと思いましたが、残念ながら私の周りには使う場所が思い当たりません。
パンフレットに記載されている使用例など特定部位での使用を想定しているようで、サイズ設定が特殊です。
旭金属のTwitterに登場していて、Factory TVでも紹介されています。
↓パンフレット
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↓ここからは工業系モデル
工業系スパナをコレクションする人はあまりいないかもしれませんが、旭金属の種類の豊富さに感激し、思わず手を出してしまいました。
全部で5種類。
基本的に全て同じデザイン(凹尖りパネル)で、3種類は小サイズ(10mm以下)でフラットパネルになっています。
フラットパネルを別モデルと考えれば、8種類になります。
また、工業系スパナは黒いカチオン電着塗装が基本ですが、新たな商品展開を試みるSSPだけがクロームメッキになっています。
⑱ SW/強力両口(JIS-H級)
5種類の内、メインモデルになっているSW(つば付き/両口)でバリエーションを集めてみました。
(工業系の他の4種類は、現行JQAモデルだけを取り上げます)
冒頭で紹介の通り、3つのJIS認証工場と4つのJIS認証番号で生産されています。
そして、SWは大阪時代の1980年頃には生産が始まっていたと思いますので、全3工場で生産された1983年製3本があるはずです。
但し、残念ながら製造記号の見方が公開されていないので、探すことが出来ません。
もっとも、分かったとして1983年製の3本を見つけるのは至難の業だと思いますが。
⑱-1 ASHロゴ+JIS
1980年頃~2007年まで約30年に渡り生産されていて、かつメインモデルですので、一番世の中に出回っている旭金属の工業系スパナだと思います。
⑱-2 ASH+JQA
2007年にJIS認証が民間認証会社のJQAに切り替わりましたが、ロゴは従来の六角形ASHのままであるモデルがわずかな期間だけありました。(1年間程度?)
前述の通り、レボウェーブ⑮では逆のASAHIロゴ+旧JISマークのモデルがあった可能性があります。(こちらも1年間程度)
⑱-3 ASAHI+JQA
現在販売中の現行モデル。(2008年頃~現在)
⑱-4 フラットパネル(小サイズ)
工業系の内、小サイズがフラットパネルになるのはSW、SMC(両口)とSS、SSP(片口)の4種類。
SMとSN(両口)は凹尖りパネルから変わらず、サイズがそのまま小さくなっています。
小サイズのフラットパネル5種 by 旧ASHロゴ
フラットの小サイズで、ASAHIロゴとASHロゴの新旧でフラットパネル部の形状が変化しています。
新しいASAHIロゴモデルは断面形状が角張っていて、旧型ASHは丸くなっています。
鍛造型が新しくなっているのが分かります。
SW6本 by 最新ASAHIロゴ
工業系スパナは黒色が基本で、カチオン電着塗装が採用されています。
工具が油で汚れた時に拭き取りやすいクロームメッキが良いのか、汚れが目立たない黒が良いのか、好みが別れるところだと思いますが、工業系では黒が好まれると理解しています。
個人所有はクロームメッキ、会社設備としての工具は黒なのだと理解しています。
良く考えてみると、組スパナ6本などのセット品はクロームメッキだけです。
黒のセット物が無い理由を考えると、購買者が誰なのかが分かってきます。
ちなみに、日本では他のメーカーも含めコンビレンチの黒色工業系は無いと理解しています。
Snap-onやCraftmanなどアメリカ製品にはIndustrial Modelと称して黒いコンビレンチが1つのジャンルになっていて、多数存在しています。
日本の工場では、コンビレンチよりもスパナが好まれるのだと思います。
⑲ SS/強力片口/黒(JIS-H級)
品番SSで、片口つば付きスパナでJIS-H強力級です。
10mmよりも小さいサイズはフラットパネル。
⑳ SSP/強力片口/クロームメッキ(JIS-H級)
強力片口/黒のクロームメッキ版で、2022年のカタログ(No.221)から追加されています。
したがい、ASAHI/JQAモデルのみとなります。
黒が主流の工業系工具への新しい潮流を狙った商品展開だと理解しています。
SSP/銀と、従来のSS/黒。
㉑ SN / 両口(JIS-N)
スパナ部につばが付いていない工業系のSNです。
専用ブランドだったSNロゴ⑨の時代から歴史のあるモデルです。
前述のSW⑮はJIS-H/強力級ですが、このSNはJIS-N/普通級です。
工業系の中で一般向けあるいは廉価仕様と捉えています。
※JIS規格の硬さ…JIS-N HRC40、JIS-H HRC45
両口SNは、10mm以下も凹尖りパネルになっていて、5.5mmまで設定されています。
㉒ SN / 片口(JIS-N)
SNの片口版も同じ品番SNです。
品番は、片口がSN0012、両口はSN1214と差が付けてあります。
口径10mm以下の小さなサイズはフラットパネルになっています。
SW⑱-2と同じく、旧ASHロゴにJQAマークが付いた珍しいモデルが一時期(1年間程度)だけ存在していました。
なお、片口SNは最小サイズが10mmですので、5.5mmは設定されていません。
★片口の同形3種の使い分けについて
片口のSS⑲、SSP⑳、SN㉒は、スパナ部つば付きを除けば同一形状になっています。
その使い分けは、以下と思います。※( )内は17mmでの価格。
・SS⑲…JIS-Hの強力級で工場向け(790円)
・SSP⑳…同じ強力級、メッキ仕様で見栄えにも拘った一般市場向け(870円)
・SN㉒…JISーS普通級で、廉価版(560円)
★JIS最小5.5mm 8種
スパナJIS規格の最小サイズは5.5mmで、旭金属は現行モデルでその最小5.5mmを8種類もラインナップしています。(両口:5.5x7mm、片口:5.5mm)
現行スパナが12種類あるのも凄いと思いますが、JIS最小の5.5mmが8種類というのもこれまた凄い品揃えだと思います。
JISモデルが9種類ある中で、両口SNを除く8種類に5.5mmが設定されています。
ちなみに、他社の5.5mmは、KTC:2種類、TONE:1種類、IKK/池田工業:3種類。
最新ASAHIロゴの5.5mm、8種類です。
全てJQAのJIS認証を取得しています。(JQAマークは裏面)
5.5mmの8本で旭金属スパナの全体像と歴史がほぼ説明できます。
・(1) SMと(2) SNは、銀と黒の差だけの兄弟モデルで、同一形状です。
1970年代または80年代のほぼ同時期に登場していると推測。
恐らく一般向けに銀の(1) SMが先に登場し、工業系モデルとして黒い(2) SNを追加。
・時代が20年ほど経ち、デザインに拘った新しいモデル群が追加されます。
軽量孔明きの(3) ライツールと、グッドデザイン賞受賞の (4) レボウェーブ。
使い勝手でもJIS-N/普通級からJIS-S/やり型(硬さはH/強力級と同じ)に進化。
・旭金属スパナのもうひとつの顔である工業系モデル群も充実されます。
つば付きスパナのJIS-H/強力級として(5) SWを追加。
・さらに、新しい商品展開として(5) SWの小サイズをクロームメッキ化した(6) SMC/マイクロスパナが登場。
・工業系に片口スパナ (7) SSを追加。
・そして、これも新しい商品展開としてSSのクロームメッキ版(8) SSPを追加。
↑5.5mmが設定されているスパナ8種(現行カタログ諸元表の前半部分)
5.5mm設定が無いSNTは一覧表から外し、別ページ扱いのSNを追加してあります。
㉓ DS/打撃レンチ(片口)
現行モデル12種の中で唯一手に入れていないスパナです。
最小の口径30mmなら全長が222mmなので、サイズとしては手頃なのですが、重さが8キロというのにびっくりします。
コレクションとしては欲しいところですが、サンデーメカニックとしては30mmボルトを打撃することもないので、馴染みが無く、手に入れるか躊躇しています。
本当は、SS大型スパナの口径200mm(長さ1m超え)が欲しいのです!
実は一番大きな口径60mmのコンビレンチは持っていて、壁に立てかけてあるのですが、その700mmの隣に1m超えのこの巨大スパナを置きたい。
どうも私は鉄のかたまりに興味を持つようです。(小さくても、大きくても)
下の写真は口径135mm。
↑旭金属Twitterより
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↓この後はカタログ掲載だけで、解説はありません。
3.カタログ(スパナのみ)
★最新の2022年版と、私が持っている一番古い1991年版の2つ
1)最新カタログ(2022年版)
2)1991年版(私が入手できている一番古いカタログ)
旭金属/ASHのすべて 4部作
⇒ 3.スパナ編(本稿) ⇒ 4.OEM編
この回、終わり









































































